1998 Oct. 前期 (Arcana 18)

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過去のお言葉

Oct. 1st. (Thurs.)

午前中はチェロの練習。 阪大での数学会に参加する予定だったのだが、 プログラムを見てみると僕の分野の講演は昨日で終了していて、 今日は特別講演などもないし、 大阪まで行く意味がまったくないことに今日になって気付く。

結局、家で仕事をすることにして、先週末にサボった分の翻訳を まとめて片付ける。 夕方から三条に出て、本などを買っていると、 昨日から学会に参加している白井君から入電。 丸善で待ち合わせをして、夕食を一緒に食べる。 白井君はもう一日関西にいるそうで、今日家にお泊めすることにする。

今日買った本。「ケンブリッジ・クインテット」(J.L.キャスティ)、 「雇用・利子および貨幣の一般理論」(ケインズ)ほか、 数学の専門書など。 「ケンブリッジ・クインテット」はスノウ、ヴィトゲンシュタイン、 ホールデン、シュレディンガー、チューリングの五人が 夕食を共にしながら言語、知能、機械などについて議論を闘わせる、 という小説(?)。

Oct. 2nd. (Fri.)

白井君と一緒に昼食をとって山科で別れ、BKCへ。 学系会議のあと、軽い懇親会みたいなものがあって、 さらに有志で南草津に呑みに行く。 結局、途中でラーメン屋をはさんで、さらに二次会に行ったため、 帰宅したのは二時半くらい。

学系会議で「立命館の理工出身者が最近なっとらん。特に基本的な ことを知らない」を各企業の就職口担当から意見されている、 と報告があったが、 その内容は「ベルヌーイの定理を知らなかった」とか、 「機械なんとかについて何も言えなかった」とかで、 そんなことで質が悪いなどと言われる方も災難だなあと思ったり。 自慢じゃないが、僕だって「ベルヌーイの定理」を知らない。 一体、ベルヌーイ一族のどのベルヌーイのことなんだ。 大体、思いつきでした質問について「こんなことも知らん」 などと言う理由で、 学生を計るような企業はさっさとデフォルトしてしまえ、と思うが、 結構大企業がこの調子らしく、企業の就職口担当なんて、 その程度の浅薄さか、と思ったり。 そんな人に拾われて、そんな人の下で働くとしたら、 企業人も楽じゃないんだろうなあ。

Oct. 3rd(Sat.) - 4th(Sun.)

山科駅前に大丸、ホテルなどを含むビル施設がオープンしたため、 山科は随分と人が多く賑やか。 土曜、日曜と午前はチェロの練習、午後は翻訳など仕事をしてから、 三条に出て本や CD を買って、Cafe Riddle で一服して帰るという、 いつもの週末。

週末の読書。「人狼城の恐怖(第三部探偵編)」(二階堂黎人)、 「シャーロック・ホームズの功績」 (アドリアン・コナン・ドイル&ディクスン・カー)、 「おうちで指揮者」(カリンスキー&グッドゴールド) など。

「おうちで指揮者」は CD を聴きながら家で指揮をする方法を教えます、 というケッサクな本で、しかもおまけの指揮棒付き。 クラシック好きなあなたもこの本を買って、 スピーカーの前で思いっきり指揮をしてみましょう。 うっかり指揮を間違えた時は、 「ここはリハーサルの時にちゃんと注意しておいたのに、、」 とか、 「始めから、もう一度!今度はちゃんと合わせて」などと つぶやきながら CD をかけ直す、などという素晴しいアドバイスつき。

Oct. 5th(Mon.)

自宅でたまっている仕事を片付ける。 途中、逃避としてビデオにとってもらったドキュメント "Remembering Jacqueline du Pre" を見たり、 チェロの練習をしたり。

食材を買うために大丸に行ってみる。 随分と広い食品売り場で、すっかり御機嫌な主夫な気分になって、 あれこれと買物をする。 ついでに上階の本屋で本を買って帰る。
買った本は「ピエール・リヴィエールの犯罪」(フーコー編)。

今日は仕事のため、フーコーは読了できず。 でも、これは面白い。絶対おすすめ。 二部に分かれていて、第一部は十九世紀にフランスで起こった ある殺人事件の裁判書類、犯人の手記、新聞記事などの訴訟記録で、 第二部はフーコーを中心とするゼミナールでの共同研究として、 その記録を様々な角度から論評するもの。 特に犯人の手記が興味深い。

Oct. 6th(Tues.)

