1998 Jan. 前期 (Arcana 18)

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Jan. 1st (Thurs.)「アルカナ 18番」

大アルカナの18番「月」は、恒常的でないもの、 うつろいゆくもの、女性的なもの、固い殻に包まれたもの、 などを表わす

昨年、終了したWeb日記「原啓介博士の静かな生活と意見」 を秘かに復活させることにしました。 タイトルは「秘法十八」としましたが、特に意味はありません。 派手にお別れの言葉を書いて一箇月で復活というのも、 情けない限りですが、 このページを発見された方、またよろしくお付き合い願います。 今年もあなたが心穏やかに暮らせますように。

なお、このページは非公開を建前にしておりますので、 「秘法十八」とその下部ディレクトリ内容へのリンクはお断わりします。 トップページなどは今まで通り、自由にリンクしていただいて結構です。


Jan. 2nd (Fri.)「懐中ノ石」

なんと、既にのべ五人ほど、このページを見てますね、、、 メイルで発見を知らせてくれた方には、先着五名様に限り、 僕がお望みの酒を一杯おごらせていただきます。

ちょっと遡って、大晦日。昼食を知人と山科で取り、 その後僕は大掃除をして、和歌山の実家に帰省。 盲目のロングヘアダックスはまだ僕を覚えてくれていた。 祖母はまた、亡くなった大叔父のウールの着物を仕立て直してくれていた。 両親はあいかわらず。

元旦は、朝九時に起こされて、家族で朝食を食べる。 ふと庭を見ると、蝋梅の木につがいの綺麗な鳥が来ていた。 吉兆だと良いが、オーメンかも。母に聞くと、この辺りでは「ヒヨ」 と呼ばれている鳥らしいが、鵯ではあるまい。
父と妹とで、初詣に。ちょっとした縁で僕が中学生の頃から お参りしている海南市の方の遠くの社を二つまわり、 その後、実家の近くの、僕も氏子である大屋都姫神社 (オオヤヒメと読む)に詣でる。大屋都姫は阪和線、紀伊駅近くの 非常に小さな社であるが、かなり由緒正しいらしい (この方面に詳しい方、何か知っていたら教えてください)。 雨の中、着物で出かけたのだが、着物は平地を歩くのは何ともないが、 何かを跨ぐとか、段差のある所を歩くとかの裾捌きが難しい。 男の場合は気にせず、裾をバッサバッサと割ってしまうのが 楽で、かつ格好良いと信じているのだが、女の子は大変だろうな。

昼食のあと、妹と書初めをする。 お互い、今年のテーマを書くと言うことで、朝から題字を考えていた。 結果は、妹は「身の程を知る」と「心静か」。 もうちょっと前向きな事を書けよ、、、 僕は「懐中ノ石」。あなたに与えられるものは何もなくても、 せめて懐で温めた石を差し出したい、とね。

二日に山科に戻ることにする。 妹が飽きたと言うので、お土産にプレイステーションをもらう。 僕はゲーム機とはまったく縁がなかったので、 その道の通の方、素人向けのおもしろいゲームを教えてください。 夕方、実家を出て、夜には山科着。
実家でつめてもらったおせちをつまみまがら、NHKの歌舞伎中継を見る。
「若旦那、、、御立派になられて、、、(泣)」
三座があなたを松島屋、と。 しかし、ジャッキーの夕霧はどうだろう。 僕はやっぱり大和屋で、孝玉がいいなあ。


Jan. 3rd (Sat.)「第八の日」

正午起床。パスタを茹でて、トマトソースとワインで昼食。
午後から四条に出てみる。 三が日からかなりの人出で、ゆっくり散歩というわけにはいかなかった。 丸善で本を買ったり、寺町でゲームソフトを買ったり。

