天の川伝説

 昔朝廷の命で唐の国に使いに行った貴公私が、数人の織女を って帰国の途中、その一人と恋仲になりました。しかし日本に着いた二人はやがて離ればなれになり、貴公子はわびしい毎日を送っていました。しかしある夜のこと、枕元に天女が立ち「宗像の中津宮へ行きなさい」と告げたのです。どうしても織女に会いたい貴公子は、中央の役目を捨て、中津宮の神仕えになりました。しばらくたったある星のきれいな夜。貴公子が天の川でみそぎをしていると、何と手樋の水鏡に、あの織女が映っているではありませんか。夢ではありません。こうして二人は時のたつのも忘れ、いつまでも無言で語り合いました。

    OHSHIMA STORY 大島の歴史 伝説

  山童伝説

 万廷・文久年間(1860〜1864)頃から明治中期にかけて河童に似た奇怪な動物が大島に住んでいたと言い伝えがあります。  村人が山を歩いていると、緑がかった土色の肌と長い爪を持つ動物のようなものが、走ったり大勢で遊んだり、時には人間を脅かしたり田畑を荒らしたりすることもあったそうです。 姿は河童に似ていますが、山に出没するので大島では、「山童」という字を当てて。山アロ−と呼んでいます。


   孝子の筒

 島全体が御神体で、一木一草一石たりとも島外へ持ち出すことができない沖の島へ、ある年、吉田安左衛門という足軽が主命で渡りました。親孝行の安左衛門は、お宮の裏で見つけた竹で、父親のために酒筒を造ろうと思い、竹をくださいと神に祈願しました。 すると「汝の孝心にめでて、竹を与えよう」とお告げがあり安左衛門は神にお礼を言うと、心を込めて酒筒を造ったのです。

そして福岡に帰る日。 安左衛門は酒筒を持つ手船に乗りました。一行の船が玄界灘の真ん中にさしかかったときのこと。 突然嵐がやってきました。 何が神の怒りに触れたのだろうとみんなが船の中を調べると、酒筒が出てきました。 神官がそれを海の中にはほうり投げると、まもなく空は晴れ、嵐はおさまりました。 ところが不思議なことに竹筒は一行に寄り添うように、流れてきます。  「これはきっと神様のおかげに違いない」。そう信じた安左衛門は船が港に着くと、酒筒を拾い上げて家に持ち帰りました。 さらに不思議なことに、この酒筒はどんな水を入れてもたちまち酒に変わったということです。