午後からBKCへ。 「留学生数学」でベクトル空間などを教え、 その後暗号ゼミ。院生のT君が前回に続き RC6 について解説など。

夕刻、ついに引越しの荷物が到着。

もう、えらいことになってます(泣)
そういうわけですから、整理に来て下さると公募に応募してくださった方、 今週の日曜日くらいでいかがでしょうか? メイルでの連絡まってます、、、

Oct. 7th(Wed.)

午前「情報処理演習」、午後「情報学実験」。 どちらもコンピュータを使ったプログラミングの演習なので、 時間が長いわりに楽ではあるのだが、 自分にとっては益するところなく、つまらないことは確かだなあ、、、 来期は数学の講義だけになるらしいので嬉しい。

夜は数学科の新任教官の歓迎会に参加。草津の某所にて。 さらにその後、山科に帰ってから、 近所に住んでいる数学科のA君と一緒に飲み直し。

デカルトの「方法叙説」について、 「叙説」が正しいのか「序説」が正しいのか、という質問あり。 僕は今まで「方法についての説を叙する」のであって、 「序論」の意味ではないから「叙説」が正しいと思っていたのだが、 実際には「方法序説」と翻訳したものも多く出版されている。 辞書にあたってみると、「序説」には本論の前書きとしての序論という意味と、 まさに「叙説のこと」という意味もあるらしく、 用例として「方法序説」があがっていた。 よって結論としてはどちらも正しいのだが、 「序説」の方が二次的という気がする。

Oct. 8th(Thurs.)

自主自宅勤務。 雑務を家でいろいろ。 最近、疲労がたまっているようで、ちょっと横になったら 二時間ほど昼寝までしてしまった。

今日の読書「有限と微小のパン」(森博嗣)
本質的に「塗仏の宴」と同じことをやろうとしているのかもしれないが、 こちらの方がはるかに僕にとっては面白かった。 もちろん真賀田四季博士のファンなので、 彼女が出てくれさえすれば面白いと思うに決まっているのだが。

ちなみに僕の住所の部屋番号も 7 の倍数です :-)

Oct. 9th(Fri.)

午後からBKCへ。 雑務を次々とこなし、夕方から学系の写真撮影。
研究室にある計算機に distributed.net の RC5 crack クライアント を院生のT君と次々インストール。 自分の研究室のマシンも含め今日でおよそ10台を確保。 次のゼミで他の学生にも協力を願うことにしよう。

どうしても疲れが抜けず、家に帰ったらまた1時間ほど仮眠を とってしまった。 今日は来年のサマーセミナーの幹事用の資料が届いたりしたこともあって、 これから来年にかけてやらねばならないだろうことを数えあげていると、 気が遠くなってきた。

夜は久しぶりに(おいおい)、数学を考えたり。

Oct. 10th(Sat.)- 12th(Mon.)

日曜日、友人のT君に家に来てもらって、 下北沢から届いた荷物(ほとんど本)の整理を手伝ってもらう。 ダンボール箱から本を出していってみると、 2000冊ほどと概算していたのだが、 おそらく3000冊は越えているものと見られた。 あまりのことに少し作業を始めると呆然としてしまい、 夜も早かったが近所の居酒屋に食事兼呑みに行く。 さらに家でワインなどを飲んで第1日は終了。

月曜日、近所で書架を買ってきて、さらにどんどん整理を続ける。 しかしまた夕方くらいで挫折。 現状で普通のサイズの書架が五つ、その半分くらいの幅のボックスが二つ あるのだが、 おそらく後三つか四つ書架を購入すれば、なんとか形になるだろう とは予想される。 三条に出て、夕食を一緒に食べて解散。


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