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だが鈴田は、自分が会社の状況に考慮しなかったことが問題であるとは思わなかった。川田にも「この会社の状況や自分の置かれた立場を考えて、その制約条件での最善策を考えてもらいたい」言われたのであるが、それを理解できなかったようだ。 それにこのように物が変わっても品番を変えないことは、過去にもあったはずだ。「加工が変わったが部品名が同じだから注意せよ」という通知を受けたときに、鈴田が手間を惜しまず、部下を集めてどうしたらよいだろうと相談すれば、従来そのようなことが起きた場合の対処法を聞き出すことができただろうし、うまい方法がなくても話し合いをすることによってメンバーが情報を共有することができ、それにより混入を予防できたかもしれない。 |
鈴田の考えはどうしても大がかりな方向になってしまう。 カイゼンをするとき、まずは手軽なこと、お金をかけないこと、今すぐできることから始めるべきだろう。 |
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「早速だけど、このところ現品管理に関する問題が多くてさ。何とかしなければと考えているんだ」
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「鈴田課長、そんなに気にすることありませんよ。あなたが来る前だって問題はたくさん起きていたんだから」
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「え、本当?」
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「私は今の仕事に就いたのは、課長より遅いので良く分らないが・・・」
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「まあ自慢にはならないけど、現品違いとか似た部品が混入とか員数不足なんてのはよくありますね。お客さんの方でもある程度覚悟しているようで、員数不足くらいでは文句を言わず、不足分を送れと言ってきておしまいですよ」
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「いかんなあ。今までそういったことにどんな対策をしてきたのだろう?」
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「現品違いはなぜおきるのかといえば、ウチで作っているものがみな似たような形だからですよ」
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「おいおい、そんなの理由になるのかい?」
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「いや、言い訳とか責任逃れってわけじゃないですよ。私は最近まで現場にいたんで良く分る。たとえば白兎電気さんからいただいている部品は、ほんの一部加工が違うだけであとは同じ。部品をふたつ並べても違いが分からない。寸法を測って図面と参照して、やっとどちらかの部品かわかるというもの」
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「なるほどなあ〜、でもだからって間違えていいものではないよね。ちゃんと識別管理をしなければ。そのためには、物と伝票は一緒に保管、移動するということを徹底しなくちゃならないね」
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「今回は部品名が同じだったのですから、防ぎようがありませんでした」
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「伝票もそうだけど、物を置くところを考えないとだめです」
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「というと?」
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「今はお客様も品名も関係なく、製造課から完成品を受け取ると順繰りに置いていっている。だから同じ製品でもあちこち何か所にも置いている。 客先向け、そして同じ製品をまとめて置けば管理が楽になるんだが・・」
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「それはそうなんだが、なにしろ場所がないからね。そういう置き方をするにはもっと広い場所がないとどうにもならない」
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「日程計画をもっと平準化すれば在庫を減らせるんじゃないか。今は生産の段取り替えを最小にしているようで、出荷に合わせて製造しているようにはみえない、そのために在庫が増えて・・・先日のサビ問題だって、生産して二月も保管しておくなんておかしいよ。日程計画を工夫すればそんなに長期間、保管することはなかったはずだ」
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「あんただって製造にいたんだからわかるだろう。ウチは段取り替えが下手なんだ。それでモデルチェンジすると時間がかかるから、製造課からなるべくロットサイズを大きくして段取り替えを少なくしてほしいと言われている。我々は他の部門の尻拭いをしているようなもんだよ」
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鈴田はそれを聞いて本当だろうかと思う。もしそれが本当なら資材のトラブルは、製造技術がないためということになる。
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「日程計画係長、今の話だけど、生産ロットはどのようにして決めているの?」
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「確かに注文に合わせて作っているわけじゃないです。製造課から最低ロットサイズというのを提示されているのです。製造部門は段取り時間を最小にしたいので、あまりロットを小さくされると嫌なんです。それで注文数量が最低ロットサイズより小さい場合は、最低ロットサイズの数を作ってしまうことにしています」
