Back Numbers : 映画ログ No.5



今月の一言 : 役所広司だろうが、森田芳光だろうが、渡辺淳一は大っ嫌いなので、【失楽園】には死んでも行かんぞ !!

【イルマ・ヴェップ】四つ星
予告編を見た限りではもっと観念的で親しみを持ちにくいタイプの映画かと思っていたのだが、実際観てみると、ごく普通にストーリーのあるノーマルな映画で、予想していたのよりも遥かに面白かった。(しかしこれってもしかして、最後の5分の部分だけを無理矢理長編として公開させるために残りの部分をでっち上げたんじゃぁあるまいな ? )“映画を創ること”自体を映画にする、なんていう、自らの在り方を客観視出来ないことには絶対に不可能な作業をこれだけ淡々とこなしてみせるなんて、オリヴィエ・アサヤス監督はなんちゅうクレバーなお方なんでしょう。この映画はいろいろな見方が可能だと思うが、は特に、香港の大スター(主役のマギー・チャン)とパリのスタッフがそれぞれの映画観を語る(当然ハリウッドを視点に入れざるを得ないが)ところに、これからの世界の映画業界がますますボーダレス化していく予兆のようなものを感じたので、何かこう、感銘を受けました。
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【イングリッシュ・ペイシェント】四つ星
役者がみんな達者だし、映像もきれい。見応えは確かにある。が、良くも悪くもやっぱりメロドラマだからなぁ……好きな人はもっと好きなんじゃないかと思うが、見終わった時の感想は「それで ? 」というものだった……。
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【うなぎ】四つ星
日常的なモラルの世界を少しとっぱらったところで、人間の生の根元的なエネルギーを描き出そうとする、今村昌平監督の世界は健在である。女の人の性の描き方とか、今時の日本に本当にこんなに心暖まるようなコミュニティが存在してるのか ? とか、年齢的なギャップなどを感じる部分が全くないと言ったらそれもウソになるのだが、それでもこの作品の圧倒的な息づかいを前にすることの歓びの方が、の中では勝利したようだ。これがカンヌで(、というよりヨーロッパの映画祭で)まがりなりにも評価されたというのは、とりあえずはおめでたいことではないか。一応こういった不条理な展開が分かってもらえる土壌が世界中には存在してるんだなぁ、と思うと、何かほっとする。これがアメリカなんかに持っていくとけちょんけちょんのような気もしたりするので(……ちょっと偏見入ってるかな ? )。
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【Emma/エマ】三星半
少し前に欧米でブームになった(らしい)、優雅で上品なジェーン・オースティンの世界。実際にああいう人が身近にいたら嫌かもしれないが、まぁお話の中のこととして観賞する分にはよしとしよう。この愛らしいヒロインをすとんと演ってみせるグウィネス・パルトロウって、本当に育ちがいい人なんだろうなぁ。あと、普段着るものにほとんど気を使っていないさえ気に留めた、あの可愛らしい衣装には要注目。
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【鬼火】四つ星
日本のロー・バジェット映画(失礼 ! )って何かすぐヤクザものになってしまいやすい傾向があるように思う。セックスとバイオレンスを前面に出しやすいからなんじゃないかと思うが、どーもワンパタな気がして好きではない。それが証拠に、ヤクザ映画の中でも面白いものは、実はもっと違った部分をテーマにしてるんでないかなぁ ? 例えばこの映画だと、そんなに簡単に人を殺せるもんじゃないんだよ、ってところをかなり煮詰めてあって、他の単なるヤクザ映画とは一線を画しているように思う。やはり本物を創りたい人達が丁寧に創った映画というのは、何か地力が違うのではないか。今回脚本段階から参加していたという原田芳雄さんはその本領を十二分に発揮し、今まで見てきたどの映画の彼よりも彼らしく見え、その役の上での人間としての情けなさ、といったものもまるごと含めて、すんげぇ渋かったです。
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【カーマ・スートラ】二星半
この映画は、現在のインドの文化状況の中に置いてみた場合、一体どの辺りに位置しているものなのだろう ? 一応面白いことは面白かったのだが、何か「ええっ!?」てな予想外の展開を見せるシーンも多々あったし、昔観たミラ・ナイールさんの映画から較べるとかなり娯楽寄りにシフトしているような気がしたので、現代インドに於ける芸術なり娯楽なりの在り方が分かれば、少しは謎が解けるかな、と思ったのだが ?
