こんばんは。
水城というものでございます。
それでは続きです。長くなりますので、分割してメールします。
では、失礼とは思いますが、最初に批判から入らせていただきます。
佐為さんは、「何もやらないよりは、やった方がマシだ」と主張されてます。
しかしそれは、理屈の上では完全な誤りです。
つまり、それがとんでもない愚行であるなら、何もしない方がまだマシってもんでしょう?
ですから、「何もしないくらいなら、経済制裁した方が良い」なんていう佐為の論は、そもそも成り立たないんです。
「これこれこういう論拠がある。だから、やるべきなんだ」という説明がない限りはね。
しかし佐為さんは、そういう説明を全くしていません。
先にも書いたかと思いますが、現状をどう分析するかという洞察もない。
この先、事態はどう推移していくのか?という予想もない。
現実に達成可能なのはどのようなことか、そしてそれを実現するために経済制裁はどう有効なのか?これらも全く記述していない。
上辺だけはもっともらしい文言を並べ立て、いかにも説明しているかのように偽っているだけです。
そりゃまあ、佐為さんは、ご自分をアジテーターだと言っておられます。
無知な大衆の情動に訴えて扇動してやろうというのなら、理屈も説明も何もいらないわけですけどね。
しかし、それは真摯に天下国家を論じようという人間の態度じゃ、ないですよ。
これまた失礼と思いますが、前回の批判に続いて、今回は不満です。
そもそも私は、戦争論だけでホームページを作っているような人間です。
お忘れかもしれませんので、一応リンクを紹介しておきますね。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/1217/
http://members.at.infoseek.co.jp/h_mizuki/
そして、これらのホームページは、いずれも理詰めの記述を旨としています。
ええ、それはもう、理路整然と、きっちり筋道たてて、説明しているはずですよ。
自分で言うのも何ですけども。
で、そのようなホームページを作っている人間が、「まだ、北朝鮮に経済制裁すべきでない」と、言っているわけなんですよ。
ということはつまり、「今回もちゃんと論拠があって、そう言っているんだろうな」とは、察しがつくことでしょう。
そして、全くその通りなんです。
私は、何の根拠もない思いこみを並べ立てているんじゃありません。
あくまでも理詰めの考察を、述べているんです。
ところが佐為さんは、それを頭ごなしに否定しようとしていますね?
いや、筋道たてた反論なら、私だって拝聴しますよ。
しかし、佐為さんのは、そうじゃないです。
ただの思い違いに過ぎないんです。
この点、私は非常に不満です。
などとまあ、大口をたたいてしまいましたけど。。
けれど、私も人間である以上、過去に色々誤りも書いており、あんまりエラソーな事を言えた身分でもありません。
この点、割り引いてくださいますよう、お願いします。
今回もまた誤りかもしれないわけですから。
以前、戦略的思考とはどういうものか、説明しましたね?
そのひとつとして、「現状を正しく分析する」というのがあったと思います。
それでは、今現在の北朝鮮を巡る状況はどうなのか? 例の北朝鮮の宣言の前と後で変化したのか?
というと、本質的には全く変化していないと、私は見ます。
まず、北朝鮮の核兵器なんざ、初めから想定内だって事です。
前回のメールでも説明しているでしょう。「北朝鮮は、瀬戸際戦略をとってくるだろう」なんて。忘れましたか?
今回のことは、本質的には、「戦争」という文句が「核兵器」に変わっただけのことです。そしてアメリカは以前から、「当初から想定している」なんて声明しているでしょう。
つまり、これにより状況は何一つ変わってはいません。(ま、アメリカが密かに方針転換している可能性も、万に一つはあるでしょうけど……)
では、その本質的状況とは何か?
というと、これは北朝鮮の苦境でしょう。もはや破綻しており、外国からの援助がなければどうしようもない。
しかし、素直に詫びを入れて経済援助をもらえばいいものを、北朝鮮は敢えて強硬に出ようとしている。ま、前回も説明した瀬戸際戦略というやつですね。
では、これに対する反北朝鮮陣営が進むべき道は?
