なぜ疑問を持ったのか?(その19) 2002.07.15
私は今から10年位前に会社の規則を作る仕事に就きました。
それまで、現場で各種手順書などを作成しておりましたが、規則と銘打った文書を作ったことがありません。

とにかく右も左も全然分からないわけです。
まず、参考になるものを勉強しようと考えました。
何から勉強したらいいだろうか?
JIS規格には『JIS Z 8301:2000 規格票の様式』というのがありまして技術標準などの作成基準が定めてあります。
JISはJapanese industorial standard すなわち『日本工業規格』の略なので『JIS規格』と言わず単に『JIS』と言うのが正しいそうです。
しかし会社規則の標準となるようなものは知りませんでした。
本屋には就業規則の雛形とか業務マニュアルの見本などがあふれています。
しかし、それらが会社規則のあるべき姿、あるべき構成、あるべきハイラルキー、あるべき用紙様式とは思えなかったのです。

そこで私が何をしたかといいますと、『六法全書』を買いまして何度も読み返しました。
その目的は法律で定めていることを知ろうとしたのではなく、体系とかつながりとかを知るためでした。
なるほど、憲法があり、いくつかの基本法があり(基本法がないカテゴリーもあります)、その下に一般の法律があり、施行令があり、規則があり、そして通達があり、そして行政指導とつながっているということを学びました。
    判例という困ったものもありますが・・・

実際は『六法全書』だけでは足りずにその下の法律も読まなくてはなりませんでした。当時はインターネットの法令サービスがなく、関係する法律を図書館に行ってコピーをしたりしました。
この体系とつながりの表記に慣れていない人は法律から施行令、規則とたどっていくことが結構難しいのです。慣れると上からでも下からでもスラスラとつながりをたどれるようになります。
上からとは法律→施行令→規則と見ていくことで、下からとは規則→施行令→法律とたどっていくことです。
法律ではこのつながりが明確です。ISOでいう文書の所在・つながり・トレーサビリティですね。
会社規則を作るに当たり、法律の体系(ハイラルキー)とこのつながりが明確であるということが大変参考になりました。
さすが、国家の作る文書体系は一般企業の文書体系とは一味どころか次元が違います。
ISO9000とかISO14001などの事務局担当の方は、『六法全書』や法律・施行令をお読みになると役に立ちますよ。
文書体系とは何ぞや?という疑問をお持ちの方にぜひお勧めします。

しかし、その過程で『憲法とは何なのか?』と疑問を持ちました。
立派な法律があり、施行令に展開し、具体的運用基準を規則に定めている下位の法体系に比べて、最上位にある憲法とのつながりが明確でないこと、そして憲法の中身のオソマツサを強く感じました。
    それがこの私の憲法論のきっかけです。


憲法分かりません?

想像ですが、
官僚とは優秀な方が多いのは周知の事実、
日本のあまたの官僚のみなさんはこの憲法に関して多くの疑問、不満、軽蔑、いらだたしさ、といったものを感じておられるのではないでしょうか?
あるいは、憲法なんてもはや相手にしないと考えておられるのでしょうか?


憲法を守ろう!と叫んでいる方々は憲法を考えたことのない人だけではないでしょうか?
矛盾は9条だけではありません。いたるところ、いえいえ憲法全体が矛盾に満ちています。
憲法を守れ!と叫んでいる方々がお好きな項目についても矛盾だらけですよ、
具体例を挙げましょう。
  • 環境保護
    継続的・体系的に活動するには環境権を憲法に反映しなければと思いませんか?
    そのためには憲法改正をしなければ・・・・・


  • 外国人参政権
    真剣に実現を考えれば、現憲法の文言ではだめだと気付きませんか?
    私は外国人参政権に反対です。
    しかし、民主的手続きに則って改正するなら諾とします。
    ただ、そのためには法改正だけではだめです。憲法改正が必要です。


  • 難民受け入れ、
    現在の憲法には国籍離脱はあっても日本に帰化することについて記述がありません。
    憲法改正をしましょう!


  • 私学助成
    現状では憲法違反です。
    私学助成を恒久的に行うためには憲法改正が必要です。


  • 同性愛者の結婚
    そりゃ憲法改正が必要です、
    すぐ24条を改正しましょう!


  • 天皇制反対〜
    あなた!そんなこと言っちゃあなた自身が憲法違反ですよ。
    あなたが憲法違反といわれないためにはすぐに憲法改正が必要です。


  • 多数の横暴だ!
    これは難しいですね!
    多数決でなくて、少数決という政治制度が作れるんでしょうか(^^)
    とにかく憲法改正案を考えましょう。お力になりますよ!

さあ、憲法を守ろうと叫んでいる方々!
あなた方の主張を通すためには、日本国憲法改正が必須のようですよ!?
大声で、憲法改正を叫びませんか!





本日の懺悔録


私は以前から憲法に疑問を持っていたわけではありません。
仕事上たまたま、法律を読む機会があり、その結果たまたま憲法の矛盾に気付いたにすぎません。

そのような機会のない方が『憲法を守ろう』なんてキャッチフレーズにだまされていることを批判する資格はありません。



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