お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。

この本は読もうと思って読んだわけではない。SDGsとはなんぞやと勉強しようと、図書館の蔵書検索で「SDGs」をキーワードに検索したら約500件がヒットした。 よく見もせずに上から10件に予約のラジオボタンにチェックをつけてリターンキーを押しただけである。
ネット予約では中を見ることができないのが欠点だ。図書館の書架をさ迷えば立ち読みできるし、必要なら壁際のソファで本一冊を丸ごと読んでもよい。
しかし新型コロナウイルス流行が始まった2020年春から書架立ち入りまでは禁止されていないが、長時間滞在の禁止と入場時間の監視、ソファの撤去などで今はネット予約で図書館に行くのは引き取りだけ、返却は最寄りの公民館とか市役所の支所という塩梅。

ちなみに私の住んでいる市図書館は貸出が10冊までとなっている。近隣市町村に住んでいる人も図書館を利用できるが、その場合は限度が５冊になる。なぜ貸出数が違う理由が想像つかない。お互い様なのだからそこの市民と同じで良さそうだ。

資料がそろいましたよというメールが来たので引き取りに行って、この本がぐれたお嬢さんが書いたのでは "ない" ことを知った。正直、やっちゃったあ〜と思った。
とはいえその場でいりませんというのも気が引けて借りてきた。

著者はグレタ・トゥーンベリとは無関係の香港在住のイタリア人の女性ジャーナリストである。「グレタと立ち上がろう」というのはグレタと無関係で著者の意思のようだ。
「グレタの行動や発言を知って自分もグレタになろう」というだけで胡散臭い。いや、少なくても私はその程度で誰かに心酔することはない。

グレタ・トゥーンベリはこの本の中を確認しているのだろうか？ そして内容に同意しているのだろうか？
読む限り、本書内にはグレタ・トゥーンベリの推薦文もないし、内容を確認したという記述もない。

	この本は私が書いた のではありません。

末尾の謝辞には、編集者や査読者が複数名挙げられているが、グレタ・トゥーンベリの名はない。
表紙を初めグレタのトレードマークである黄色いレインコートを来た女の子のイラスト（全然似てないけど）がたくさんあるが、あれもどうなんだろう？
本書の著者がグレタ・トゥーンベリと無縁なら、本書に間違いがあったときの責任はどうなるのか心配する。実際にIPCCの報告書との齟齬をいくつか見つけた。

日本でも山本良一はIPCC報告書にない、21世紀末には海面上昇が7ｍになるとか書いていた。ああいったことはまずいよね (注1)
とはいえ山本先生は他人の名前を持ち出していないからまだ良い。この本の場合はタイトルにグレタ・トゥーンベリを担いでいるから。グレタ、困っちゃうわ〜♪

グレタ・トゥーンベリの発言や行動を事実のまま宣伝いや広報するならご本人に異議はないだろうが、そうでなければ問題だろう。
本書を基にグレタ・トゥーンベリを批判する人がいれば……私も批判しそうになった……それは問題ではないのか？

以上を前提に話を進める。

注：紫色の文字はこの本からの引用である。

たった128ページの本である。だが厚さ14ミリもある（ノギスで測った）。表紙や遊び紙を含めて68枚で14ミリということは紙の厚さが0.21ミリになる。普通のPPCが0.09ミリだから2倍以上、ページをめくるのに困るような厚さだ。
お値段1800円+税である。儲けは大きいね。環境はビジネスだ、環境は金になるを実感する。

以下、気になった記述についてコメントする。

• 「希望を探すのではなく、行動してください−そのとき、はじめて、希望は見えてきます(p.25)」
  これはグレタの言葉らしい。
  現状を改革しようとする意志があっても、こんな文章だけで賛同し走り出す人がいるものだろうか？ 純粋といえば純粋なのだろうが、考えなしであることは間違いない。世の中はしがらみというと古臭いが、ひとつのアクションが多方面に影響する。それをよく考えて最善となる施策を考える、それが大人だ。行動する前に考えねばならない。
  グレタは盛んに各国首脳を批判したが、それをあしらったプーチン大統領やトランプ大統領は正しい。政治家は不満を叫ぶだけで済む仕事ではない。政治家は国内の諸問題に優先をつけて処理していかねばならず、すべての問題はものすごい利害関係があり、関係者は無数だ。それを不満を最小に、費用対効果を考えて行うのが政治である。
  もし目的実現のために突き進むなら、それは独裁そのものである。プーチン大統領やトランプ元大統領に限らず、まともな政治家から見たら、ぐれたお嬢さんは駄々っ子にすぎません。
  