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【傷だらけの天使】三星半
同名の往年のTVドラマとは別物、とのこと。トヨエツも真木蔵人も上手で呼吸もぴったりだし、さすがの阪本順治監督、あのオリジナルを向こうに回して似て非なる作品を創り上げた、その力業はさすがである、が、それでもやはりこれが「傷天」というコンセプトの焼き直しにのっかった作品なのは事実であって、そうなると、そもそもどうして今更「傷だらけの天使」という名前のドラマを作る必要があったのかというところを、かえって疑問に思ってしまった。
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【奇跡の海】五つ星
事前にストーリーを聞いた時点ではちょっと解せないものを感じていたが、実際に見てみるとこれがすんなり納得できてしまった。これは紛れもない愛の物語であるが、(キリスト教における)神に対する愛、といった要素を抜きには語れない。ヒロインのエイミー・ワトソンを中心とする役者の巧さもさることながら、ヒロインの突飛な行動にしごく常識的な反応をする周囲の人物の配置、ヒロインとの神との対話の方法の第三者的な描き方(ヒロインの妄想と解釈することも可能だ)、ハンドカメラの手ぶれやピンぼけの多用によるドキュメンタリー的な臨場感……全てが途方もない奇跡をリアルに紡ぎ出すために緻密に計算されているかのようである。これらのピースが全てぴたりと組み合わさって、それこそ何年に一度というような映画の奇跡を生み出している ! これは早くもの今年のNo.1になってしまったかも知れない。しかし、難解な作風で知られる(と思っていた)ラース・フォン・トリアー監督の、一転したこの分かり易さは、一体どういった心境の変化なのでしょうか。誰か詳しいことを御存知の方は教えて。
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【クラム】三つ星
女性に対する欲望と畏れが入り交じった恐怖、といった感情は、申し訳ないが清々しいほどさっぱり分からん。アメリカの病巣がどうの、カウンターカルチャーがどうの、といった以前に、私はクラム爺の人間としての根本のところが永遠に理解できないんじゃなかろうかと思う……困ったなぁ。
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【クルーシブル】一星半
この映画を見に行こうと思ったのは、1.の卒論のテーマの一部だった魔女狩りが主題だったから(セイラムの魔女裁判の話もかつて調べたことがある)2.ダニエル・デイ・ルイスが出ているから3.かのアーサー・ミラー御大の脚本だから……結果、惨敗した。何だかなー、総て大袈裟に仰々しく演出してるだけで、内面的な深みとか全く感じられないんだが。あのダニーちゃんでさえ大根に見えるんだもの、末期症状だわな。
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【グレイス・オブ・マイ・ハート】四つ星
“自分がこんなに強いとは思わなかった”……う~む、個人的に非常に思うところが大きかったので、誰が支持しなくても私は支持する。これは、勝ち星しか知らない人が見ても仕方のない映画である。サントラ方面などから結構話題になっているようだが、特にエルヴィス・コステロ様とバート・バカラック様によるテーマソングの「God Give Me Strength」が超強力ナンバーで、私はこの曲が入ってる故にサントラを買ってしまいました。ただ、私には祈る神とて無いのだが、この映画の主旨からしても、自分に本当にstrengthを与えてくれるものは自分の心の一番柔らかい部分に存在している大切な何か=grace of my heartであり、その正体はやはり人間にまつわる記憶に他ならない、のではなかろうかと思う。最後に、個性派揃いのキャストに拍手 !! 特にジョン・タトゥーロさん、すっかりファンになってしまいました。
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【秋桜<コスモス>】三つ星
