おかしな話 08.09.06

ISO関係の本や雑誌に認証機関のお偉方とか有名(?)な審査員が、いろいろなことを書いている。そんなのを読むと、なるほどと思うものもあるし、そりゃねーだろうと思うものもある。もちろん人により立場により判断は異なるとは思うし、見解の相違があっても良いと思う。そりゃ世の中さまざまである。

しかしおかしな話はやっぱりおかしいと思う。
ある雑誌で年配の審査員が過去の栄光を語っていた。私はこのような審査をしてきた、審査を通してこのような成果を上げた、私は後進をこのように育成してきた、しかし世の中にはISOを正しく理解していない組織が多くて困る、だから私は・・・
その方の文章を読むと、世のおかしなISOを批判する論旨はまっとうであり、彼が例にあげた成果には恐れ入るばかりだ。まさに彼の前に敵なく彼の後ろに勝者なしという栄光の記録である。映画スターに例えれば主演以外演じたことがないグレゴリーペックのようであり、ISO19011を体現した理想の審査員としか思えない。
実を言って私は一度だけだがこの審査員の審査に立ちあったことがある。また彼の評判を彼の審査を受けた事務局や彼を知っている他の審査員からいろいろ聞いている。それから考えると、彼の審査はかなりまっとうではなく、後進の指導もまっとうではなかったようだ。書いてあることをうそ800とは言わないが、真実の過去は書いてあることの半値八掛け(はんねはちがけ)、話半分どころか話9割と想像している。
そのケースについて私は見聞きしていたのでかなりほらというかふくらし粉が入っているなと思ったのだが、知らない方が書かれたものが真実なのかほら話なのか想像もつかない。だからなるほどと思った方も実際はそうでないかもしれないし、そりゃねーだろうと思った方も実物はまっとうなこともあるだろう。実際、某誌に変なことを書いていた某氏を「考えがおかしいね」と語ったら、ご本人に会った方から「そんな人ではない」と言われたことがある。
もちろん規格解釈などについては、書かれたことがすべてであり、誤解することは少ないだろうし、誤解されたら誤解されるような文章を書いたのが悪い。
いずれにしても、会ったこともない人が書いたものを読んでその方を理解しようとすることは、真実が伝わりにくく非常に頼りにならないものである。

似たようなものに新聞の書評欄がある。書評欄の十中八九は推薦文である。この本は買わない方が良いなんて書評を見たことがない。しかしその評価と推薦が適切であろうかと考えると、先ほど述べたように信頼できるとは言えないだろう。一般論として、すべての本に関して、プラスに評価する人もいるだろうし、マイナスに評価する人もいることは必然である。まして評者が著者の師とか弟子の場合もあるだろうし、あるいは親類縁者ということもあろう。書評の信頼性などはゼロかもしれない。
私は新聞等の書評欄には、支持者、批判者の両方を載せるべきだと考える。それを読んだ人がどちらがもっともだと思えるかを判断すればよい。
最近ウェブで見たのだが、「(主張が異なる方の本を読むまでもないので)読まないで批判する」と語っていたとんでもない超能力を持つ大学教授がいた。 
「読まないで」とは冗談半分としても、やはりそういう言い回しは上品ではないしフェアではない。そのような言い回しは、主張の正否にかかわらず相手に対して失礼千万である。それよりもなによりも己自身を貶めていることに気がつかないのだろうか?
ちなみに私は低レベルを重々承知ではあるが、推薦する本という言いたい放題を書いている。そこでは「推薦する本」というタイトルながら取り上げた半分は推薦し、半分は推薦していない。この本は買わない方がいいよと書いている。是は是、非は非である。

自分の考えを文章にして、それを読んだ人が理解するというコミュニケーションは真意が伝わりにくい。それどころか面と向かっての話し合いならお互いの意思が疎通するかと言うと、それであっても非常に難しそうだ。
何十年も前のことだが石原慎太郎が「私は言いたいことの何割かしか言葉に表せないし、その私の言ったことの何割も理解してもらえない」と語った。まさしく同意である。
見かたを変えると、思うことを偽らずとも相手に誤解をさせることは可能で、事実のみを語って人に主義主張を誤解させ支持を取り付けることもまた可能なことだ。
「君がお金を盗んだのか?」と言われて、「置き場所を変えただけだ」と理屈付けして「盗んでいない」と答えても事実でないとは言えない。
万引きしたのではなく、たまたま手がひっかかりバッグに品物が入ってしまったのに気が付いたものの家まで帰ってきてしまったに違いない。 
殺人だって単にナイフを突き出したらたまたまそこに人がいて、たまたま運悪く死んじゃったということなのかもしれない。

