「ISO第三者認証の信頼性低下は審査で企業が虚偽の説明をしているからだ」という暴論をISO業界が言いだして、いつのまにか大勢となり、やがて虚偽の説明をしたなら認証を取り消すとなり、本当に取り消しの懇切丁寧詳細なプロシージャまで制定された。
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まさにベトナム戦争のエスカレーションを見る思いだ
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いや笑いごとではない。なんとなんと、いつのまにか私たち企業において環境管理に携わっている者たちは、嘘つきで、悪事を働く犯罪者になってしまった。
これは私たちの名誉にかかわる重大な問題である。我々は事業戦略が未熟で、かつ稚拙な審査を行ったなど自分自身に原因があって先細りしているにすぎないISO業界のスケープゴートにされてしまったのだ。
本来ならISO業界関係者は己がしているいい加減な審査と己の未熟さを反省し、我々企業にいる者に対して従来に増してより良いサービスを提供して、ISO第三者認証の信頼性を勝ち得るべきではないのだろうか。
などと正論を説いても無知蒙昧な人々は聞く耳を持たないだろうし、改善する力量もないのだろう。
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しかしなんだねえ〜、現状把握も是正処置もできない人に、是正処置を教えてもらうこともなさそうだ・・
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よって本日は、本当は我々企業で環境管理を行っている者を悪人だと騙る者どもこそが、嘘つきで虚偽を騙っているのではないかという反論を提起したい。
企業が虚偽の説明をしているといっても、品質から環境から情報管理その他もろもろの何について語っているのか分からない。だって相手が言いがかりをつけてきたのだから、言いがかりをつけられた我々としてはどう対応して良いのか戸惑う。よって、今回は環境に限定する。そして虚偽といってもこれまたさまざまであるので、環境不祥事とISO認証の信頼性の関係について考えてみることとする。
そこまで限定しても、環境不祥事というものがどこからどこまで、なにからなにまでを含むのかは定かでない。
まあ、手に入る情報から論を進めたい。
今現在、日本の社会において環境問題の最右翼は排水でもなく、大気汚染でもなく、騒音や振動でもない。ずばり廃棄物である。あなたのお住まいの近所にも不法投棄があり、それによる被害を受けているに違いない。ご自身に直接的な被害がなくても迷惑を受けているだろう。不法投棄といっても青森岩手や豊島のような大規模なものもあるが、朝起きてみたら自宅の庭に冷蔵庫が捨てられていたとか、畑に古畳数十枚が捨てられたとか、空き地に汚染土壌を放棄されたなどなど小規模な不法投棄はたくさんある。もちろん個人所有の土地だけでなく、通勤途上の道端に子猫ならぬ廃家電品が捨てられていたとか、林にナンバーの取られたバイクが捨ててあるなんていくらでも見かける。
その他、不適正処理とか、無許可業者への委託など廃棄物に関わる法違反、事故は枚挙にいとまがない。とにかく企業の廃棄物担当者は自分が法を守るのはもちろんだが、自社から排出した廃棄物を業者が不適正な処理がされないようにしっかりと管理しチェックしなければならない。
ということで産業廃棄物処理法違反件数というのはある意味環境不祥事のひとつの指標であるから、それとISO認証の信頼性の関係を見てみたいと思う。
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産業廃棄物処理法違反件数 |
西暦 | 一般廃棄物(件数) | 産業廃棄物(件数) |
2003 | 2170 | 1614 |
2004 | 2530 | 1459 |
2005 | 3470 | 1569 |
2006 | 4518 | 1400 |
2007 | 5118 | 1591 |
2008(速報) | 約5000 | 約1600 |
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ここで注意してほしいのだが、一般廃棄物というものの多くは一般家庭から出るものであり、原則として自治体が処理する。企業から排出するほとんどは産業廃棄物である。もちろん事業系一般廃棄物と称される紙類や一般ごみもあるが、そういったものが大問題になったり、過去重大な不法投棄などにつながったものは聞かない。報道されるのは産業廃棄物である。
なにかと取りざたされる産業廃棄物に関わる法違反件数は・・増加していません。増加傾向にあるのは主に家庭から出る一般廃棄物です。想像ですがたぶん家電やOA機器などのお金を払いたくない一般市民が捨てたり不法業者に引き取ってもらったりしたケースではないのでしょうか?
廃棄物処理法だけでは分からんとおっしゃる方、おっしゃる通りです。
法規制値を超えた排水を流したなんて報道は良く見かけます。きっと水質汚濁防止法違反で捕まる企業の悪人は多いことでしょう。
さて実態はと・・・
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排水基準に適合しない排出水を出した違反件数 |
西暦 | 件数 |
2003 | 19 |
2004 | 9 |
2005 | 18 |
2006 | 10 |
2007 | 13 |
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出典:海上保安庁報告による
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うーん、これもどうも増加しているとは言えないなあ〜
困りました

