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2004.8.4 タイグリーンカレーソースのフェットチーニ

 京都にいるときからあるメニューだが、そのとき自分はほとんど関わっていなかったので、東京に来てから仕込んで、仕上げまで関わるようになってようやくいろいろわかるようになってきた。レシピや見たり、仕上げだけ少しやった程度では料理を理解しているとは限らないということをこの料理を通 じても教えられたと思う。料理のねらいどころや仕上げるまでのポイント、エッセンスをどれだけ理解するか(センスと一言でかたづけられるかもしれないが)が大事だなと。

 この料理はタイのグリーンカレーのこく、甘味、辛みをフェットチーニという平麺で受け止める(他のパスタと比べても相性は一番いいと思う。ソースの仕上げ方によるかもしれないが) ものだと思う。ブイヨンとココナッツ ミルク、クリームを煮詰める。グリーンカレーのペーストを加えて、それをパセリで色出しし、レモンバーム、ミント、パクチー、バジルを粗めに加えてハーブの香りを出す。 甘味とコクは三温糖(できればパームシュガー)とナンプラーで調節する。具材は海老とパプリカのスライスをソテー。その旨味も引き出すように、ソースは麺にしみ込ませ、鍋でつめてしっかり絡ませるように仕上げる。私は盛ったときにソースが下に5mmほどの層になって残るぐらいが理想だと思う。多すぎても(つめの甘い、薄い状態)少なすぎても(パスタの表面 につやがない)良くないと思う。毎回同じ状態にあげるのはなかなか難しいが。

 何度も作ってきたが、甘過ぎる、辛すぎる、コクがない、ぼやけている、味に特徴がない など色んなことを色んな人から言われてきた。このレシピを作った人の味を理解していないのだなと痛感した。今もまだ理解していないことがあるかもしれないが、前よりは少なくとも理解していると思う。今はアウトソーシングしたソースベースをつかっているから味にぶれが少なくなってきたが、大事なのは狙っている味をまず理解することとそれにもっていく仕上げ方をしっかり理解することだと 思う。 全ての料理に言えることだと思う。

 自分で料理を考えることも必要だが、他の人が考えた料理を忠実においしく作れることが料理人としてまず必要なことだ。自分の感性やオリジナリティを表現するのはその先にあると思う。当たり前と言えば当たり前のことだが。私にそのことを強く感じさせてくれた、意味のある料理だ。

 

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