「消費税反対、老人福祉を充実」と語る政党は、「高所得税、若年に高負担を」と考えているかも知れず、考えなくても税収がなくては福祉も教育もできるわけがない。しかし消費税反対だけを聞いてその政党の支持を決める人も多いことは間違いない。だから民主主義において国を悪くするのは有権者なのだろうが、誘導するのは政党でありマスコミであることは間違いない。
そういうレトリックが政治なのだと言えばそうなのだろうし、マスコミとはそういうものだといえばそれまでなのだろう。しかし非常にアンフェアな方法ではあろう。
自説に反対の本を読まないで批判する大学教授より悪質であることは間違いない。

そのような悪質、大規模なキャンペーンに比べれば、前述のISO審査員の自己宣伝に、多少の、いや大幅な脚色があってもまだ許せる範囲なのかもしれない。

くだらないことを書いているなんて言わないで
このタイトルを見てハハーンと来た方、あなたはすごい 



のんきなとうさん様からお便りを頂きました(08.09.06)
おかしな話
オバQ様、私は以前あるコンサルティング会社に勤め、そこそこに有名なコンサルタント氏のお供をし、コンサルタントの見習いをしていたことがあります。
世の中おかしな話が多いこと、納得します。こんなコンサルティングによく顧客は貴重なお金を払うものだと・・・。顧客の一人と二人で話す機会があったとき、「他でもこのようになさっているのですか?」と非難の目で問われました。現場作業に近い担当者とのインタビューでは話が噛み合わず紛糾しました。軽蔑のまなざしを一身に浴び身も凍る思いをしました。しかし、上層経営者とのインタビューは和やかに進みました。コンサルティングの後の顧客アンケートは経営者レベルに記入していただきますので、満点で返却されます。このコンサルタント氏、顧客では、「先生、先生、・・・」と呼ばれて持ち上げられ、そこそこに出世し、団体の理事や、大学教授の席も得たようです。私は二度と近寄る気はありませんが・・・
私は、コンサルティング会社でコンサルタントになるための「虎の巻」で訓練をうけました。要するに、服装、身仕度、応対、プレゼンテーション、インタビュー等、に関する心得です。ISO審査員にも、「審査員の心得」たる本が出版されていますね。所属している認証機関でも、そのような教育も受けるのでしょうね。
ブログで著名なある審査員は次のように仰ってます。「審査員に必要なのは、経験、カン、度胸。そして、演技、演出ができること」、また「重要なのは、対話力とコミュニケーション力」
そうなのかな〜。
世の中、おかしな話が多いです。
しかし、中国人や韓国人の凶暴さに比べると、小さい、小さい。
のんきな日本、平和な日本と言うべきでしょうか。

のんきなとうさん様、毎度ありがとうございます。
コンサルタントに企業は何を求めているのでしょうか? 聞くところによると業界団体から頼まれた、恩師である、会社の元上司などなどのしがらみで捨て扶持的なものも多々あるようです。
時たま会社に来て素晴らしいアイデアとか改善提案を頂けると思うなら、期待が大きすぎでしょう。
私には、のんきなとうさん様が列記した、経験、カン、度胸、演技、演出のいずれのキャリアも才能もありませんのでコンサルは無理のようです 

あらま様からお便りを頂きました(08.09.06)
パクリ
佐為さま あらまです
小生の亡父は、昭和30年代にアメリカの「品質管理」に接し、生涯の仕事を見つけたようです。
当時は、日本に合った品質管理の本が少なく、亡父は、大学の教授とともにテキストを作成しました。
当時の亡父は、夜間高校に行きながら、仕事をしながらの執筆でありました。
そうして出来たテキストは、その大学教授の著書として世に出て、執筆した亡父の名はそのテキストにはありませんでした。
どうやら、当時中卒の亡父の名は邪魔だったようです。
そんな具合ですから、学者さんに書いたものは所詮そんなものなんだと、小生の幼心に刻まれました。
最近は、シャドー・ライターと言う職業があり、タレント本の執筆者のほとんどは、そのシャドー・ライターによるものなんだそうですね。
しかも、論文なども、コピペで間に合わせているのは学生だけではないようです。
どうやら、実務経験のない学者さんの書いたものには、「命」がないように思います。
そんな学者さんが「力量」を測定する方法を論じているのを見ると、笑ってしまいます。

あらま様、毎度ありがとうございます。
大学の先生といっても専門分野もあるし、かすっている分野もあるし、関係ない分野もあります。私は、有名な先生でも専門分野以外はただの人と認識しています。
そして偉大の人であっても常に偉大であるとは限らないし、偉大でなくても語っていることが真実でないとは限りません。
我々は相手が誰であるかでなく、相手が語っていることを量って評価すべきですよね
最近、某大学で有名教授の公開講座を聞きましてそう思いました。
シャドーはボクシングだけにしておきましょう。

うそ800の目次にもどる