  

• 「何をしても変わらないという人がいます。しかしほんの数人の子供が、ほんの数週間学校に行かないことによって世界中の見出しをかざったのです（p.25）」
  これもグレタの言葉らしい。これをどう見るか分かれるだろう。
  新聞の見出しを飾ってもCO2は減らないし、温暖化を止めない。環境のために行動するならデモするより、一生飛行機に乗らないとか海外旅行しないと誓ったほうが、CO2削減にも温暖化にもわずかでも寄与しただろう。
  私はグレタが国会前でデモをしたことの意味が分からない。ま、子供のことだからというなら、ぐれたお嬢さんを褒めたたえるのでなく、無視するべきだ。
  プーチンとトランプは無視していたが、欧州の首脳は持ち上げてましたね。ヤレヤレ
  ちなみに

  数年前、SEALS（Students Emergency Action for Liberal Democracy - s）なんてサヨク学生の団体があって、いっときもてはやされたがすぐに忘れ去られ、後には何も残っていない。
  批判するだけ、反対するだけって政党もあるが、建設的な意見そして実行するための施策がなければ犬や猫が吠えているのと同じだ。
  ゼロコロナにしたいのは国民みんなだ。どうしたらゼロコロナにできるのか、その方法を示さなくちゃ意味がない。
  1968年、全共闘なんて粋がっていたアホ学生がいたが、壊すだけで建設的なことは何もしなかった。日本の成長を進めたのは高卒で愚直に働いた我々だ。私はそれを誇る。
  
  

• 「とても多くの人が、これ（グレタと若者たち）を操っているのはだれだろうと疑ったのです。しかし-グレタの背後には怪しい影などなく、あったのは科学研究の歴史だけでした（p.31）」
  操っている人がいるのか否か私にはわからない。しかしヨットや活動資金の提供者がいるのは事実。
  グレタが中国を批判しないことからスポンサーは中国系とか、16億円もした素晴らしいヨットを提供したのはロスチャイルドといわれている(注2)。

  どうして「怪しい影などなく、あったのは科学研究の歴史だけ」といえるのか？

  マスコミが都合の悪い真実を報道しないのは日本ばかりではない。めったにない環境アイドルだから、ケチの付くことを報道するわけがない。
  アイドルならかわいい顔で歌うだけだから好き嫌いですむが、ぐれたお嬢さんは政治的主張をするから困る。

  
  

• 「（IPCC報告書は）2000人以上の専門家による15万回の査読、ダブルチェック」
  この本の著者はIPCC報告書を聖書のように、ありがたがり権威あるものとみなしている。しかし過去よりIPCCの報告書には、ホッケースティック、キリマンジャロの雪、ヒマラヤの氷河などミス（ウソ）は多い。
  15万回もチェックをして見逃しているなら、そのチェックは節穴だ、無意味だ。IPCCの報告書は信頼できないといってよい。
  無邪気にIPCCを権威と持ち上げるのも危険だね。そういうのを贔屓の引き倒しという。
  
  

• 著者によれば（ぐれたお嬢さんの考えかどうかは不明）「CO2排出を止めるのは簡単（p.49）」だそうだ。
  不言実行は昔の熟語、今は有言実行というから、ぜひ著者がCO2を止めて見本を見せてほしい。
  私は愚かだからできると言われても方法を思いつかない。
  
  

• 「（地球温暖化を起こした）化石燃料の有罪を証明するための半世紀以上のデータがある（p.55）」
  ぜひともそれを提示してほしい。少なくてもまだIPCCも「地球温暖化の原因は人為的CO2である」と断定してないことだから（まもなく出る第６次IPCC報告書ではどうなるか？）、それを立証できるなら著者はジャーナリストではなくすごい研究者である。
  読めばロンドンのスモッグを起こしたのは石炭を燃やしたからだという。オイオイ、小学生かよ？ CO2と煤煙は違うような気がするぞ。

  注：IPCCの第5次評価報告書の2ページ目の「第５次評価報告書第１作業部会報告書の主要な結論」の冒頭に次の文句がある。
  人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高い。
  「可能性が極めて高い」であって、断定していないことに注意、

