トップページ » 大学研究者向け » 延辺文化大革命-10年の約束

写真資料集「延辺文化大革命-10年の約束」 図書出版土香 刊

写真資料集「延辺文化大革命-10年の約束」について

     

中国の吉林省にある延辺朝鮮族自治州は、豆満江をはさんで朝鮮と向かい合い、かつて「間島」と呼ばれた地域です。1952年、中国政府が朝鮮族の自治を認め、中国55の少数民族のひとつである朝鮮族が、多く暮らしています。

図書出版土香(トヒャン)が刊行した『廷辺文化大革命-10年の約束』は、今も朝鮮族仕会に深い傷跡を残す「文化大革命」の時代を記録した写真資料集です。

韓国の写真家柳銀珪(リュ・ウンギュ)は、これまで十数年間にわたって、延辺朝鮮族自治州を中心とする中国東北の各地を回りながら、朝鮮族の暮らしや歴史を写真で記録し、また古い写真を蒐集しながら、中国朝鮮族の移住と定着の歴吏を掘り起こす作業を進めてきました。

中国全土を揺るがした「文化大革命」には、今も明らかにされていない部分が多く残っています。特に辺境の少数民族にとっては、自らの民族性を否定され弾圧された、厳しい時代でした。しかしその記録は明文化されることなく、歴史の中から消えていこうとしています。

朝鮮族が「紅色恐怖」に震撼した時代の資料を探し求めていた柳銀珪は、あの時代を記録した一人の朝鮮族写真家と出会い、膨大な量のフィルムを入手しました。「私が死ぬまで、これを発表してはいけないjという約束と共に…。

その写真家は、なぜ誰にも言わずにあの時代の記録を隠し持っていたのか。そして、中国では未だ発表することのできない事実とは、いったい何なのか。べ一ルに包まれた朝鮮族の文化大革命。それは江青女史の指示により、漢族と朝鮮族との葛藤が助長され、同族同士の殺し合いにまで発展した巧妙に仕組まれた民族抹殺計画だったのです。

 恐怖の時代を記録し、守り通した写真家との十年越しの約束を果たして、柳銀珪が整理した写真資料集『延辺文化大革命-10年の約束』は、過ぎた時代を生々しく再現する痛恨の記録として、東アジア現代史の一断面に刻印されるでしょう。


目次

10年の約束

混乱、破壊

延辺文化大革命

1966

1967

1968

1969

197076

闘争、傷跡

延辺朝鮮族自治州文化大革命年表


●刊行:図書出版土香(韓国)
●言語表記:韓国語  (巻末日本語訳収載)
●刊行:2010年3月(第2版)
●寸法:24.2×17.5cm  124p.  写真123枚収録
●定価¥5,460-(税込)  ISBN:978-89-960515-8-9