今日の読書。「第八の日」(エラリイ・クイーン)。 古典ミステリ再読計画の第一弾。
主人公の天才的名探偵エラリイが一人で、砂漠のど真中で遭難し、 原始的共同生活を営む村落に迷いこむ。 「教師」と呼ばれる老指導者の下、文明社会と隔絶して暮らし、 犯罪という概念すら持たないこの村で、初の殺人事件が起こる。 ただ一人、犯罪というものを知っている「預言されていた神の使い」 エラリイが捜査にあたるが、彼が辿りついた衝撃の結末とは?
最初に読んだのは多分、中学生の頃。 当時でも衝撃を受けたが、やっぱり傑作。 真に驚くべき作品だ。ただし聖書の内容をある程度知っている方がいい。 昔読んだころはその辺の教養がなかったが、 今読み返すとその分、さらに興味深かった。 通常の意味でのミステリとしての知的興味はあまりないが (事件があまりに単純なせいだ)、クイーン後期のミステリへの疑い、 理知的解決の苦悩が、それでもミステリに留まりながら、 表現として完成している。
すれっからしのマニアとしては、この辺りの通どころよりも、 「途中の家」「最後の一撃」「生者と死者と(靴の家に棲む老婆)」 あたりの切れ味のいい論理的な謎解きが好きなのだが、 「九尾の猫」や、この「第八の日」とかの 「悩めるクイーン」も確かに凄いものを書いていると思う。

夜、「IQ」というゲームにはまる。 難しい、、、人なみのIQがスコアできる日は来るのか?


Jan. 4th (Sun.)"The Unicorn Murders"

寒さのあまり、朝10時頃起床。一人で寝ると寒くていけない (いや、いつも一人寝なんだけど)。
珈琲を煎れて、メイルをチェックする。 今日も世はこともなし。 Yen は日本が動かないことを見込んで、売られまくり。 ジャパンプレミアムは 1% に近づき、越そうという勢い。 銀行、証券株の不安に冷えこむ日本市場と裏腹に、 ニューヨーク市場は史上三位に入るほどの大賑わい。 個人金融資産は外貨建てに大流出。

年賀状を下さった方々に返信を書く。
僕は世間が狭い上に、年賀状を一切書かないため、 もらう方も毎年どんどん少なくなるが、 今年は仕事関係の人々以外には、大学院時代の友人T君 (分子生物学の人だが、どこかにポストを得たのだろうか)、 たまに美しい手紙を下さる根津美術館のY嬢、 某K大のN夫妻、服飾デザイナーのNさんの四人だけ。

今日の読書。古典ミステリ再読計画第二弾、 「一角獣殺人事件」(カーター・ディクスン)。
豪雨で陸の孤島と化したフランスの古城を舞台に(笑)、 衆人監視の下、角で突かれたような傷を額に残す 不可能犯罪が!(笑) レギュラーの名探偵H・M卿の他、警視庁の覆面探偵、 正体不明の大快盗が三つ巴の大活躍!(爆笑) 探偵は誰か?快盗は誰か?そして犯人は誰か?
ミステリとしてはカス。 しかし、あまりのカー節に馬鹿馬鹿しさを通り越して感動すら覚える。 不可能犯罪、おどろおどろしい怪奇趣味 (事件の前の雷鳴と嵐はお約束)、 ファース(ドタバタ)、ロマンス、活劇と大団円、 いやあ、やっぱりカーはいい。 お話の筋とは全く関係なく、 ちらっとバルベー・ドールヴィイの本が登場するが、 おや?こんな所で、という感じ。 もちろん昔、読んだ時にはドールヴィイなんか知らなかったが、 流石にカーの怪奇趣味は小道具にまで凝っているのかもしれない。


Jan. 5th (Mon.)"Elephants Can Remember"

正午起床。珈琲を煎れてメイルをチェック。
今日も世はこともなし。 大発会から、円も指標も暴落。数年ぶりの低水準。 さくら銀行からは名簿の流出。個人情報の管理とそのモラルは 今年、ますます問題になるだろう。
多分、そう言う意識がないのだと思うが、 企業の機密情報は暗号化して保存、 処理を外部に頼むにしても暗号化したまま依頼するべきなのは 明白なことだろうに。 簡単なことなのだが、、、もし、何か問題がありましたら、 「もぐりの暗号屋」こと私めにご依頼を。 どんなデータも暗号化、保存させて頂きます。

昼食を家でとった後、大学の情報誌に載せるための原稿を作成。 英語版は面倒なので、明日にしよう。 さらに "AMS Review" に依頼された論文のレビューをするために、 論文を読んだり。

