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2004.5.21  メキシカンスタイル 冷製フェデリーニ

 夏が近付いてきて、冷製パスタをやろうと思い、いろいろと試している。その中でも手ごたえのあるもの。他にもコリアンスタイル、ベトナムスタイル、インドネシアスタイル、冷製ではないがシンガポールスタイルなど「スタイルシリーズ」が最近試しているもの。シンガポールスタイルも評判は良かった。

 イタリアでは冷製パスタを食べる習慣はほとんどない。ケッカ風にしても麺をがちがちに冷やすわけではないし、マルケージの「冷たいキャビアのカッペリーニ」(かつてリストランテカラバジオでも定番になっていた)もInsalata(サラダ)的な位 置付けにあった。

 でもここはそばや冷麺など夏に冷たい麺が好まれる日本。専門誌でも「需要は大きい」と言われる。なにより自分だったらやっぱり食べたくなると思う。

 メキシカンスタイルをやるにあたって考えたのは、まずメキシカンのエッセンスを明解に表現すること。最初にイメージしたのはメキシコの定番セヴィーチェ(魚貝のマリネ)の味付け。ライムの酸味とハラペーニョのアクセント。それだけでは物足りなかったので、トマトベースに変えた。

 あと最近はどのメニューを考える時にも必須になっているのは、ある程度大量 に仕込んでおけて、なるべく鍋の上で味を決めなくてもいいもの。店の全体のレベルが決して高くないし、ランチの仕込みに労力もかけられない。自分がいなくてもわかりやすく簡単にできるもの。メニューを考える時に足していくという組み立てをする人は多い。でもそれは店全体の作業行程、人員のレベルなどを考えると過剰負担になり、他へしわ寄せがいってしまう。私は引いていくという組み立て方も必要だと思う。理想を言えば、材料、行程などこだわっていくらでもポイントを足していくことはできるかもしれない。でもそれは少なくとも今の店ではできないと思っている。

 だから本当はフレッシュのトマトを湯むきして使いたいところだけど、作業を省くためにホールトマト缶 をキュイジナート(ミキサー、ロボクープ)で回して細かくして、生の野菜のアッシェ(レッドオニオン、3色のパプリカ)、ガーリックオイル、ライムジュース、ハラペーニョ(液体)、辛みを補うのにチャンキーサルサ(市販品、ハラペーニョの刻んだものなどが入っている)を加えた。 具材は海老をボイルしたもの。

 フェデリーニを使っているのは、カッペリーニが扱いにくい(水切れの悪さ、食感の物足りなさなど)という理由。仕上げにはさらにメキシカンの要素として揚げたコーントルティアチップスを砕いたもの、コリアンダーフレッシュ(香菜、パクチー)を乗せる。

 私が休みの日に「外人のお客さんからレシピを聞かれた」とあとから聞いて、これも嬉しかった。これも自分なりの根拠が複数重なって出したものだから、手ごたえがあるメニューだ。

 

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