  環境活動家は捏造が得意だ。
  ノーベル平和賞までもらった稀代の詐欺師ゴアは、環境保護のためなら嘘をつくことをいとわない。

  金儲けのためかもしれない？
  シロクマ、氷山崩落、ゴアの本に煙突からCO2が出ている図があった。ああいった嘘800の表現は良くない。今時煙突から見える煙は出ないし、白いけむのようなものは水蒸気が冷えて水滴になったもの（つまり霧か雲）で無害でありCO2ではない。
  これは人をだまそうと悪意以外の何物でもない。まさかゴアが無知だったとは思えない。

  もっともぐれたお嬢さんは二酸化炭素が見えるそうだ(注3)。全世界の眼科医は彼女の眼を調べるべきだ。目の見えない人の治療に役立つことは間違いない。

  環境保護者は皆さんステマが得意らしく、この本でもガソリンスタンドでガソリンの波目がドクロの絵（p.52）なんて素敵すぎる。
  溶けている氷山の上のシロクマの親子（p.34）はいただけない。ゴアの二番煎じだし、ゴアの捏造はばれちゃった。

  思うのだが、良いことをしようして嘘をつくことは、目的に反する行為であるだけでなく、バレた場合は目的自体が否定される危険がある。
  心せよ、目的は手段を正当化しない。
  では結果は手段を正当化するだろうか？ そりゃ、やっぱり詐欺だろう。
  白いウソとか、嘘は方便とは、うそつきの言い訳なのだ。露骨に本当のことを言えないなら、婉曲表現をすることです。

  
  

• 惑星の未来を救うスーパーヒーローたち（p.60）
  「水を電気分解して酸素と水素にすることで新しいエネルギーが得られる（p.61）」
  理論があまりにも高尚で、私はまったくわからない。もし水素エネルギーのつもりなら、そもそもまったく理解していないようだ。
  エネルギー保存の法則ってものがあってだなあ〜（以下略）
  
  

• シロクマが危ないよ（p.87）
  既に多くの研究者によってシロクマは増加している事実、そしてシロクマという種ができてから過去幾度も北極海の氷がない時期を経ており、 温暖化によって絶滅することはないという報告がある。
  シロクマ絶滅論の発端はゴアの捏造映画であり、現実は違うらしい。

  著者はシロクマが危ないと信じているようだ。だが信じれば事実になるわけではない。
  北朝鮮の若者は「ハンバーガーは金正日氏が発明したもの」「ミッキーマウスは中国人が作ったキャラクター」と信じているそうだ。（2014/4/26、英紙デイリー・メール）
  しかし北朝鮮の人が信じても、ミッキーマウスのロイアリティが金将軍に入るわけではない。

  人間は考える葦である。考えず信じる者は人間ではない。
  信じる者は救われるというが、信じる者は足をすくわれるともいう。

  
  

• 海水温が上がるとサンゴが白化して死亡する（p.87）
  しかし最近の研究ではサンゴの白化は海水温上昇への対応であるという(注4)。
  渡辺正もサンゴの白化は、サンゴ虫がサンゴ内でなくても生きていける状況になったのだと書いている(注5)。
  
  
  

• 11月にイチゴを食べたり、オーストラリアの牛乳を北京に船で運んだりするのを止めれば、輸送の際にかかるCO2の排出量を減らせます(p.97)
  この本の著者さんは、ぐれたお嬢さんにバナナを食べたり、ヨットで大西洋を渡たったりするのを止めればCO2の排出量を減らせると教えてください。
  指導者なら口だけでなく範を垂れなければなりません。日本語なら率先垂範でしょうか。
  改革するには、まず自分自信を改革しなければならないといいます。
  
  

• 私の気候行動
  良（・）い（・）こ（・）と（・）がいっぱい書いてあります。

  • 水道水を飲み、水筒を持って歩きましょう（p.116）。
    水筒は竹がよい（p.117）。
    環境の国際会議ではいつもミネラルウォーターのペットボトルが見えますが、あれを止めて竹の水筒にしてください。

  • 水を無駄に使わない。（p.116）
    日本では一日一人当たり224リットルだそうで、我が家では夫婦二人で13立米ですからズバリ日本人の平均です。
    この本の著者の住む香港の水使用量は日本とほぼ同じ220リットルです。

    スウェーデンでは一日一人115リットルだそうです。でも気候が寒冷で汗をかかないので、シャワーも洗濯回数も違うでしょう。高温高湿の日本とは条件が違います（注6）。
    もし日本に水を減らせというなら、スウェーデンには暖房を減らせと言いましょう。スウェーデンの一人当たりエネルギー使用量は日本の5割増しです(注7)。
    いやいや、そんなことを言ってはいけません。水やエネルギーの使用量は国により気候や土地特有の事情があるのですから、一概に多い少ないは言えません。