夕方から三条に出る。 四条まで先斗町を通り抜けていったのだが、 お座敷か新年の挨拶回りか、芸舞姑さん達と何人かすれ違った。 四条のATMで通帳記入をすると、 11月の失踪中のカード支払いが引き落されていて、 四条烏丸で大流血、卒倒。 気を取り直して、丸善、駸々堂などで本を購入したり。
購入した本。「明かしえぬ共同体」(M.ブランショ)、 「貴族の退場」(西園寺公一)、「エイズの生命科学」(生田哲)、 「毒入りチョコレート事件」(A.バークリー) (明日の古典ミステリ再読計画、課題)

今日の読書。古典ミステリ再読計画第三弾、 「象は忘れない」(アガサ・クリスティ)。
十年以上も前に起こった夫婦の心中事件。 警察も匙を投げて長い年月が経ってしまったこの事件で、 「夫が妻を殺したのか、妻が夫を殺したのか」を知りたいという依頼が、 年老いた探偵ポアロの元に持ち込まれた。 手がかり皆無、解決不能に思われるこの漠然とした問題を ポアロは人々の記憶の中に探っていく、、、
執筆時期で言うと、クリスティの最後の作品で、 最晩年にクリスティが行き着いた境地を最も良く表わす作品だろう。 事件があったのかなかったのか、 何が事件なのかも判然としない漠然とした謎の設定、 過去から現在へ尾を引く罪、 日常的な会話を通して浮き彫りになっていく過去の犯罪と恐怖、 少しの驚きと共に、しかし、腑に落ちる結末のカタルシス。 本格推理でもフーダニットでもホワイダニットでもない、 クリスティの小説としか言えない作品。 本格黄金期を代表する女王クリスティの、 「本格の後に来るもの」への彼女なりの一つの名解答だろう。


Jan. 6th (Tues.)

午前中に起床。珈琲を飲みながらメイルをチェック。 今日も世はこともなし。
BKCは明日から始動らしいので、僕も明日が仕事始めと勝手に 決めこんで今日は家でごろごろ。 ソファで本を読み、たまにI.Qをやり(まだやってるか)、 音楽を聞いたり。
大阪のT部長の「泣き」に関する日記に少し感動。 僕もよく泣くが、悲しいから、とか嬉しいから、とかではなく、 単に心が動かされると勝手に涙が出るようだ。涙線がゆるいのだろう。
「孤独を知っているものは泣きません」(by Shiki Magata, Ph.D.)。

夕食に、土産にもらった淘大「四川担担麺醤」を試してみることにする。 説明によれば、麺を茹でて、お湯と一緒に碗に入れ、 この「四川担担麺醤」をスプーンに二杯混ぜるだけで、 担担麺の出来上がり。辛辣可口、風味無窮、だそうである。 シンクの下をあさってみた所、「博多棒ラーメン」を発見したので、 博多ラーメンをまず作り、スプーンに三杯ほど担担麺の素を入れてみる。 出来たものは担担麺と言うよりは、 高菜を入れ過ぎて真赤になった博多ラーメン以外の何物でもなかったが、 それはそれで、、、うーむ。 ちょっと口の中が変になったので、口直しにパンを一切れ食べた。 焼きたてのフランスパンって本当に美味しいよね。 (だから、四川担担麺博多風は?)

今日の読書。「明かしえぬ共同体」(M.ブランショ)
ブランショが日本で注目されだしたのは、十年以上も前だろうか、 「ユリイカ」で特集され、レヴィナス、デュラス、そして何度目かのバタイユ、 に関心が集まったころだった。 それまでは文学評論家としてしか知られていなかったかもしれないが、 世界戦争の体験を抱え、ハイデガーに触発され、それを乗り越えようとした 思想家としての顔がやはり本物のブランショであろう。 僕がブランショに最初魅きつけられたのは、 「ロートレアモンとサド」という本が(装丁が)キレイだったから、 それに(当時は)ロートレアモンとサドが両方好きだったから、 という邪道なものだったが。 この「明かしえぬ、、」は思想家としてのブランショの核をなす論考で、 共同体という言葉をキーワードに、ハイデガー、バタイユ、デュラスなどの 作品に言及し「六八年五月」の意味を探りながら、 エロティシズムの中に共同体とその裏切りと挫折、 倒錯と新たな試みを説く。


Jan. 7th (Wed.)