敢えてきついことを言わせてもらおう。脚本とかもう少しだけ練って欲しい。今時の高校生がそんなマネするか !? といったシーンや、日常ではまず使わないような教条的な文言をセリフとしてそのまま使ってしまうところなどは、戴けない。言いたいことは分かるんだが、もっとビビッドなやりとりの中に昇華させることは可能だと思うし、その努力は必要だと思う。あと、いかにも文部省推薦教育映画、といったようなBGMも少し何とかしてもらえないだろうかと思った。ヒロインの演技も、健闘しているとは思ったが、惜しいかなところどころ学芸会的になってしまうので、これでOKを出しちゃいかんだろう、と思った。周りの俳優さんとかベテラン揃いで素晴らしいし(特に夏木マリさんは最高 ! )、はっきり言って思っていたよりいい映画になっていたので、どうせならあとほんの少し頑張って、掛け値無しの一級品として通用するレベルまで持っていってみるべきでは ? それこそ真に、地方から文化を発信することに繋がると思うし、あとほんの少しでそれが可能になりそうなのだから、これで妥協してしまうのはもったいなさ過ぎる、と思った。
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【ザ・エージェント】三星半
トム・クルーズ氏の演技も普段とあまり変わりがないようだった(って、うーぴーは以前からトムさんの演技はそれなりに評価していたので)し、実際の仕事上の苦労やクライアントとの友情、助手の彼女との恋愛などの描写がもう少し食い足りない部分もあるような気がした(って、それをやると長くなっちゃうけど)し、正直なところ、悪くないと思うけどそこまでいい映画かしらん ? と思ったのだが……しかし、ここで昔友人に聞いた話を思い出した。アメリカでは“LOSER(負け犬)”というのは一番ひどい侮辱の言葉なんだそうで、だから、“WINNER”になるためには結構手段を選ばないようなところがあって、本音と建て前を使い分けるとか人を陥れるとかいったようなこともかなり平気でやってしまえる部分もある、といった傾向があるんだそうな。その話がもし本当だとすると、この映画はきっと、とにかく勝つことが大事という価値観が行きすぎてしまってぎすぎすしているアメリカの人の心の琴線にすごく触れるものがあったのだろうなーと思う。ということで、この映画がトム・クルーズの最高傑作だといった評価にはちょっと疑問なのだが、これがアメリカでものすごく評価されたということも含めて、90年代のアメリカ人のある種のメンタリティを推し量るのにはいい作品なんじゃないかと思った次第。
余談ですが : 原題のスペルからすると、“マクガイア”、じゃなくて、“マグワイヤー”なんじゃないのか ?
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【祝祭】四つ星
今まで見た韓国映画って、女の人が怒涛のように不幸になる話が多かったもんでどうも今一つ、であった。ただ、クオリティ自体は高いものも多いし、【達磨はなぜ東へ行ったのか】のような大好きな作品もあることだし、テーマがそっち方向にさえ行かなければ、もっと違和感の無い作品もたくさん出てくるのではなかろうかという予感はあった。今回、このような映画を見れて嬉しい限りである。死を祭りとして祝うドラマを演出する、暖かみとユーモアのある豊かな音楽が特に印象に残った。アン・ソンギさんも、相変わらず渋かったです。
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【スリーパーズ】二つ星
これだけのキャストを揃えて、この散漫な出来は一体何なのだ。役者の演技自体は決して悪くないので、思うに、これはエピソードの詰め込み過ぎでは。全部の事にいちいち言及するのではなく、映画的な省略や行間で見せる工夫といったものも必要だったのではなかろうかと思う。
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【太陽の少年】三つ星
はもう何年も前からチァン・ウェンさんのどぁいふぁんだったので、彼が映画を創ったということだけでもう充分どぇす。内容については……各界で絶賛されておるようだから、そちらを参照して下さい。には“少年時代”もなかったし、きらめく青春時代、てなもんもなかったから、左様なコンセプトはよー解析できんのよ。
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【人間椅子】三星半
夢野久作とか江戸川乱歩あたりの幻想怪奇ものって、なんか定期的に映画になってますよね。コンセプトがはっきりしているから映画にしやすいのかな…… ? ま、日本文学の貴重な遺産を有効に活用する分にはいいと思いますが。さて、は清水美砂さんが正直言ってあまり好きではなかったのだが、この映画の彼女はスゴいと思った。今の日本で自分以外にこの役を演じられる女優はいない、と見切った堂に入った自信が感じられる。そう、考えてみれば今までは受け身の役が多くて、その自信なさそげなところが何かヤだったんだよね。これからはがんがん攻める側に回って戴きたい、と思いました。
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【熱帯魚】三つ星