  • 徒歩、自転車、公共交通機関を使う（p.118）
    車もバイクもない私は徒歩、自転車、公共交通機関を使うしかありません。
    外国に行くのに専用のヨットを使う人なんて想像できませんわ♪
    誰とは言いませんが
  
  

• おかしいな、間違っていると思うところ

  • 災害と気候変動の関連をこじつけているのではないか？
    p.43〜44で巨大台風被害をあげている。IPCCの第5次報告書でも温暖化と台風や竜巻の関連はわからないと記述している。
    じゃあこの本の著者は何を根拠に巨大台風によって被害が増加していると書いているのか？ 根拠なければ嘘つきだよね！
    ちょっと待って！ それよりもさ、近年巨大台風が増えてきたという事実がないってこと、知ってるかい？
    坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというノリではあげ足を取られるよ……

  • 化石燃料は数百万年前に生成された（p.31）
    いくらなんでも数百万年ってことはないでしょう。石炭ができたから石炭紀といわれており、これは3億年も前のこと。 高さ40ｍもあるシダ植物が繁茂し、70センチもあるトンボが飛んでいた世界。まだ恐竜もいないよ。
    数百万年前は原人が石器を使っていた時代です。我々のご祖先様が生きてた時代の森林が石炭になるなら、今から木材を埋めておけば子孫が使える。CCSより安全で確実だね。

  • 550万キロメートル四方のアマゾンの森の半分が消える（p.37）
    ちょっと、お待ちください。550万平方キロメートルではありませんか？
    地球の表面積は2万2千キロメートル四方の広さしかありません。
    アマゾンの面積が地球の表面積の6万倍もあるはずがない。

  • IPCCは2100年までの温度上昇を1.5℃に抑えることができれば、自然の人間のシステムの脆弱性を軽減しうるといっている（p.37）
    この原文の文章がわからない。2100年の温度上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることではなく、温度上昇を産業革命以前に比べて1.5℃以内で停止させることが必要ではないのか。
    温度上昇速度を抑えただけでは早いか遅いかの違いでしかないはず。原文を理解しないとわからないが、私の能力では読んでもわからない(注8)。
  
  この本は偉い学者（）に監修を受けているとあるけど、チェックは大丈夫だったのだろうか？

　本日のまとめ

この本はグレタ・トゥーンベリでなく、この本の著者の主張と理解したほうが良い。
そしてかなりおかしところがあり懸念がいっぱい！
広告では「科学的データに基づき、グレタ・トゥーンベリの主張を理解する」とあるけど、本当でしょうか？

ぐれたお嬢さんも有名になるといろいろ大変だね。もしこの本を読んで行動して問題があったとき、ぐれたお嬢さんのせいだといわれても困るだろう。
老婆心ながら心配である。

注1		温暖化地獄、山本良一、ダイヤモンド社、2007
注2		グレタ・トゥンベリはロスチャイルド家の操り人形だ！
注3		「グレタは二酸化炭素が見える」と母親が語ったのは比喩表現だという。私は全くドイツ語は分からないが次の表現だったらしい。 Sie sieht, wie die Treibhausgase aus unseren Schornsteinen stromen, mit dem Wind in den Himmel steigen und die Atmosphare in eine gigantische unsichtbare Mullhalde verwandeln. Google訳 彼女は温室効果ガスが私たちの煙突から流れ出て、風と共に空に上昇し、大気を巨大で目に見えないゴミ捨て場に変えているのを見ます。
注4		サンゴの白化に隠された意外な「生存戦略」〜サンゴ研究の最前線とは〜
注5		地球温暖化狂騒曲、渡辺　正、丸善出版、2018、p.97
注6		水道使用量は気温によって大きく違う。寒冷地は少なく、暑い地域は多くなる。 国内では北海道・東北が少なく260リットル、沖縄が一番多く340リットル程である。 ・地域別の水使用状況 世界的には緯度が高いほうが少なく低いほうが多くなる。 ・JWRC水道マップ シンガポールはマレーシアから水を購入しており節水の指導がされているようだ。風呂でなくシャワーがほとんどらしい。 ・シンガポール水調査表
注7		date commons place explorer
注8		IPCC特別報告書『1.5℃の地球温暖化』の政策決定者向け要約を 締約国が承認（2018年10月8日付 IPCC プレスリリース・日本語訳）