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「ええ、ちょっと待ってよ。そんなことをしたら材料購入も加工も完成品も、いやそもそも売れるかどうかわからないものを作っているということか。そして常に在庫を持つことになる。置く場所もなくなるわけだ。 それにもし次回注文が来なければ、完成品在庫はすべて廃却か。もちろん棚残を減らすことが至上命題というわけではないだろうけど、生産能率と棚残つまりお金が眠っているのと天秤にかけてどうなのだろう? 日程計画係長はこの仕事は長いでしょうから、社長がその辺をどう考えているのか知っていますか?」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「この方式は、今の社長の前からですけど・・・しょうがないと思っているんじゃないですかね。ただ私がこんなことを言うのもなんですが、表面に現れた問題のモグラ叩きをするだけじゃだめだと思いますね」
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鈴田はもっと議論したいとも思ったが、話題が発散してもしょうがない。当面の課題に戻した。
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「員数不足はどうして起きるんだろう?」
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「製造課から引き渡されるとき、一箱に入っている数がマチマチで同じ数入っているわけじゃない。どうして一箱100個とか切りのいい数にしないのかねえ。現在は出荷の時に数えているんだ」
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「そりゃ段ボール箱もプラスチックコンテナも種々あるから製造で個数を一定に入れることも難しい。入れる方の身になってくださいよ」
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「確かにウチの工場の中の運搬には、さまざまな大きさの段ボール箱やコンテナなどを使っているからね。それに段ボール箱も痛んでいるのが多くて・・・課長、できたらこのへんで一挙に全部新しいコンテナにしてしまうということはできないかね? マテハン用の箱を統一して入れる数も統一すればわかりやすくなると思うが」
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「うーん、考えてみるよ。ただ箱を入れ替えれば員数誤差がなくなるのかい?」
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「箱がきれいで統一されていれば、それだけで入れる人も扱う人も意識が高まると思いますがね」
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鈴田は箱さえ見直せば良くなると考えられては困るなと思い、話題を変えた。
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「ところで北側の壁際は湿気が多いというけど、壁の補修はできないの?」
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「壁際、壁際といいますが、本当は壁が悪いんじゃないのですよ」
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「はあ、じゃあ何が悪いの?」
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「この工場ができる前、このあたりは田んぼでして、特に倉庫の北側は体が潜ってしまうほどの湿田だったそうです。今でも地面が湿めっているのです。だから壁を補修するのではなく、床を改善しないとダメなんです。実際問題としてそれはできないでしょう」
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「なるほどなあ〜、ともかく今は、そこには何も置いてないよね? ならいい。 ええとその場所を、今後ずっと物を置くのは禁止にしたいけど問題ないかな?」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「問題の場所はだいたい100平米になります。そこを全然使わないようにすると、回転させるのがちょっと大変ですね。テンポラリーの保管なら良いことにしませんか?」
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「倉庫ばかり攻めるのではなく、製品をポリシートでパックするとか、保護手段も考えるべきじゃないか。今は段ボール箱にプレス加工したものをそのまま入れて保管しているが、その改善も必要だよ」
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「ちょっとちょっと、とにかくあの場所は当面保管禁止にしよう。川田取締役からも指示されている。そうだ、あの場所をパレット置き場にしてしまおう」
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「あの場所全部が埋まるほどウチにはパレットがありませんよ」
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「わかった分った。とにかく今日にでも、あそこをテープか何かで囲ってしまい使用禁止の表示をしてくれ。今日以降、あそこに製品を置いたら倉庫係長の責任だ」
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ひとつ、識別表示だ。品物がなにであるかを表示すること。それを正式にルール化しなければならない。 ひとつ、工場内のマテハンと出荷時の箱をなんとか改善が必要だ。 ひとつ、倉庫の保管場所や方法をルール化しなければならない。 ひとつ、製品を保護する方法、あるいは保管条件を決めて劣化を防止する検討が必要だ。 |
