景気が良くなるとか、今の状況はどうだろうなんてことを知るためには、さまざまな景気動向指数がある。景気動向指数には、景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の三つがあるそうだ。先行指数は一般的には数カ月先行して動くので今後の動きを予測するのに使われ、遅行指数は一致指数より半年とか一年とか遅れて動くので景気が実際に転換したのかの確認に使われるとのことです。
まあ、頭が常人と異なる私ですから、たまたま新聞でこんな文章を読んで頭に浮かんだのは・・そうです! ISO認証の先行指数、遅行指数とは何か? ということでした。
そんなことを昼休み、建設的なことをせずボウとして考えたのであります。
「下手な考え休むに似たり」といいますが、私の場合「アホな考え休むより劣る」です。
さて、ISO認証制度をとらえると、その主たる指標は何であらわされるだろうか?
- ISO認証件数は一致指数だろうか?
いやこれこそが認証制度の実態そのものなのだろうか?
だけど認証件数を増やす一番の方法は法的規制(ないしはそれに準ずる規制)であることは国交省が実証済みであるから、件数が増えれば第三者認証制度の価値が認められたということではないことも明らかである。
- 認証機関の売上げ額が動向の主たる指標なのだろうか?
第三者認証のメインとなるのは売上なんだろうか?
いや、利益率なのだろうか? それとも利益額そのものだろうか?
少なくても利益なき拡大ではないだろう。
- 売上金額は一致指数ではなく先行指数なのだろうか?
今どき認証機関から見積もりをもらって、「はい分かりました」という企業は少ないだろう。大方は、「他の審査機関の見積もりは御社より安かったのです。でも、私どもでは御社が素晴らしい審査をされると聞いており、ぜひとも御社に決めたいのですが、この見積もりでは社内を説得できません」なんていうじゃないですか?
実際にその認証機関が良い審査をしているという噂があるかどうかは関係ない

審査費用は需給による弾力性がある。簡単にいえば注文が少なくなれば安くなるということだ。以前は認証1件100万円といわれたが、今は70万程度と聞く。自由経済では注文が少なくて供給者が多ければ価格競争になるのはやむを得ない。
というわけで値崩れは登録件数減より早めに始まるのではなかろうか?
それとも登録件数減より遅れて値崩れが始まるのだろうか?
こういったケースについて一般的な研究はあるのだろうか?
- コンサルタント繁忙指数
なものはないか 
ただ、コンサルタントの需給の指数があれば、これはかなり有力な先行指数といえるのではないだろうか? しかしコンサルの注文というか仕事量の客観的な数値はみつからない。まあ、ネットや雑誌広告にときたまコンサル料金が書いてある程度だ。一般的には分からない。
- ちょっと待てよ、コンサルではないが各種講習会の申し込み状況はこれまた有力な先行指数といえるだろう。
現在はどの研修機関も講習会も閑古鳥が鳴いているようだ。以前、ISO研修機関から広告のメールが増えたと書いた。2009年春以降、とみに増加している。同じ会社から日に何通も電子メール広告が来る。セミナー案内も封筒で送られて来る。大手も、新興勢力も・・・
景気が悪くなると印刷屋がもうかると昔言われた。それが事実か否か私は知らない。
しかしこう宣伝が激しくなったということは、ISOビジネスが活況を呈しているとはまったくおもえず、どこも苦し紛れで金のかからない宣伝広告に励んでいると見受けた。
- 認証制度の社会の期待といいたいが、これは指標としては把握しにくい。
そもそも認証制度というのは社会的信頼感を確保するために発祥したのだろうか?
私にはどうもそうは思えない。ビジネスとして始まったとするなら、やはり売上とか登録件数を管理指標とするのがあるべき姿ではなかろうか。
- 審査員の登録件数はどうだろうか?
グラフを見るとISO9001の審査員登録数の推移は審査登録数より約1年先行している。ISO14001の審査員登録数も審査登録数より約1年早く減少傾向に移っている。
とするとこれは先行指数なのだろうか?
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実はこの駄文を書くのに審査員登録件数の推移のグラフがほしくてJRCA(日本規格協会)のウェブサイトにアクセスしたら、なんと従来は4半期毎の登録者数がウェブにアップされていたのに、今ではグラフがなくなっていた。
勘ぐれば、ISO業界では審査員登録件数が明白な先行指標とみなされていて、その数値の重要性(機密性)から一般公開しなくなったのだろうか?
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- 契約件数は先行指数なんだろうか?
造船では受注量と建造量という二種類の指数があるが、ISO認証において契約件数と審査件数というもので先行指数と一致指数になるか?というと、契約から審査までは短期間なのであまり先行指数としての役を果たさないと思う。
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船の場合、契約してから完成まで年単位の期間がかかるから意味があるのだろう。
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- じゃあ、見積もり件数ではどうだろうか?
企業がISO認証を受けようとすると、まずいくつかの認証機関に見積もりを依頼する。見積もりから審査までは長ければ1年、短くても半年はあるだろうから先行指数としての役目は果たすだろう。
しかし・・見積もり件数っていったいどうして把握できるのだろうか? まさか各認証機関が正直にデータを出すとも思えない。
それに相見積(あいみつもり)をするのは常識だろうから、見積件数に信頼性があるかどうか?
本日の反省
私の頭の中は混とんとしていて、まともな考えは出てこないようです。
さらに下らない発想
ISOの先物相場があれば、もう何年も前から売り一色かな?
ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(09.06.20)
審査員のヒマ度合い、すなわち審査員稼働率の月別推移を見るというのはどうでしょうか?
審査員稼働率=(実稼動審査員数×審査実績日数)/(登録審査員数×審査可能日数)
おっと、これじゃあ休眠審査員が多ければ多いほど指標として役に立たないか。
もしかして%では表せなくてppm表示になったりして。。
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毎度ありがとうございます。
知り合いに何人も契約審査員がいるのですが、最近は仕事がないと言ってます。まあ、不景気になれば外に出している仕事を内作取り込みというのは常とう手段。
認証機関も社員の審査員を目いっぱい働かせて外注しないというのは当然です。
私たちのところに来る審査員が社員か契約審査員かによって、認証機関の繁忙を把握できるかもしれません。
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