Back Numbers : 映画ログ No.13



【キャリア・ガールズ】四つ星
女同士の友情、なんてモチーフ、私らにとっては別に珍しくもなんともないものだし、全編見終わってもふ~ん、といった感じなのだが、非の打ちどころ無く良く出来てはいるので、逆にマイナス点をつけるところも見当たらないというか。
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【CURE/キュア】四星半
こ、こんなタイプのサイコ・ミステリーは未だかつて創られたことが無かったのではないか !? 人は誰でも殺人者になれる、っていう下りは私にとっては当然のことと思えるのであまり新味には感じなかったが、観る人の心の襞に密着するようにひたっ、ひたっと展開して、何が現実だか非現実だか、本当のことだかそうでないんだか分からなくなってくるような、その話の持って行き方は今まで見たことが無いタイプのように思ったし、観ていて相当コワいものだった……。今回、役所広司さん、うじきつよしさんを始めとして役者さんが皆すごくうまいと感じたのだが、中でも萩原聖人さんは大変印象に残った。【マークスの山】が殉教者の役ならばこれは福音者の役だってか !? この役が出来そうな日本の若手の男優さんって後は浅野忠信さんくらいしか思いつかないのだけれども、どんなもんでしょう…… ?
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【スリング・ブレイド】四つ星
大人が自分で自分のことをどうにもできないような環境では、子供が刃を持つ以外に無くなるのだな、という寓話。メジャーの作品ではまず見られないような、アメリカの“心優しき弱者たち”の描写の丁寧さが秀逸で、アメリカン・インディーズの底力を見せつけられる気持ちがする。しかし監督・脚本・主演を兼ねたビリー・ボブ・ソーントン(大した才人だ ! )の役柄、ちょっとカッコ良過ぎるような気もしたのだけれども !?
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【タイタニック】四星半
見に行く前はご多分に漏れず、“なんでタイタニック号の沈没がラブストーリーになる訳 ? ”なんてかなり反感に近いものを感じていたのだが、件のラブ・ストーリーは旧世界と新世界の価値観の対立(新世界=当然アメリカに代表されるものである)、という形を採ってうまく処理されているし、閉じこめられた密室からの脱出劇、迫り来る水との追っかけっこなど息をもつかせぬ見どころは満載。文字どおりの絶体絶命の状況に追い込まれた人々の心理の描写(これも相当金を掛けてリサーチしてあるんだろうなぁ……)はちょっと凄いと思ったし、その中でも失わずにいた人間としての尊厳や愛を礎に新しい世界へ旅立っていく、という話の展開は感動的ですらある。世界最大の海運事故を、面白い、で片づけるのは不謹慎なような気もするが、しかしあくまでも娯楽作品として見た場合には、これは文句のつけようがない、完璧な出来映えなのではないだろうか。ううむ、さすがのジェームズ・キャメロン御大である。あまりの上手さに全編唸りっぱなしになってしまった。
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【冷たい血】三つ星
お話としては分かるんだけど……といった感じ。何かちょっと、エモーションの部分よりは観念的な部分が先走りすぎてしまったように見受けられるので、もう少しばかり熟成させて戴きたかったような気がするのだが…… ?
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【ブラス ! 】四つ星
別の映画なのだから比べて云々言うのは間違っている、ということは分かっているつもりなのだ、が、今回敢えて言ってみたい。ちょっと曇った画面の色と、分かり易すぎない自然体の演技が醸す、いぶし銀の魅力。話の筋や泣かせ所なんて最初からほとんど分かっているにも関わらず、やはり泣かされてしまった、話法の安定感。そう、私が【フル・モンティ】に期待していたイギリス映画っぽいテイストってこれなのよ、これ。同じ(?)イギリス北部の失業問題を扱ったワーキング・クラスものとしてどっちか一本を推薦しろと言われたら、私ゃ断然こちらの方をお勧めしてしまいますね。でもって、うーぴーは二人とも元吹奏楽部なので感慨もひとしお。ブラス・サウンドがお好きな方なら、この映画はより楽しめることでしょう。
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