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「あれ、取締役もご出勤ですか?」
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「おれは毎週、土曜日、日曜日は会社に来ているよ。先週は払い出し伝票の規則を考えていた。あんなものを一つ作るのも、なかなか難しいものだと思い知らされたよ」
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鈴田は、川田が毎週出勤していたとは知らなかった。そして今の川田の言葉は、おれも毎週来ないといけないという意味なのかなあと嫌な予感がした。 時間になると倉庫係長と伊東と鈴田の三人は会議室に集まった。
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「休日出勤していただいてありがとうございます。今日は二つのテーマについて議論したいと思います。ひとつはマテハン用と出荷用の箱についてです。もうひとつは倉庫の保管条件についてです。 まず箱の話ですが、現在構内のマテハンも出荷用も段ボール箱とかプラスチックの箱とかいろいろとあります。私としては現状が最善とも思えず、改善を考えたいのですが」 | ||||||
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「鈴田課長のおっしゃることは良く分ります。実を言いまして、現在の方法は、もう何年か前になりますが、当時の部長が付加価値を生まない箱は徹底的に安くしろと言いだしまして、始まったのです。 恥ずかしい話ですが段ボール回収業者から程度のいいものを買っているのですよ。私の知るかぎり、地元の農協でも、他の会社でも、一回使った箱を製品出荷に使用しているところはありません」 | ||||||
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「安くすることはいいことだと思いますが、丈夫さとか大きさの統一などから考えてどうなんでしょう」
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「もちろどんな箱でも再利用しているわけではありません。この近くに大手の工場がありまして、そこから大量の使用済み段ボール箱が出ますので、似たような大きさの程度の良い物をこちらに回してもらうように、段ボール回収業者に頼んでいるのです」
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「なるほど、皆さんの現状についての意見とか改善提案などをお聞きしたのですが?」
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「現状ではいくつか問題がある。再利用の段ボールでは破損しているものもあるし、弱いので使用中につぶれたりもする。だから新品を使うか、プラスチック箱にしたいね。それと今は箱のサイズがマチマチで、一箱に入る数が一定しない。これらも問題だなあ」
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「現在は出荷のときは程度のいいダンボールに入れてますが、そりゃくたびれていますし、破けているのもあります。やはり見た目もあるでしょうねえ。 いっそのこと製品の箱を通い箱にして、中で使うのも出荷も同じプラスチックの箱に統一してしまうというのもありますね。もちろんそれにはお客様と話をしなければなりませんが」 | ||||||
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「製品を通い箱にすると、ものすごい数が必要になりそうだ。特に当社は在庫期間が長いから社内でも結構な数が必要になる」
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「確かに在庫が多すぎますね。箱の問題じゃなくて経営から考えても、もっと在庫を減らして回転を速くしないとなりませんね」
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「在庫が多いのは、製造ロットサイズが出荷数よりも大きくしているからですね」
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「私は今まで製造にいましたが、段取り替えをできる人は限られていて、作る立場としてはとにかくロットサイズを大きくしてモデルチェンジを少なくしたいですよ」
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「常識から考えると、注文を頂いた数だけ生産するのが当たり前と思いますが、そうしない理由はなにかあるのでしょうか?」
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「出荷対応で生産すれば、段取り替えは今の3倍発生して、出荷に間に合わないんじゃない」
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「でもこちらの都合で生産しているわけじゃない。お客様から注文を頂いたから作っているわけで・・・ どうして段取り替えの時間を短縮できないのですか?」 | ||||||
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「段取り替えに時間がかかるのは、技能だけでの問題でもないと思います。金型がどこにあるかなんていちいち探さないと分りませんし、どのプレスを使うのかとかまでは詳細日程がないので、製造係長が都度決めているということもあります」
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「いろいろあるけど、まず技能の問題がある。これもモデルチェンジを数多くすれば習熟するだろうけど苦手意識のために型の交換とか段取り替えを少なくしようとしているから、ますます苦手になる。 金型の置場もそのときそのとき違うことも問題だが、それと金型の保管場所がプレスから遠いので運ぶのも大変だ。 また一つの部品を作るのに何工程もあるときは、連続して加工するようにしたいのだが、そのようにプレスの計画を組むのも面倒だといろいろ事情がある。 だから今の状態なのだがね。しかし何を言っても言い訳になってしまうね」 | ||||||