昨夜、某ポルノ作家兼絵師兼チェリストのYさんに電話をする。 今月後半に京都一乗寺の恵文社ギャラリーで催すという個展の 連絡をもらっていたので、その話。 なんでも京都の扇屋と協力して、扇絵を二十四本ほど描いたらしい。 その内の一つはコピーをとって、印刷で百本ほど作ったらしいが、 そんなに物好きがいるのだろうか? もちろんその絵とは例の如く面相筆の「あぶな絵」らしく、 その扇は人前では半分くらいしか開けないのだろう。 丁度、Yさんが上洛する日には、 僕の方は逆に東京で友人の舞台を観に行っているので、 その翌日にでもギャラリーを訪ねてみよう。 扇を一つ、取り分けておいてくれるように頼んでおく(物好き)。

正午起床。 卵二つとソーセージを焼き、パンと珈琲で朝食兼昼食にする。
午後からBKCへ。 自分の部屋で、AMS Review の原稿を作る。 WWW で資料を探しながら、ちょこちょことエディタで書いて、 スペルチェッカにかけて、いくつか訂正し、TeX に書き直して、 dvi イメージを確認して、そのままメイルで AMS に送る。
こういう仕事をしていると思うのだが、やはりコンピュータは 人間の能力を増幅する機械なのだな、と再認識する。 特に文書を作成するという基本的な作業において、 コンピュータは革命的に新しい視点を与えてくれるように思う。 特に vi というエディタを使っていると (とりわけ、英文を書く時)、 指が勝手に考えてくれているようなとでも言うか、 指先に魔法が染みついたような感覚がある。

昔、僕がエディタというものを認識した頃、 それは unix 上では Emacs、MS-DOS 上では Mifes か、VZ だった。 その後に vi を初めて知ってこう思った。 「これは余程頭のいい奴が、革命的な発想の転換で作りだした 次世代のエディタだ」と。 もちろん大きな勘違いで、vi は Emacs などが登場する遥か前、 先カンブリア期くらいからあったエディタで、 むしろ歴史的に言えば、 今一般的になっているエディタの登場の方が革命だったのだ。 でも、そう信じてしまうくらいに、vi は僕にとって画期的だった。 今はみんな Mule (Emacs) で、vi を使う物好きは滅多にいないと思うが、 個人的には信じられない程使いやすいエディタだと思う。 最近は、人間がコンピュータが登場する以前から やってきた作業感覚に近いようなインターフェースがはやりだが、 vi は人間の方が、計算機的発想に染められて能力が増幅されるような、 不思議な感覚があって僕は大好きだ。

コンピュータの話をすると誰でも「老人の思い出話モード」になるのは、 この分野の進歩が速いせいだろうな。
「わしが若い頃はな、モニターもなく、エディタと言えばラインエディタで、 そいつで書いたチクタクトゥのアセンブラプログラムを、 洗濯機みたいに跳ねまわるドラムに保存したもんじゃよ。 ドラム全部の記憶容量は 128K もあって、 みなの羨望の的じゃったよ、、、」(大嘘)


Jan. 8th (Thurs.)「雨降りだから***でも読もう」

正午起床。 冷えると思ったら表は雨。今日は自主自宅勤務にする。
卵一つ、ソーセージを焼いて、パン、珈琲とミルクの朝昼食。 珈琲を飲みながら、メイルをチェックし、あちこち巡回。 今日も世はこともなし。関東は大雪か。 円と指標がちょっと戻してるな。

R大の情報誌の原稿を作成。 さらに、昨日鎌倉のYA嬢からもらったお手紙の返事を書き、 二通、ポストに投函しに表に出る。 ついでに西友で食材など買物。
「エイズの生命科学」(生田哲)を読了。
うーむ、免疫科学がこんなに深い学問だったとは。 以前に、京大の近くのレストランで会った生物化学者が、 「免疫が生命の秘密を解き明かす」と宣言していたのも、 もっともかもしれない。 僕が昔、習った時点より急激に色々なことがわかったみたいで、 免疫系を攻撃するエイズウィルスの登場も、 免疫系研究の進歩を促した大きな原因の一つだろう。 免疫系にしても、HIVにしても、自然というのは本当に信じ難い程、 巧妙に出来ているものだ。 ものすごく精密で巧妙なプログラムを読んでいるような感じ。

夜は論文を流し読み。対称空間上の熱核の計算などを 具体的にやっているもの。非常に興味深い。 ちょっと真面目に読んでみるか、、

下北沢亭に保存している書籍の整理をもぐりの古書肆 「古書・止水堂」 の女主人に頼む。 そんなくだらない物は専門外だ、などとぶつぶつ文句を言いつつも、 気乗りはしないが一応引き受けてくれるそうだ。


Jan. 9th (Fri.)

