平成十四年十二月十二日
参議院厚生労働委員会

独立行政法人国立病院機構法案に対する附帯決議(参議院)

 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

一、  独立行政法人への移行に当たっては、制度の趣旨が十分発揮されるよう、その運用に万全を期すとともに、業務の内容を積極的に公表すること等を通じて、独立行政法人が担う政策医療及び独立行政法人の経営状況を国民に明らかにすること。
 
二、  独立行政法人への移行後においても、中期目標の設定に当たっては、事務や事業の見直しを行い、経営の一層の合理化、効率化と経費の削減に努めること。
 
三、  独立行政法人の業務の実績に関する評価が、専門性及び実践的な知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に行われるようにするため、中期目標の設定、評価基準の作成、評価委員会の委員の選任等に十分配慮するとともに、厚生労働省設置の評価委員会と総務省設置の政策評価・独立行政法人評価委員会の連携の強化に努めること。また、中期目標期間の終了後に、業績評価を踏まえ、再編を含めた業務の見直しを行うこと。
 
四、  独立行政法人に対する財源措置については、その経営努力を促すよう運営費交付金等の算定の基礎となるルールを明確にするとともに、政策医療が円滑に実施できるよう配慮すること。また、剰余金の取扱いについては、使途に疑念が生じることがないよう厳正な評価を加えるとともに、中期目標期間の終了時における積立金を独立行政法人に継続留保させるときは、その理由を明らかにすること。
 
五、  職務の困難性にかんがみ、新たに設立される独立行政法人の役員は適材適所で起用し、既得権化しないようにすること。
 
六、  役員の報酬及び退職手当については、独立行政法人通則法の趣旨を踏まえ、業務の実績及び役員の実績を的確かつ厳格に反映させ、国民の理解を得るよう努めること。また、職員の国の期間に係る退職手当の財源については、運営費交付金の中で措置されるよう検討すること。
 
七、  各独立行政法人病院の医師の人事については、医師採用の全国公募等も考慮し、独立行政法人本部が責任を持って行うこと。
 
八、  独立行政法人への移行に当たっては、健全な労使関係の確立に努めること。
 
九、  独立行政法人移行後においても、地域と協調し、病診連携と病病連携を図り、地域の実情に応じた医療の提供に努めるとともに、各独立行政法人病院に拠点的な政策医療の機能を付加し、それを中心とする政策・医療ネットワークの整備を行うこと。また、小児救急など必要な医療を政策医療に位置づけることを検討すること。
 
十、

 施設整備については、透明性・効率性の向上を図るとともに、不正行為を防止する観点から、次の措置を講ずること。
 

 

1.

 営繕関係職員の利害関係企業への再就職のあっせんを行わないとともに、利害関係企業に再就職している元の営繕関係職員の営業活動への対応を行わないこと。
 
 

2.

 

 談合通報の受付窓口の設置、利害関係企業職員等の利害関係者との接触の限定、入札前の事業者との接触に関するルール化(事前届出、オープンな場所での実施、応接記録作成)、工事予定情報の閲覧窓口の設置(営繕関係以外の部署及びウェブサイトでの公開)、営繕関係職員の幅広い人事交流の検討。
 
十一、

 計画された国立病院・療養所の再編成については、独立行政法人移行後においても、地元地方公共団体等関係者の理解を得ながら計画的かつ着実に実施していくこと。
 

十二、

 地域医療の在り方を考える中で、公的病院の在り方について検討すること。
 

 右決議する。


Top Page へ戻る

2003年04月16日