大作、といった趣のものではないが、いかにも手作りっぽいところがまた味になっており、ほのぼのとして懐かしい、何とも言えないおかしみがある。結構こーとー無稽なところも、またよいな。
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【ファンタスティック・プラネット】四つ星
この悪夢のようなイマジネーションの豊かさとシュールさ、さすがの傑作SFと申し上げてよろしいでしょう。しかし、会場がめちゃめちゃ混んでたのには驚いた。う~ん、さすが皆さん面白そうなものには敏感ですな。
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【フープ・ドリームス】四つ星
この映画、もう日本には来ないのかと思ってた。やっと日本で公開される運びになったことをまずは喜びたい。さて内容についてだが、アメリカの黒人の貧困層の置かれている状況がこれだけリアルに映し出されている、というところも勿論興味深いのだが、私は個人的には、人生って難儀やなぁ、という思いを、観ている最中に何度も強くしていた。置かれている環境の決定的な違い、というものはあると思うが、しかし、結局最後には、自分がいかに自分の運命に立ち向かっていくか、という部分に帰結しているのであって、そこのところが実は万国共通のテーマだから、この映画には普遍的な感動を呼び起こす力強さがあるのではなかろうか、と思った。
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【フューネラル】三星半
アベル・フェラーラ監督にしては分かりやすいじゃん ! というのが正直な感想(ひでぇ……)。彼の宗教観が色濃く出てしまうと、他の人にとってみればそれは“解釈”を要するものになってしまうので、今回みたいに「神さま話」が抑えられた作りになっている方がまぁ口当たりはいいかな……なんて、失礼かもしらんが。クリストファー・ウォーケン、クリス・ペン、ヴィンセント・ギャロ、と役者が個性的で面白いので、それだけでも観ても損はないと思う。
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【マイケル】三つ星
ジョン・トラボルタ演じるところの、体型ボテボテで女好きで品がないけどチャーミングな天使、というのは秀逸で、かつてない新しい天使像を描き出すことには成功していると思う(翼が少し安っぽいんでないかい ? とは思ったが)。ウィリアム・ハートとアンディ・マクダウェル(お二人とも大好き ! )のラブ・ストーリーを嫌み無く絡める手腕といい、さすがのノーラ・エフロン監督、と言いたいところなんだけど、ちょーっとこじんまりとしすぎてしまった印象がなきにしもあらず ? で、悪いお話じゃないんだけど、もう少し盛り上がってくれた方が私には面白かったかなぁ、と思ってしまったのでありました。
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【目撃】三星半
大統領の秘密を目撃してしまって追われる主人公、というともっと何かど派手な展開を予想していたのだけれど、これが、絞った人数で練り込まれた、なかなか渋いドラマであった。さすがのイーストウッド先生、といった趣き。
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【憂鬱な楽園】三つ星
はどぉ~もホウ・シャオシェン監督が苦手なんである。いや、映画として大変優れているのはよく分かるし、嫌いとかそういうことではないのだが、多分ホウ監督のまじめで真摯な作品の内容を真正面からゆっくり吟味して鑑賞することが、ぎすぎすして余裕の無い現在のには出来ないってことなんだよな……うぅ。この映画の予告編が今までとは違った雰囲気だったので、「お、新境地開拓か?」などと思って見に行ったのだが、変わっていたのはテーマ音楽くらいで、底辺に流れるものはやはり今までと変わりないものだった……。
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【八日目】三つ星
主人公の二人のキャラ設定に全て負っている、というような感じで、悪くはないと思ったが、予想される以上のお話のふくらみが無いような気がしてしまった。しかしそれよりも気になったのが、「障害者=ピュアで善良」という図式の現れ方。何かしばらく前に、日本のお茶の間でその手のドラマが流行った時、障害者の人達のナマの人間性などに目を向けずにそういった面ばかりが強調されるのはなんだかなー、という意見を述べていた方々がちらほらいたやに聞く。そういった向きにはこの映画、またかい ? と思われる危険性がなきにしもあらずではなかろうか。気にしすぎかな ?
