ASTEL良いとこ悪いとこ

ASTEL方針の変貌(番外編)

今回は息抜きとして、開業当初から現在までの他2社の動向を見てみましょう。

NTTパーソナル
 PHSの開発元でもあり、今でも手堅いエリア展開を見せ、特にエリアマップでのエリア表記は開業当初からストリートセルを意識したものとなっていました。ストリートセルとはPHSの電波が1.9GHzと非常に短い波長のため、見通しの利く所では遠くまで利用できるが、障害物があると極端にエリアが狭まる事を考慮した、エリア形状を指す言葉であり、道路(ストリート)にそってエリアが広がる所から、そのような名前で呼んでいます。このストリートセルを意識したエリアマップはDDI-PやASTELの塗りつぶしマップと比較しても手堅いマップでありました。(下図参照)逆に塗りつぶした場所では異様な程の執念でエリア化していました。
 実際にも開業当初は20mWCSのみの設置でありましたが、エリアにする事を宣言した所には、裏路地まで徹底してアンテナ(CS)を設置し、雑誌にも他社談として、「うちには真似出来ないほど、パーソナルさんはアンテナを密度濃く打っていますね。」と言わしめるほど、開業から1年間は(途中、半年後に100mWCSが登場)異様なほどの設置密度で展開していました。その後、開業から1年〜2年は、地方都市への展開と同時に、衛星都市部などでの穴埋め展開を実施、今年の4月に発表したエリアマップでは、松戸や市川などの衛星都市部での穴埋め展開終了とも取れるマップで、地方都市への展開充実を宣言したものとなっています。
 つまり、パーソナルの場合は、「エリアが近くまで来ているけど使えない所では、この先ずっと使えない」とも解釈できるようですね。自宅での使用を考えるのなら、唯一ホームアンテナを販売しているNTT−Pに頼るしかないでしょう。しかし、窓際にまで電波が届いていない所では、使えるようになりません。
 この夏にはASTELからもパワーアンテナと称する同様の物が出ますが、機種が限定されるため、使えるレベルで普及するのは半年後でしょう。もっとも来年の春からの新入生はそれまで待てますかね(笑)

NTTパーソナル開業当初のエリアマップです。


DDIポケット
 塗りつぶしマップに非難が集中し、8月には思いのほか電波が飛びすぎて、CSが空きチャンネルを探す事が出来ず、連鎖停止の事故を起こし、一気にPHSの評判を落とした張本人でした。しかしながら、その後は職員が休日返上で、自社PHSを片手に街角で117を3回試して、2回成功したら、エリアとする地道な実測エリアマップを11月には完成し、信憑性の高いエリアマップ化を図りました。
 開業当初は、(有力なバックがあるわけでもなく)京セラが母体の会社のため、資金面や設置場所確保の面でもっとも心配された会社でした。しかしながら、独自に開発した高出力・高性能500mWCSによってPHSでは無理とされた、60Km超え走行中の利用も可能とし、「携帯並みに使える」事が評判を生み、さらに開業7ヶ月後に開始した、インセンティブ販売(いわゆる1円端末の登場)によって、大きくシェアを伸ばし、現在も約50%のシェアを確保した状態が続いています。但しここにきて、資金面でポケットの展開を可能にしてきたDDIが相次ぐ遠距離通話料金の値下げによって、百億単位のお金を回せすことが出来ていた状況がから一変し、DDI本体の利益を完全に食う形となっていたDDIポケットにも強力な単年度黒字化の要請が出た模様です。しかし一度始めたインセンティブはいきなりゼロにするわけにも行かず、業者ごとの契約によって、その額の変更を行っている模様です。良い例では、ダイエーによるDDI-Pの販売はどの端末も1万円近くとなり、NTT-PとASTELとは対照的な状態になっています。ビジー対策も急がなければならないほど、つながりにくくなっており、課題となっています。但 し、穴埋め対策には積極的で、今までのCS本体が2つに別れていたものから、1つのものを開発し、松戸市でもすでにエリア宣言した場所にも設置を行っています。
 現在の所、電車を利用せず、自宅での使用も半分諦め、都心の混雑する所に行かない人にとっては、もっとも使いやすいPHSを提供している事業者と言えるでしょう。



 DDI-Pの開業当初のエリアマップです。
要望が強ければもう少し拡大したマップも載せますよ。
今となっては貴重な塗りつぶしエリアマップです。