平成14年7月2日
総務省 電波の医用機器等への影響に関する調査結果
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総務省では、平成12年度に引き続いて「電波の医用機器等への影響に関する調査」を実施し、携帯電話端末等から発射される電波が、植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)及び病院内で使用される医用機器に及ぼす影響について調査を行ったところ、現状においても現行指針(平成9年3月不要電波問題対策協議会)は妥当であることが確認されました。 |
1.背景 |
携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響については、「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」が、平成9年3月に当時の不要電波問題対策協議会(以下「不要協」という。:現 電波環境協議会)において策定されており、現在に至るまで国民が安心して携帯電話端末等を利用できる電波環境の確保に大きく寄与しているところです。
しかし、その後、1)新しい方式の携帯電話サービスが開始されたこと、2)病院においても情報化の要求が高まっていること、3)医用機器自身の妨害電波排除能力が向上していること、4)植込み型除細動器についても装着者が徐々に増加しつつあることなど、携帯電話等と医用機器の双方において状況が変化しています。 このため、総務省では、平成12年度から携帯電話端末等から発射される電波が医用機器に及ぼす影響に関する調査を実施することとしました。 |
2.調査内容 |
(1)携帯電話端末等が植込み型医用機器に及ぼす影響 | |
平成12年度に引き続き、植込み型医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)の新機種について、従来の方式に加え新しい方式(W-CDMA、CDMA/CDMA2000 1x)の携帯電話端末及びPHS端末を用いて、それらから発射される電波が及ぼす影響を調査しました。 | |
(2)携帯電話端末等が病院内医用機器に及ぼす影響 | |
病院内で使用される医用機器のうち、不要協の調査(平成8年度終了)以降に発売された新機種のものや現在使用中のものについて、携帯電話端末等から発射される電波が及ぼす影響を調査するとともに、病院内での無線システム導入の可能性について検討しました。
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3.調査結果概要 |
(1)携帯電話端末等が植込み型医用機器に及ぼす影響 | |||||||||
ア | 心臓ペースメーカ及び除細動器については、「装着部位から22センチ程度以上離すこと」等とする現行の指針が妥当であることが確認されました。 なお、除細動器については、5cm ![]() |
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イ | 新しい方式(W-CDMA、CDMA/CDMA2000 1x)の携帯電話端末が植込み型医用機器に干渉を発生させる距離は、従来方式に比べ小さい傾向が見られました。 | ||||||||
(2)携帯電話端末等が病院内医用機器に及ぼす影響 | |||||||||
ア | 新しい方式の携帯電話端末やPHS端末、新しい方式(5GHz![]() |
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イ | 医療機関は、現行の指針の内容を十分理解した上で、無線システムの導入等について検討することが望ましいことが指摘されました。 | ||||||||
ウ | 無線システムがより一層病院内へ普及するためには、新たに実用化された医用機器・無線システムに対する調査を継続的に実施する必要があることが、今後の課題として挙げられました。 | ||||||||
電波の医用機器等への影響に関する調査研究報告書
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表紙・はじめに(PDF) |
目次(PDF) |
第 I 編 携帯電話端末等の電波が心臓ペースメーカへ及ぼす影響の検討(PDF) |
第 II 編 病院内での医用機器と無線システムとの共存の可能性の検討(PDF) |
おわりに(PDF) |
付属資料(PDF) |
参考資料1 |
参考資料2 |
1 | ペースメーカ装着者は、携帯電話をペースメーカ装着部位から22センチ以上離して使用すること。
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2 | 携帯電話の使用者はペースメーカを装着した者と近接した状態(22センチ程度)となる可能性のある満員電車等では、携帯電話の電源を切るよう配慮すること。
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3 | 手術室、集中治療室(ICU)及び冠状動脈疾患監視病室(CCU)等には携帯電話を持ち込まないこと。
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4 | 検査室、診療室、病室及び処置室等では携帯電話の電源を切ること。 |
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5 | 待合室等の医療機関側が携帯電話の使用を特に認めた区域でのみ使用すること。
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6 | PHSについては、次の注意事項を遵守すること
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7 | 間近まで近づけた場合に、ノイズ混入、誤動作等の影響を受けることがあるため、医用電気機器に無線LAN等の小電力無線局を近づけないよう注意すること。
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2002年08月03日