予防処置として予防保全や日常点検、あるいはさまざまな管理指標の傾向監視など考えられるが、神ならぬ人間だから、いまだかって発生していない事象を予測できるはずはない。FMEAであろうとFTAであろうと、考えられるものしかとりあげないのは当たり前だ。考えつかないものを取り上げることは不可能だ。ということで、厳密に言えば予防処置と言われているものはすべて是正処置である。
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軍隊の勲章の話である。旧日本軍では戦死しないと勲章はもらうことは困難だったらしいが、アメリカ軍は生き残った人にしか勲章を与えなかったと聞く。アメリカ軍で勲章をもらうためには「上官に見えるところで、手柄を立て、そして生き残ることが必要条件」と本で読んだことがある。 ところでこの場合、準備万端で圧倒的勝利を収めた場合、それは高く評価されないように思える。準備つまり予防処置が不足して、苦しい戦いののちに勝利をつかんだというストーリイが一番高く評価される完ぺきなシナリオではないだろうか? 野球でファインプレイというのは限界ぎりぎりという状況で達成することである。あらかじめボールが飛んでくるところで待ち構えていれば、ファインプレイではなく、カッコいいとも思われない。 じゃあ、敵の術を予測でき、未然に防ぐ選手あるいは監督は一見平凡に見えてしまうではないか? 長嶋と野村の違いはそこだと思う。もちろん野村が天才でファインプレイにも名指揮官にも見えないのだ。 |
【この会社は、予防処置というものを理解していないようだ。不適合にはできなくても観察事項に・・】審査員の心の中
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【規格通りに予防処置が取られていると・・】審査員の心の中
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たいがぁです。 予防処置に関する14001の文言には常々違和感がありました。 まず、規格に書いてあるようなことが理想であり、それを神ならぬ人間が実行・実現できるのか、はなはだ疑問である。特に予防処置というものは難しい。ISO-TC委員でさえ、「予防処置というものが可能なのだろうか?」とおっしゃる人もいる。 4.5.3では「顕在及び潜在の不適合に対応するための並びに是正処置及び予防処置をとるための手順を確立し」とあります。「並びに」の以降はまあいいとして、問題はその前の部分です。 「潜在の不適合」と「起こり得る不適合」とは意味が異なります。「潜在の不適合」は、予見できようができまいが潜在の不適合全てを指すとも文法上は解釈できるわけですが、おばQ様の言うとおりヒトは神ではないのですから、実務上は予見できないことについてまで先んじて対策をとることなどできるわけがありません。 また、「顕在の不適合」には未だ発生していないが「起こり得る不適合」も含まれると考えることができます。であれば、「顕在及び潜在の」という文言は事実上意味がないということになります。 幸いにして私は今まで出会ったことはありませんが、もし「予見できない不適合」への対策までも要求する審査員がいるとしたら、まったく対処不能ですね。^^) |
たいがぁ様 毎度ありがとうございます。 規格の原語は「潜在」は「potential」で「可能性のある、潜在的」あるいは「起こりえる」という意味のようです。 決して「予期せぬもの」ではなく、単に「まだ発生していない」という意味と理解します。 つまり自社で起きた事故、報道された事故や違反のように、既に起きた問題で既知のものであって、自分のところでは現実には起きてはいないが起きそうだという問題に対することが予防処置かなと私は思っております。 だって、知らないことは知らないもーん まあ、是正処置か予防処置かなんて神学論争はどうでもいいことでしょう。 環境先進企業といって間違いないIBMは過去に地下水汚染や流体流出の事故を起こして、その徹底的な再発防止策を行ってきたと言います。そんなことはIBMのウェブサイトに記載してあります。 その結果、無事故や無違反まではいきませんが、事故も違反も少ない環境優良企業になったのです。 IBMの名誉のために申し上げておきますが、IBMは毎年の違反件数、罰金金額などをウェブで公開しています。一般企業ではそこまでしていません。事故や違反が報道されても、翌年の環境報告書でそれについて言及していない会社などザラにあります。 夢みたいな予防処置を考えていては、決して無事故無違反というゴールにたどりつかないように思います。 |
本来業務の不適合 どうも、鶏です。 「本来業務の不適合」についての、鶏の見解ですが。 そもそも、規格において再発防止を行なうべきと要求されている「不適合」は、「環境マネジメントシステムの範疇」において、ですよね? 「環境マネジメントシステム」とは、「経営の規格」ではなく、あくまでも環境側面の管理を行うための仕組みです。 つまり、このシステムで扱う内容は本来、組織が「管理出来る」と宣言したものに限るわけです。この時、本来は管理できる筈だった公害の数値等が基準値をオーバーしたとすれば、それは「不適合」として再び管理下におけるようにする必要があると思います。つまり是正処置です。 しかし、売上高のような不確定要素の強いものは到底自社だけで「管理」できるものではありません。であれば、事実上管理不可能になものに管理システム上の「不適合」をつけるのは筋違いではないでしょうか? 管理できないものに「再発防止」なんて出来る筈がありません。 また、規格では「目的・目標・実施計画」について、「レビューしろ」と書かれています。 ゴルフのホールインワンのように狙ったところにピンポイントで落とせる改善など、そうそうあるものではありません。大抵は行過ぎか、ほとんどの場合は未達で終わるのが常であります。そうした場合に必要なのは、その結果を受けて「じゃぁ次にどうすればいいのか」を前向きに考える、つまり「レビュー」することだと、鶏は考えます。 |
名古屋鶏様 毎度ありがとうございます。 へい、あっしも名古屋鶏様に半分同意です。 後の半分はどうかって言いますと、まだはっきりと決めかねているところがあるものですから・・ とはいえ、これはケーススタディじゃなくて、実際にあった応答ってとこがみそというか、困ったところです。 |