正午起床。パンと珈琲とミルクの朝昼食をとって、BKCへ。 電車とバスの中で日経新聞を読む(今年の日々の課題)。 アジアは全面的に通貨も株価も相当酷い状況に落ちこんでるな、、、 今年の日本はどうなることやら。

三十分で情報実験のレポート採点をする。 レポートは専用のアドレスにメイルで出してもらっているので、 採点も楽。 次回はメイルから from 行を抜きだして、 採点リストを作ってくれるスクリプトでも作っとくか。

その後、緊急の人事会議。昨年、当初の目論見が外れてしまった後、 難航に難航を重ねて座礁ぎみ。どうなることやら。

そのまま、情報学系の新年会に突入。 酒が入るとラーメンを食べようと強行に言い張り、 しかも後で記憶ナシ蔵のH先生は今日もいつもと同じだった。

一杯入った状態で、家に帰り、夕食。 麺を茹でてハインツのアラビアータ=ソースで食べる。 キムチと豚を炒めて、 近所の酒屋で買った安ワインを飲み呑み、、、(まだ飲むか)。


Jan. 10th (Sat.)

正午起床。昨日は 0 時前に早寝したのに変だな。 珈琲をいれて、、、と思ったら珈琲切れてるのだった。 じゃ紅茶、と思ったらこれも丁度なくなってる。 日本茶は何故かいくらでもあるので、 日本茶を飲みながらメイルチェックとあちこち巡回。 ニューヨークもアジア通貨の大不安を受けて、 全面大暴落。史上四位の下げ幅。

朝昼ごはんは月見饂飩。
近所のスーパーに買い出しに行く。 その中の本屋で森博嗣の「夏のレプリカ (Replaceable Summer)」を購入。 今度の冒頭の引用は夢野久作か、、、 夢野久作の文章は二三行で読めばすぐわかりますね。 カタカナで擬態語を頻繁に入れる変な言語センスとか。 実は僕は夢野久作はあの泥くささというか、 なんと言えばいいのか、誤解を恐れずに言えば「田舎くささ」、 「貧乏くささ」みたいなものが、 どうも受け入れられなくて好きではないのだが。 もちろん、その「泥くさい」所も決して、 しみったれてはいない高貴なものだと思うし、 やっぱり世界に誇る奇書「ドクラマグラ」を書いた大作家だし、 三一のあの黒にどぎついピンク文字の全集もわくわくしながら読んだけど。 だけどやっぱり、ちょっとキライです。

その辺りの(ってどの辺り?)好事家は、 夢野、小栗、久生のどれかに御執心ということが多いが、 私は久生派で、あの「完璧な嘘つき」、 スタイリストぶりがたまらなく好きです。 久生十蘭については、橋本治が書いた書評、 特に「母子像」について書いた一文が素晴しくて、 それを読んで以来、橋本治は天才だと思っています。 (関係ないが、中村歌右衛門について書いた評論 「花の盛りを舞い狂う」だったかな?、も秀逸。) 逆に久生について書かれた一番駄目な評論は澁澤龍彦だな。

えっと森先生の新作の話は、、、 掃除と洗濯終わってから夜、読みます。

関東のW嬢からメイル。 悪質なプロバイダ攻撃についての話題。 ニュース は読んでいたが、W嬢のメイルのお導きでちょっと調査。 うーむ、ここまで悪質だったとは。 確かにプロバイダのセキュリティ意識があまりに稚拙だったため、 そこを突かれた形だが、いくらなんでも悪質すぎる。 HighwayBLOOD と名乗るクラッカーだが、 こういうことして何が嬉しいんだろうな、、ただの変態的犯罪者だと思うが。


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