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「伊藤さんは現場スタッフですから、対策案もお持ちでしょう?」
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「技能云々はおれの責任だろうなあ。金型の置場は工場レイアウトを見直す必要がある。レイアウトは10年も前から変わっていない。現在の製品サイズ、生産数量、モデルチェンジ回数などを考えて見直しをすべきだろうなあ」
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「それは安斉課長の職務だと思いますね」
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「おれも安斉課長が来たときに申し上げたのだけど、どうなっているのだろう?」
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「そんな話をされているのですか? 私は安斉課長がそんなことをしようと言ったのを聞いたことがありません」
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「日程計画は私の仕事ですが、プレスの計画とはどうすればいいのでしょう?」
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「いやいや、生産管理課は生産と出荷の大きな日程しか決めてないんだよ。個々のプレスで何を加工するかは製造係長が決めている。正直言って、プレスの能力は同じじゃないし、配置も自由にできるわけではない。だからどのプレスにどの加工を割り振るかは、難しい方程式を解くようなものになる。そして実際は製造係長が頭の中で考えて決めている」
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「伊藤さんは方程式とおっしゃいましたが、なにか一般的な解法がありそうですね。どのプレスでどの加工をするかの計画を生産管理課で決めてもいいのでしょうか?」
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「お宅で決めてくれたらその方がいいだろう。製造課としては手間が省ける。しかし何度も言うけどプレスの能力は一台一台違うし、何工程も連続して加工するためには配置も考慮しなければならないし、難しいだろうなあ」
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「うーん、でもそれは回転率をあげ在庫を減らし損益改善に直結する重大なことですね」
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話し合いはあっちに行ったりこっちに来たり、さまよったが、結局、構内用、出荷用の箱については、それぞれ宿題を決めて次回また議論することにした。モデルチェンジについては安斉課長に考えてもらう。そしてプレスの日程計画については次回製造係長にも参加してもらい議論することにする。 保管条件に付いては、伊東は過去数年間の倉庫の温湿度の測定記録を持っていた。鈴田はそのデータをもらって、倉庫の実際の保管環境をまとめることにした。 ただ伊東はそういうことに関わらず、完成品は梱包箱毎ポリ袋でパックして、サビ防止、劣化防止を図るべきだという。 | |||||||
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「だってさ、お客様が当社からの部品を使おうとしたとき、製品と一緒にコガネムシの死骸が出てきたら心証を悪くするでしょうね。だからもっと製品保護に配慮すべきだよ」
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鈴田もそうだと思う。
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4時過ぎ、みんな疲れたから終わろうという雰囲気になったとき、川田が現れた。
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「いやあ、おつかれさん、朝から議論していたようだが、今日の成果は何だろう?」
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「成果までは至っていませんが・・・ ひとつは構内マテハン用と出荷用の箱の話です。製品の劣化防止、員数管理、識別などを考えると、なにか対策が必要という結論になりました。 もうひとつは製造の際の詳細な日程計画を立てるべきだということになりました。それによってロットを小さくして棚残を減らすことができそうです。レイアウトの見直しまで波及するかもしれません。 最後は、倉庫の保管基準を明確にして、設計はそれに耐えることを保証して、倉庫係はその基準を守ることが必要と思います」 | ||||||
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「なるほど、問題はいろいろあるが、いずれも対症療法ではなく、基礎的なことをしっかりとしていくことだろうなあ」
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「川田取締役、今日は生産管理課の改善でしたが、各部門ごと、そして部門に渡る改善を議論するべきですね。その結果も大事ですが、その過程によってコミュニケーションが図れますし、また新しい改善テーマに気付くこともあるでしょう」
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「おっしゃるとおりだ、なにか仕掛けを考えるよ。社長にも話しておこう」
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「この会社で一番不足していたのは、そういうことだと思いますね」
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