というと、これも前回説明したとおり。
第一に、北朝鮮には妥協しない。(その結果戦争になっても、やむを得ない)。
第二に、しかし出来ることなら戦争は回避したい。だから、そのような方向へ北朝鮮を誘導したい。
とまあ、そういうことですわ。
たとえて言うなら、ですね。
戦争を始める前に、もはや勝負はついてしまった。そして今、北朝鮮の有条件降伏交渉を行っている。
しかし北朝鮮は、その交渉を有利に進めるため、殊更に強硬姿勢を取って見せている。
適切な例えか分かりませんが、そんなところだろうと、私は見ています。
そして、このゲームの結末は二つにひとつだろうと、私は考えます。
ひとつは、北朝鮮が「すんませんでした」と詫びを入れて終わる。
もうひとつは、戦争です。
そのどちらになるかは、まだ分かりませんが。(それを間違いなく予測できる人物は、たぶん、この世にはいません)。
そして戦争になった場合、火の粉が日本にも飛んでくることは、間違いないでしょう。だから、それは可能な限り回避したい。
では、日本はどうするべきなのか?
というと、「対話と圧力」でしょう。
とはいえ、ここは説明が足りなかったですね。思えば。
つまり、殊更に圧力をかける必要なんざ、ないでしょう?北朝鮮は、そうでなくても自滅寸前なんですから。
そして日本は、その北朝鮮に、経済援助を約束していたでしょう(たしか)。ただし、日朝間の諸問題が解決した後に。
全然適切な例えじゃないと思いますが、例えば三日三晩何も食っていない北朝鮮の前に、カユをもった日本が立っているようなもんじゃないですかね。「おお、そうか、このカユがほしいのか、じゃあ、この要求を受諾しろ」ってとこで。
しかし北朝鮮はそれを拒否するかもしれない。拒否して、四日目の断食にはいるかもしれない。
しかし日本は、あわてず騒がずカユの用意をして待っていればいい。「ほら、ちゃんとカユは用意してあるんだ。そちらが素直になってくれさえすれば、振る舞ってあげられるんだよ」ってね。
そして、ここでも北朝鮮は拒否し、五日目の断食にはいるかもしれない。そして次の日も。……しかし、あと何日耐えられるでしょうね?
ただし、ですね。
そういう状況におかれた北朝鮮は、そのまま大人しく屈服するとは限らないわけです。窮鼠猫を噛むで、なんらかの手段は講じてくるでしょう。
つまりは、このまま行くと戦争だぞという脅迫ですね。あるいは実際の行動を伴う。
それにはどう対処すればいいのかというと、ひとつは日米同盟の堅持でしょう。
それにより、「日本を攻撃した時には北朝鮮は破滅だぞ」という状況を作っておく。
とはいえ、瀬戸際戦略というゲームの特性上、それだけでは完全に北朝鮮の暴発を防ぐことは出来ません。
もうひとつ、やらなければならないことは、メッセージを送ることです。我々は北朝鮮を滅ぼそうとは思わない、問題が解決した後には経済援助も実施する、ということを。だって、どのみち逃げ道がないとなれば、これはやっぱり「窮鼠猫を噛む」になっちゃうでしょう。
で、ずいぶんと長くなってしまいましたが、経済制裁すべきでないと私が思うのは、それが理由です。
つまり、あえてやらないことが、北朝鮮へのメッセージになるだろうって事なんです。それにより、北朝鮮を誘導できる見込みが高まるだろう。すなわち、戦争への可能性を減少させ、我々の目的を達成する可能性を増大させることが出来るだろう。
と、そういうことです。
そして、改めて言いますが、それは北朝鮮のことなんか、全く思いやってはいないんです。ええ、もう、これっぽっちも。
また、それはあくまで「現在の状況を考える限り」ってことです。あるいは、この先、経済制裁すべき状況に変わるかもしれません。それがどういう状況かは、以前に述べたとおりですが。
では改めて説明しますけど、現状での「対話と圧力」とは、どういうことか?