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【ラジュー出世する】三星半
映画大国インドの王道を行く超娯楽大作が日本で劇場公開されるのは40年以上ぶりのことなんだそうな。その40年前の公開状況がどういったものだったのかということはよく分からないのだが、今回見ていて大変印象づけられたのは、映画を見せる側がこれがこてこての娯楽ものだということをよくよく理解している上で、敢えてその線を前面に打ち出したパブリシティを行ったことだ。見せる側の“これは徹頭徹尾娯楽ものだからこそ素晴らしいのだ”といった達観にも愛を感じるが、翻って考えるに、“娯楽ものはそれとして消化することができる”という文化的な成熟がパブリシティを受ける側にもあるだろうということをある程度見越していないことにはこういった宣伝活動は出来なかったはずで、この40年の間に日本の人の心の中には一体何が起こったのだろう ? と考えると、何かとても感慨深いものがあった。さて映画の内容の方だが、これが思っていたより大変あか抜けた印象でびっくり(って単に勉強不足なだけか)。登場人物達の顔立ちやキャラクター設定、そのメンタリティや暮らしぶりにも考えていた以上に大変親近感を抱いてしまったし、娯楽映画のありとあらゆる要素が気前良くサービスされているので見どころは満載 ! だし、これはクセになると結構はまりそうな気がする。いやぁ、これを配給した人は本当に偉いわ。噂を聞きつけた人が結構見に来ていたようだったし、これをきっかけにコアなファン層を獲得して年に何本か公開されるような流れが定着すると、日本の(東京の ? )映画を見る環境というのはもっともっと充実してますます面白いものになると思うので、関係者の方々には是非是非頑張って戴きたいものだ、と思いましたです。
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【ロミオ&ジュリエット】四つ星
あの伝説のカルト映画(?)【ダンシング・ヒーロー】のバズ・ラーマンが監督さんというだけで見に行く理由は充分だというのに、ディカプリオ君まで出て現代版のロミジュリを演るとなれば、何ておいしい映画なんでしょう。多分にミュージック・ビデオ的だという意見もあるようだが、は基本的にこういうタッチは好きなので、最後まで大変楽しめた。ただ、いくら原文に忠実だとはいえ、シェークスピアの時代と現代とではどうしても設定を合わせづらい部分もあると思うので(例えば殺人を犯したロミオ君が警察署長の一存で街を追放されるシーンは、現代の警察機構の仕組みから考えるとちょっと無理があるのでは ? )、細部はもう少々アレンジしてもよかったのではないかと思う……が、まぁこれでもいいのかなぁ。もともとある種、全く架空の世界だと考えればいいのかしらん。ところで、来日していたショートカットのクレア・デーンズ、どこからどう見てみてもチャキチャキのヤンキー娘でしかなかった……えーん、髪が長い時の方が私は好みだったよぅ(泣)。
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【ロング・キス・グットナイト】三つ星
トータルで言えば、どこに100億かかっているのかよー分からん映画になってしまったと思う。レニー・ハーリン夫妻はどう見てもフツーじゃないところが大好きなのだが、今回敢えて言ってしまおう。いくら奥さんだからって、やっぱりジーナ・デイビスをアクション俳優にするのには無理があるんじゃない ? それに、やたら奥さんばっかり目立たせるような映画を作ろうとするのもイタダケナイ。今現在ひょっとしてアメリカ1のバイプレイヤーかもしれないサミュエル・L・ジャクソンを捕まえて、この使い方はないだろう。もっとがっぷり4つに組ませれば、それだけでそれなりの見どころは確保できたはずなのになぁ。
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