監査では何を報告するのか? 2003.07.21
品質であろうと環境であろうと内部監査を拝見しますとまあ、いろいろなことを感じますが、エビデンスの羅列というのが一番多いですね。
  • 文書管理が悪い、そのエビデンスはどの部門にあった文書番号XXXXが最新の改定番号でなかった。
  • 危険物保管庫NO.3において消防法に基づく表示板に記載されていた責任者が既に退職していた。
  • 大防法で定めるばい煙測定結果に公害防止管理者の承認印がなかった。
    などなど・・・・
実は上記のようなことを監査報告書に書けたら立派な方なのです。
不適合を立証する3要素さえ書けない内部監査員なんてのはたっくさんいますからね
上と同じことを見つけても次のような監査報告書を書く方もいます。
  • 文書の最新版を差し替えるように担当者を教育し実施させること
  • 早急に危険物保管庫の表示板を書き換えてください
  • 公害防止管理者の検印を受けるように点検記録の様式を改善願います。
    オイオイ、監査員やめてコーヒーでも飲んでいてちょうだいな。
まあ、けっこうなんですが・・・・本当はけっこうじゃありません
これらの報告書を頂いた経営者(社長あるいは工場長)は何を思うのでしょうか?
「ISO9000あるいはISO14000というのは細かいことまでチェックするもんだ」とか「細かい情報が入ってきて役に立つ」とか「もう現場に行かなくても悪いところが手に取るように分かるぞ」思いますか?

「こんな詳細な事象ではなくてそれらを分析して経営において何をするのか提言して欲しいもんだ」と愚痴をこぼしながらはんこを押している工場長や支店長がいるかもしれない。
そう言った方は エライ!

実は内部監査ではそういった結論を出さなくちゃいけないのです。
イエ、私が言うんじゃないんです。
ISO14001規格4.5.4項
「監査の結果に関する情報を経営層に提供する。」
この言い回し、回りくどいですがよく読んでみましょう。
  • 監査の結果・・・これは文字通り監査で発見された事象、証拠からの結論でしょう。
  • 情報・・・・・・・・・これはなんでしょうか?
    ISO9000では「情報」の定義があります。すなわち「意味のあるデータ」です。
    すると監査報告というのは単に監査で発見された事象をエビデンスやその根拠となる法規制や規格項番を記述してうやうやしく提出すればいいというもんじゃなかったのです。
経営者の身になって考えましょう、
経営者がほしいのは細かな不具合情報ではありません。
    知りたいのは
  • 自分の会社は遵法は大丈夫か?
  • 強み弱みはなんなのだ? なにを伸ばすべきか?
  • リソースは足りているのか?
  • 監査結果 費用削減する部門、項目は発見できたのか?・・
    そして監査の結果、いくら儲かったのか? じゃありませんか 
監査員あるいはそれらを取りまとめる監査責任者はよく考えなくちゃいけません。
監査報告書というものは
監査結果により得られたたくさんの不具合と良い点(これを忘れちゃいけません)を基に、現在のマネジメントシステムが規格に適合しているか否か? 組織に見合ったものであるか否か? 効率は良いかの判定を示さなくっちゃいけません。

本来のあるべき内部監査とはこういったものでないのでしょうか?
でもね、ほとんどの内部監査はセミナーで習ってきただけのままごと監査、いえ監査と言えない監査のまねごとなんですよ、

oldman1.gif 私の論にクレームをつけられる方は 「そりゃあ幸せな方」 です。
あなたのように高いレベルの監査をされているならば世の中に範をたれることができるでしょう。
ISO審査員は高いレベルだろう・・・・あまり期待しないほうがよさそうです。 

審査員研修機関というものが日本に約30あります。私3箇所で研修を受けました。
これは良い審査員研修機関だと思ったのは 一箇所L*Jだけでしたね。
良い審査員研修機関の打率が3割3分3厘とすると日本の残り6割6分6厘の審査機関からは大量の○○審査員が生産されていることになります。受審企業にとっては凄惨なことです。その結果、ISO第三者審査登録というシステムの成算はなく清算されてしまうのではないかと懸念します。 ダジャレです


本日は環境の話か?あるいは監査の話か? あまりためにならなかったな、とお考えのお方、
それは早とちりです、
世の中には一生懸命 憲法や法律を勉強しているけど目の前にある問題に適用できないって人が多々いるんですよ。
あるいは具体的な事象や個々の問題と、総体的な論をつなげない人も多々いるのです。
あなたが日常見ていること、感じていることそういったことを分析して、真の原因を追究すること、そしてその原因とさかのぼっていくこと、それが今 目の前にある問題や事象を解決することなんです。
そうでないと目の前の問題を取り除くだけのモグラたたきになってしまうのです。

学問を使いこなすとはそういったことじゃないですか?
最近頂いたご意見を拝読して感じたもんで・・・論語読みの論語知らずと言いましょうか・・・・ 




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