ISOに関して、たいていのことには驚かない自信があったが、本日はその自信は軽く打ち砕かれた。 発端は、知り合いから見せてもらった審査報告書である。 ISO9001の審査報告書で認証機関は日系大手である。 そこには・・ 「内部監査のチェックリストに方針の要件a)からe)までの項目が記載されておらず、盛り込むことを検討すべきである」 というものである。 さすがに不適合ではなく、「改善の機会」と書いてあった。 改善の機会か・・・ 「QMSの継続的な改善についてのコミットメントがどこに書いてありますか?」 「品質目標の設定とレビューの枠組みは書いてありますか?」 「組織全体に伝達し理解させることはどこにありますか?」 「方針をレビューすることはどこに・・・」 そんなことを内部監査で聞くべきだと、お考えの方は何パーセントくらいいるものだろうか? 私の同志には一人もいないことは間違いない。 審査員には半分くらいいるのだろうか? ISOTC委員は全員なのだろうか? 興味がある ちょっと考えればそんなことを方針に書けなんて要求はない。 それにそんなことを聞けば会社は良くなり、顧客満足は向上するのか? 仮に、そんなことを書いてある内部監査チェックリストがあって、審査員が「もうそんなことは卒業しましょう」というなら、当然だと思うのだが・・・ |
2011.06.30追加 本日見かけたものを2つ その1 工場見学者の受け入れや、外部に省エネの講師に行っています。 これは外部コミュニケーションですから、そのようなことを実施すること及びその手順を定めていないのは不適切です。これを定めるとよりよいシステムになります。 その2 環境方針を見直しましたが、調達先に伝達していません。 これは不適合とはいえませんが、実施することが望まれます。 ふたつは別の認証機関であるが、どちらも日系の大手である。 |
佐為さま 楽しい文章ですね。やはりユーモアは大事なのだと思います。 色々な言い方があると思いますが、実際に受ける側の立場で考えれば、実際には「不適合で無ければいいや」が本音では無いでしょうか。 受ける側は認証が必要なので、無駄な時間や議論も避けたいのかもしれません。 (これだとネタとして面白くないし、佐為さまの色々な回答は読んで楽しいのですから、 わざわざ、つまらないことを書いて済みません) 一方で、審査する側の立場で言えば、私が関連する技術系認証では、こういう場合にはFYI (For Your Information)という分類があります。 意味は「問題ではないが、ちょっと気になりました。 参考になれば幸いです。」ということです。 ISO認証がネタになるのも、不愉快な経験や、無駄な作業をした人が多いからだと思います。 ものは言いよう、始めからFYIとして言っていれば、相手も「なるほど参考になりました」と奉り、「不適合でないなら、好きに言わせておけ」と内心で思うでしょう。 言った側も、奉られれば悪い気はせず、かと言って調子にのって「指導」などしないのが大人の分別なのです。 思うに、審査する側が、「教えてやるぞ、指導してやるぞ」という尊大な態度や気持ちを捨てて、少しでも参考になればという「FYI精神」を持ったら、こんな風にはネタにされなかったのだと、素人なりに思いました。 |
外資社員様 毎度ご指導ありがとうございます。 道理に合わないことがあったとき、怒り狂うか、穏やかに対応するかの違いが、私と外資社員様の大きな違いですね。 反省します。といっても既に40年も手遅れであるのですが・・・ 根本のところには、審査員が上位であるという意識があり、指導してやるという意識があり、教えに従えという意識があることに、私は納得できないからでしょう。 実生活においてもその性格と行動は隠せずに現れて、大成しなかったということは認識しております。 世の中にはいろいろな方がいるわけで、そういう人の顔も立てながら、自分の主張を通すことができる人がリーダーたりえるのでしょう。 とはいえ、私は自分のキャラクターが好きで(嫌いになったら自己嫌悪ですから)今の人生を悔やんでもおりません。 困ったものです。 |
根本のところには、審査員が上位であるという意識があり、指導してやるという意識があり、教えに従えという意識があることに、私は納得できないからでしょう。 同感です。 私なんぞは本質的に天の邪鬼なために、こうした権威ぶったものにはついついおちょくりを入れたくなります。 というか、そもそも組織が金を払って審査させている以上、審査員が上位というのは明らかにヘンで、せいぜい対等か下位のはずです。 これは組織側にも責任があって、認証欲しさに少々へんな指摘を受けても唯々諾々になるからでしょう。それが積もり積もれば、審査員も増長していつの間にか自分は賢くエライのだと勘違いするのはやむを得ません。 だいたい、自社の経営方針を購買業者にくまなく配付するような会社はないと思うのですが、不思議なことにこれが「環境方針」と名が変わればそうすることに組織側も審査員もおかしいと思わないわけで、どちらも正常ではありません。 規格は、単にEMSのコンセプトを「関係者に」周知せよとしか言っていないわけで、これがどうして紙文書(環境方針)を全ての購買業者に配付せよという解釈になるのか、百歩譲って配付したとしてそれがどう規格の意図を満たしたことになるのか、誰も深く考えようとしないことが今のアホ審査が抱える本質的な問題だと思います。 「我が社は適用可能な法令を遵守し、環境汚染の防止に努めると共に環境マネジメントシステムを継続的に改善します」などといった寝言のような文書をもらった側は、それをどう受け止めて、どう対処しろというのか。そんな肝心なことは放置しておいて、ただ送付して受領書をとることにいったい何の意味があるのか。 審査の場で、一度ガチンコでそれを議論してはどうかと思う次第です。 |
ぶらっくたいがぁ様 毎度ありがとうございます。 たいがぁ様も私以上にガチンコ勝負ですね、 まあお金を払うほうが偉いとは一概には言えませんが、対等であることは間違いないでしょう。 そして15年前ならいざ知らず、21世紀の現在では認証がホシイという会社はなく、認証して会社を良くしたいというところがほとんどでしょうから、指摘されたことが意味があると思えなければ同意しがたいと思います。 しかし・・・ 大の大人がよそ様の会社に行って 「環境方針に規格の言葉が漏れています」とか「4.5.5項に記録を残すと書いてありません」なんて言っていて、自尊心が傷つかないのでしょうか? その前に、考えもしていないのかも? ところで、イギリスの会社でISO14001を担当している方に「イギリスでは有益な環境側面なんて要求されませんか?」と聞いたら、「なんじゃ、それ?」との回答でした。 有益な側面と語る認証機関はグローバルじゃないようですし、有益な側面を求める審査員は国際基準を満たさないようです。困ったものです。JABはなにをしているのか? CEARはなにをみているのか? |