Featuring British Rock, Folk, Pops and more...
 MU the disc review from MUNO Corporation 1998/10/4




MICHAEL RAVEN & JOAN MILLS / The Folk Heritage Recordings
(1997) private publishing

今回はちょっと変わりものを紹介します。その筋ではレア・トラッドものとして高名なマイケル・レイヴンとジョアン・ミルズの『Death and the Lady(1972)』『Hymn to Che Guevara(1974)』という2枚のアルバムを収録したカセット・テープ・コンピ。よく見ると「Published by Mike Raven…」なんて印刷してあったりして、どうやらご本人自らがお作りになった模様です。電話番号まで書いてあるんだけど、ここにかけたらマイケル・レイヴンが「ハロー!」なんつって出たりするんでしょうか? おそろしいことです。

パッケージだけ見ると、なかなかチープな作りの本品も、内容はさすがに名作と言われるアルバムの音だけあって、かなりの本格派と言えましょう。ジョアン・ミルズの歌声は清楚でクセがなく、トラッド特有の堅苦しさはほとんど感じられません。おまけに、マイケル・レイヴンのギターの何と素晴らしいことか! 単に上手いだけじゃなくって、なんかこう音に気品があると言いますか、ともかくあのハゲ頭のオッサン面からは想像しにくい、非常に繊細なギターを弾きます。職人芸ですね、こりゃ。

独自デザインのジャケットも可愛らしいし、値段も安い(1500円くらいだった)ので、見かけたらとりあえず買っておきましょう。損はしないと思いますよ。



HUNT & TURNER / Magic Landscape
(1972) Village Thing

英国のビレッジ・シングといえばソフトな風合いのフォーク作品を数多く残していることで知られていますが、またそれらの作品のレア度においても結構なコレクター泣かせのレーベルであります。

このハント・アンド・ターナー唯一のアルバムも、市場ではあまり見かけることのない音盤でして、店によってはずいぶんと高い値段を付けているようです。ちなみに私が買ったときの値段は5800円でしたが、これはたぶんかなり安いと思います。ちょっと自慢してみたりして。

内容は噂に聞いていたとおりの爽やかなフォーク・ロックで、楽曲も良く、まずは名作と呼べる仕上がりになっています。ただまぁ、飛び抜けて素晴らしいかというと、そうも言い切れないような・・・どっちかというと名盤よりは好盤といった風合いでしょうかね。あまり高い金出して買う必要はないかも。

HARVEY ANDREWS / Fantasies from a Corner Seat
(1975) Transatlantic

前回に引き続き、またもやハーヴェイ・アンドリュース先生の作品を購入させていただきました。先生におかれましては通算4枚目。前作でも共演していたグラハム・クーパーとの連名になっています。しかし、このジャケットはいったい何なんでしょうか。どう見ても高級クラブでホステスと戯れる成金オヤジ二人組にしか見えないんですが!? イギリス人の考えてることはわからんのぉ…。

さて、気を取り直してアルバムの内容ですが、ジャケのヘボさとは裏腹に、前作よりも更に輪をかけたグレードの高さで圧倒させられます。ほんと、このオッサンは顔に似合わずいい声出しますね。曲も上品だし。聴きどころは何と言っても、A-5「Autumn Song」。前作『Friends of Mine』でも演ってた曲の別ヴァージョンなんですが、これがもう思わずセプテンバー・プロダクションにアレンジさせたんじゃないかと錯覚させるような超・叙情派フォーク! もはや究極としか言いようがない雰囲気を漂わせています。

DUNCAN BROWNE / Same
(1973) Rak

ダンカン・ブラウンの2ndをようやくゲットしました。買値は4500円。驚くべきことに国内盤です。こんなもんが存在したんですねぇ。アルバムタイトルは『黎明』、シングル・ヒットしたB-1「Journey」は「君と僕と虹」なんて邦題になってます。むむむ。

当然、日本語のライナー・ノートが付いていまして、ディランに影響されて音楽を始めただとか、死んだ母親が夢枕に立ってパトリック・レイシー(当時のマネージャー)と一緒に仕事をしろと告げただとか、コリン・ブランストーンと同じアパートに住んでいたことがあるだとか、67年にアルバム未収のシングルを1枚出しているだとか、いろいろと面白い話が書いてあります。これだけでも十分に買った価値があるような気がします。

音の方はと言いますと、全体的に内省的な曲が多く、やや地味な作り。個人的にはドリーミーな1stの方が好きですが、SSWものとしては悪くないでしょう。一部ヘボい曲もありますけどね。なお、ダンカン・ブラウンは93年に癌のため世を去っています。享年46歳でした。



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