私が思う限り、現時点での「圧力」とは、「北朝鮮の脅しには屈服せず、北朝鮮と安易に妥協しない」ってことです。
破綻状態の北朝鮮に対しては、これだけで十分な圧力となります。
そして「対話」とは、実質的には「これこれの条件が満たされたなら、我々は経済援助を行う。ある程度は、そちらの話も聞く。だから、さっさと屈服しろ、北朝鮮!」ってことです。
すなわち北朝鮮にとっては、有条件降伏交渉に近いだろうと、私は見ています。
ただし、無条件ではない以上、北朝鮮の言い分もある程度は聞かなくてならないわけです。これは、やむを得ないこととして。だから、何らかの形で体制の保証はしてやる必要があるかもしれないと、私は思います。
こちらもなんだか疲れてきましたが、それでも続きです。
まあその、いろいろ書いてきましたけど……
私には、佐為さんは、考えるべきポイントを見失っているように思えます。
自分自身の思いこみにとらわれ、広く大局を見ることを忘れているかのように。
あるいは、上辺だけ見て、物事の本質を見抜くことを忘れているかのように。
佐為さんは、北朝鮮の核を心配していますね。
では、北朝鮮が核兵器を配備したら、北朝鮮の経済は復活するんですか? するわけがないでしょう。北朝鮮が「すんません」と詫びを入れて経済援助を得なければならない状況は、まったく変わっていません。
それとも、北朝鮮が核兵器を脅迫に使うとでも? 「日本に対する攻撃は、アメリカ本土への攻撃と見なす」ですよ。そしてアメリカが、北朝鮮ごときの脅しに屈するはずがないです。
そして、北朝鮮が核兵器を持っていたとしても、それを実用段階に持って行くには、まだまだ時間が必要でしょう。果たして北朝鮮の現体制は、その時まで存続しているのか?こうまで国家が破綻した状況では、軍のクーデターも心配しなければならない状況のはず。
逆に質問しますが、佐為さん。経済制裁を行ったら、北朝鮮の核開発を止められるとでもお考えですか?だとしたら、それはちょっと甘いですよ。
ニュースで流れていたのを見ませんでした? 「北朝鮮軍部の強硬派は、日本の経済制裁を口実として、核実験に踏み切るかもしれない」なんていうのを。
つまり、経済制裁こそが、北朝鮮の核配備を促進するかもしれないんです。すなわち、日本が経済制裁することこそ、実は彼らの思うつぼなのかも。
ずいぶんと長くなってしまい、読むのもお疲れだったでしょう。どうもすみません。
いや実は、書いている私も疲れました。なので、ひょっとして意味不明の箇所など有るかと思います。
けど、とりあえず、今回はこれでお終いです。
まあ、なんですね。
いろいろと、ややこしいことを書いてきたわけですが……
まあ要するに、状況は、北朝鮮との戦争も考えなければならない事態にあると、私は見るわけです。
そうなればもちろん、日本人の血が流されますね。テロやミサイルによって、この日本本土で、多くの犠牲者が出ることに。
そうなっても構わないのか?
と、まあ、そういうことですね。
だから戦争は回避したい。
しかも、単純に回避するのではない。北朝鮮を屈服させ、こちらの目的を、完全ではなくとも十分に達成した上で。
だから、話は複雑になっていくんです。それこそもう、やたらめったらと複雑に。
そして、北朝鮮に経済制裁すべきか否か?なんてのは、実はたいして重要なことではありません。。
真に重要なのは、その複雑さを十分認識し理解することの方です。
それでは、なにか疑問がありましたら、また質問してください。
佐為さんの質問には全て答えたと思いますが、「これについては、まだ説明してないぞ」というのがありましたら、どうか指摘してください。
それはもちろん、私だって、とんでもない間違いをしているかもしれない訳ですから。
というところで、ひとつ書き忘れに気がつきました。
佐為さんは、「いかなることにおいても時は金なりです」なんてメールに書いてましたね。
しかしそれは、真実の半分に過ぎません。
残りの半分は、「急いては事をし損じる」です。
繰り返しますが、この世というものはやたら複雑です。
その複雑さを十分に理解していないと、人を納得させるような議論は出来ませんよ。