1999 Aug. 中期 (Arcana 18)

「秘法十八」に戻る トップページに戻る
過去のお言葉

Aug 11th(Wed.)

暑いですね。京都は雨が降ったり、晴れたりの変な天気。

今日の読書。「フェアプレイの経済学」(ランズバーグ/斉藤秀正訳)。
財政、貿易、人種、環境、麻薬などにまつわる問題を、 愛娘ケーリーとの対話から解き明かしていくという内容。 バイ・アメリカン運動は正しいか? 森林を守るために紙コップを洗って何度も使えという小学校の先生は正しいか? 累進課税は善か?完全な税制とはどのようなものか? さまざまな簡単な(しかし難しい)問題について、 ケーリーにも(そして読者にも)理解できるように易しく、 経済学の根本的な原理を応用していく。 僕はここにある議論の全てに完全に納得するわけではないが、 経済学って楽しいなあ、と思える非常に面白い本です。 それから、副作用として娘が欲しくなります :-)

Aug 12th(Thurs.)

通信傍受法と住民基本台帳法(改正)が可決。

Aug.13th(Fri.) - 15th(Sun.)

ペンローズ記法

お盆ということで和歌山の実家に帰っていた。

実家では "Spinors and space-time" (Penrose-Rindler) という本の付録の章を読んでいた。 ペンローズは天才的な数学者、理論物理学者なのだが、 最近は、 人間の意識はマイクロチューブなる器官で量子的効果によって 生まれているという説を唱えてみたり、 「皇帝の新しい心」という人工知能などをテーマにした通俗書を書いてみたり、 ちょっと「トンデモ」系に走っている人。 "Spinors and..." は数理物理のきちんとした専門書だが この付録の章がイカしていて、 ペンローズが普段やっているという怪しげなテンソル計算の仕方が載っている。 その画期的方法では、なんと絵で計算しちゃうのである。さすが天才。 例えば、ビアンキの等式のこの絵による証明が例として出ているのだが、 どう見ても古代遺跡の謎の壁画である。どうにも、すごい。 実家では、リーマン幾何の計算をこのペンローズの記法でやってみて、 色々と楽しんでいた。

その他の読書。「名探偵登場」(サタスウェイト、創元推理文庫)など。

Aug.16th (Mon.)

今日は五山の送り火

JPCA E-mail Open 6ゲーム終了現在、3.0 ポイント(3勝3敗0分)。 目指せ、勝ち越し。

ようやく、前に使っていたチェロの買い手がつき、 今日受け渡しをする。もともと安いチェロだが、 駒を変えたり、弦高を整えたりと色々面倒をみていたおかげか、 結構高く売れた。

どうもまじめに数学しようという気持ちになれないのだが、 ぼーっとしているとどんどん白痴化が進行しそうなので (実際、かなり悪化している)、 せめてノートを取りながら数学のお勉強をする。 "A Mathematical Introduction to String Theory (Variational problems, geometric and probabilistic methods)" (by Albeverio-Jost-Paycha-Scarlatti) など。

Aug.17th (Tues.)

同僚の A さんと一緒に、三田の I 大先生宅に残暑見舞いに行く。 先生も奥様もお元気そうで安心した。 奥様からは、 今の大御所達の若かりし日の話なども聞けて楽しかった。

進行中のアルジャーノン=ゴードン効果をくい止めるために、 白井君のお勧めにしたがって、 確率過程の教科書などを読むことにする。 確率微分方程式の弱い解と強い解の違いなど。 定義は読めるのだが、 具体的なイメージを育てつつ理解していくという作業がなかなかね…

Aug.18th (Wed.)

午後から大学へ。いくつか雑務を片付ける。

以下はある経済学的なお伽話。 ビル・ゲイツと大富豪の座を争う 投資家ウォーレン・バフェットの創作という話だが、 オリジナルははっきりしない。 特に教訓はないが、 巷の「心理テスト」やらよりは、 遥かに自分の考え方を浮き彫りにすること請けあい。

ある学校に通う学生はクラスの中から一人を選び、 その子が一生の間に稼ぐ利益の一割を受けとることができる。 しかし同時に、クラスから一人を選び、 自分が一生の間に稼ぐ利益の一割をその子に手渡さねばならない。 あなたがこの学校に通っているとしたら、 どのような子を選ぶだろうか? また、あなたはどちらの理由でどれだけの人に選ばれるだろうか?

Aug.19th (Thurs.)

夕方から京都文化博物館でのコンサート。
チェロの先生が第一チェロを弾くので、 他の用事がてら顔を出すことにする。 岩渕龍太郎氏が30分ほど解説をした後、 チャイコフスキーの弦楽六重奏「フィレンツェの思い出」と、 ブラームスの弦楽六重奏二番より。 六重奏は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが二人ずついるので、 一般的な四重奏より厚みがあるし、複雑な構造が出来る。 文化博物館は日本銀行の古い建物を保存したもので、 非常に雰囲気がある。その雰囲気のせいか、なかなか良い演奏だった。 それに、今回はヴァイオリンとヴィオラが全員女性で、 しかも美女がそろっていたので目の保養になった(って、おい)。

演奏会後、何故か打ち上げにちょっと参加し、 ビールを一杯だけ御馳走になる。 第二ヴィオラの人が以前ヴァイオリンを弾いていたのを 見た記憶があったので、 本人に聞いてみたらやはりそうだった。 今日のヴィオラ二人は両方とも普段はヴァイオリンらしい。 ヴァイオリンとヴィオラは弦のチューニングが五度違うのだが、 混乱しないのだろうか。 その後、先生の車で先生の奥様と一緒に帰宅。 演奏の裏話(反省会?)も聞けて興味深かった。


冒頭へ戻る
「秘法十八」に戻る