いったいどうしたら一般企業の環境不祥事が増えていると説明できるのだろうか?
では公害全般ならどうだ!
日本の認知されている公害件数は1970年頃が最大でそれ以降継続して減少しています。
公害と言っても典型7公害というのをご存じでしょうか?

水質汚濁、大気汚染、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下を言います。1970年代から継続して一番多かったのは騒音です。日常生活で一番多く発生し、また体で直接被害を感じるものだから。
ところが突然平成10年、西暦でいいますと1998年から大気汚染が急増しています。大気汚染といっても煙突からもくもくと煙が出ているなんてのではない。
最近の大気汚染というのは、煙やばいじんではなくダイオキシンなのです。
賢明なあたな!
おわかりでしょうか?
思い出してください、あの当時はダイオキシンの危険性を唱える本や報道がジャンジャンとありました。
それで大気汚染に関する公害苦情が急増したのです。

しかしテレビ朝日のニュースステーションで久米宏が捏造報道をしたのが1999年、あれから10年経った今ころ大気汚染というかダイオキシン公害が増えているわけではない。
各自治体は大金(それは税金です)を投じて大型のダイオキシンが出ないと称している焼却炉に更新しました。また我々一般市民も分別だ、自宅で燃やすなと言われ、企業も焼却炉の廃止、分別リサイクルの推進を行ってきたのです。
さて、公害全体が増えていないとすると・・・
いや、公害の件数だけでは分からないとおっしゃる方もいるでしょう。
もちろんそうです。単なる善意(無知)によって発生している公害は除いて考えなければなりません。故意・悪意で発生している公害、つまり公害犯罪が増えているかもしれません。
調べてみましょう。
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公害関係法違反で起訴された人員数 |
西暦 | 起訴された人数 | ISO14001登録件数 |
2003 | 5427 | 11789 |
2004 | 5901 | 14987 |
2005 | 7053 | 17524 |
2006 | 8110 | 19427 |
2007 | 9267 | 20413 |
2008 | | 20799 |
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注記 |
出典は上記に同じ
ISO14001登録件数は各年末のJAB登録件数
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なんとか環境不祥事が増えていると言えそうだ・・安心しましたか?
しかしグラフにして見るとISO登録件数との関係は・・これまた関係がないように思える。いや、むしろ正の相関があるように思えるのは私だけであろうか?

あるいは数年間のタイムラグがあるのかもしれない。例えて言えばサインカーブとコサインカーブのように位相がずれているのかもしれない・・そうとも思えないが
本日の結論
たまの休日、環境不祥事が増えているかとネットで調べましたが、どうも証拠が見つかりませんでした。
環境不祥事が増えていると騙っている人たちは、私がネットを半日くらい探しただけでは見つけることができない確固とした根拠をお持ちなのだろう。
虚偽の説明をしていると騙っている方々、環境不祥事が増えているという数値データぜひともご提供願いたい。
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