そろそろ夏も終わりかけ、秋が近付いてきた。秋に向けて、夏の間からどういうメニューにしようかと色々と考えていた。なかなかとピンと来るものが見つからなかったが、秋と言えばまっ先にキノコのイメージがくるので、キノコをベースに考えてみた。

　あとはランチ平均100名動員を目指す店のオペレーションの中で、うまく流れるもの。パスタランチの中で出していながらも、厳密に言えばパスタではないが、リゾットなら比較的安定して数をさばけると考えたので入れてみた。

　何種類かのキノコをカットしたものを焼き目をしっかりつけるように炒め、それをベースにチーズを加えたシンプルなリゾットを作る。最後に軽くローストしておいた鴨をダイス状にカットしたものを固くならない程度に合わせる。仕上げに小口ネギ、フォンドヴォーを煮詰めたもの、黒胡椒、上にレンコンを揚げてチップにしたものを添える。

　最初はキノコのみのリゾットで考えたが、物足りなかった。鴨とキノコという食材の組み合わせも秋を感じさせる、味のイメージがフィットするものだったので決めた。鴨の扱い方、切り方も大量 に出していくには少し思案したが、前もって焼いておいてダイス状で合わせるというやり方がベストかなと思った。

　フォンドヴォーをソースに使ったのは、きのことチーズベースのシンプルなリゾットでは、旨味が物足りないと感じたから。前に京都にいたときのメニューにあったポルチーニを使ったリゾットで同じやり方を見ていた。味が濃くなりすぎるという欠点もあるので、バルサミコやポートワインを煮詰めた甘酸っぱいソース（鴨との相性も考えて）にするかどうかも少し迷ったが、まずはフォンドヴォーで反応を見ようと思った。ホールに食べてもらったり、実際に出してお客さんの反応をみていると、濃いという意見もあるようだが、現時点では問題になるほどではないので、これでとりあえずは行こうかなと思っている。

　レンコンのチップスはよく使ったりするが、食感を加えるため。崩して食べるとおいしいと思う。他の婚礼メニューでも使っているし、簡単にすぐにできるので問題ないと考えた。

　1000円のランチメニュー（他にスープ、サラダ、パン、デザート、コーヒーも付いて）の中で出すものとしては、いいところに落ち着いたと思う。原価はほぼ無視するような感じでやっているが、（もちろんある程度のリミットもあるが）レストランクオリティーに近い商品で、「1000円だからこんなものだろう」と思われるのではなく、「1000円でこれが食べれるの？」と感じさせられるものを作れるようにと思っている。

　且つなるべく、仕込み、現場のオペレーションも含めてスムーズにできるものという要素も満たしているもの。さらに他のメニューとのバランスやなるべく多くの人に受け入れられるようなもの。完璧なものなどなにもないが、スタッフも含めて多くの人に満足、納得してもらえるところには落ちたかなと。やっているとまたどこかで問題も出てくるとは思うが、それはその時に修正すればいいと思う。しばらくは定番にしようかなと思う。