お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。
書名 | 出版社 | ISBN | 初版 | 価格 |
★温暖化地獄★ | ダイヤモンド社 | 9784478000861 | 2007.10.04 |
この本の著者 山本良一先生は、温暖化教の教祖様である
この本が出版されて以降、IPCC報告書も第4次、第5次と出されたが、環境はあまり悪化していない。山本先生は予想が外れてさぞかし残念だろう。先生の予想では既に地上は地獄になっているはずだ。
だいぶ古い本ではあるが、私は地球温暖化について書くときはいつも参照している。というのは、山本先生は地球温暖化を信じる人のティピカルな考えだと思っているからだ。
信じるとは国語辞典では
@少しの疑いも持たずにそのことが本当であると 思う。
A自分の考えや判断が確実であると思う。ことだそうだ。
研究者が信じては困る。研究者はパスカルのように自分をも疑わなければならない。
いまだに地球温暖化を誤解している人がいるから、改めてその定義を確認しよう。
地球温暖化は、ちゃんと法律で定義されている。
「人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう(地球温暖化対策の推進に関する法律 第2条)」
もっとも「地球温暖化(Global Warming)」は、今では主に日本だけで使われている言葉となり、海外では「気候変動(Climate Change)」という。元々は欧州やアメリカでも地球温暖化と呼んでいたが、2000年代中頃から気候変動という言葉に切り替えた。
日本では地球温暖化が多くの人に浸透したせいか、いまだに地球温暖化という言葉を使い続けている。現時点、CO2問題においては<地球温暖化≒気候変動 >とみてよい。
ではなぜ欧州やアメリカでは、地球温暖化を気候変動というようになったのか?
2004年の映画「デイ・アフター・トゥモロー」を覚えているだろうか? あの映画は、地球温暖化によって突然訪れた氷河期に混乱する人々を現実味を持って描いたというキャッチフレーズであった。あの頃からCO2が増加すると、温暖化だけでなく寒冷化も起きると言われるようになった。
トランプ元大統領が温暖化論者を「時が経っても地球が温暖化しないので、昨今の寒冷化などの異常気象を含めて気候変動と呼ぶようになった(意訳)」と非難した。
これに対して気候変動という言葉は、1950年代から使われていると温暖化論者は反論している
だがそれまで「地球温暖化」と言っていたのを「気候変動」と言うようになった経過はトランプ元大統領の言が正しいように思う。
日本でも2010年以降は、強い台風も寒波が来るのも春が早いのも遅いのも郵便ポスト〠が赤いのも「地球温暖化のせいです(キリッ)」と言う学者や気象予報士が多い。
でもさ、巨大台風は1960年代以前に多いのは忘れたのかな?
山本先生もこの本の中で異常気象をたくさんとりあげて温暖化のせいだと語ってる
しかし山本先生は同時に「まえがき」で「個々の異常気象と地球規模の温暖化を結び付けることはできない(p.2)」と語っており、どっちなんでしょう? 困っちゃうナ♡
おっと、話がそれていけない。地球温暖化とは地球が温かくなることではなく、「人間の活動によって『温室効果ガス』が大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温があがること」です。
ですから「地球温暖化を疑っている」とか「地球温暖化懐疑論」という言葉は、地球の大気や海水の温度が上がっていることを疑っているのではなく、それが二酸化炭素のせいかどうかを疑っているのです。👈これ重要
私が地球温暖化について書くときは、この本を座右に置いていると書いた。それを述べるのがこの小文である。
なぜか読むのかというと、面白いからだ。面白いとはツッコミどころ満載で、ネタに困ればこの本を読むと書き出しに困ることがない。
おっと、こんなことを書くと「もうネタが尽きたから10年前の本を引っ張り出したのか」と言われそうだ。そうではない。地球温暖化を語るには、この本は極めて重要なのだ。
以下、紫色の文字は本書から引用
だって私は毎日京葉線で10年間 千葉から東京に通勤していたが、その間、ディズニーランドも葛西臨海公園も少しも海面が上がっていない。ツバル周辺の海面が上がって、東京湾の海面が上がらないという理屈があるのだろうか? もしかして太平洋のツバルと日本の間には仕切りでもあるのか?
環境部門で働いているとバカになるのか? ツバルが沈むのを心配するなら東京湾を見に行け。
私は退職する前はまったくのカナヅチであったが、グアムが大好きで毎年くらい行っていた。
でもさ、10年たっても海岸線はホテルに近づいてきません。ツバルもグアムも海面の高さはどちらも同じでしょう?
それにツバルから日本までの距離の半分しかありません。どうしてグアムの海岸線はホテルに近づいてこないのでしょうか?
もちろんエルニーニョのときは海面温度により太平洋の他の部分より高くなるとか、台風で気圧が低くなったり吹き寄せられたりして海面が上がるのはおなじみだ。だけどツバルだけが継続的に海面が上がり、ディズニーランドでは海面が上がらないとは、魔法以外思いつかない。
ツバルが沈むと大騒ぎされてから10年以上経つが、今もツバルは沈まず、いやそれどころか陸地面積が増えていると報道されている。そもそもツバルが沈むと写真とか動画が拡散されたが、あれは大潮のときの風景で、温暖化騒ぎ以前からたびたび起こることらしい。
しかし日本人は熱しやすく冷めやすい。今はツバルのツの字も忘れたようだ。カンパしていた奴は反省したのだろうか?
最近は「要因が何であれ、ツバルが直ちに水没することはないが、もし平均海面が約1メートル上昇すれば水没する面積が増加することは避けられない」なんて語っている人もいる。1m海面が上がれば、海抜1m以下は水没するのは当然ぢゃないか(笑)
そういう理屈を盗人猛々しいというのだろうか?
いやサイコパスか……環境運動は理屈でなくて宗教だから変に注意しないほうがいい。
山本先生も負けてはいない。
山本先生のたまわく、海面が5m上昇すると東京、ニューヨーク、ロンドン……などの都市は海面下に水没する(p.5)。
待てよ!海抜5m以下の土地が水没するのを、海面が5m上昇するというのではないのだろうか?
もちろんそれは堤防がなければの話です。オランダの国土の3分の1は干拓地で、その半分つまり国土の6分の1は海抜より低い。でも堤防があるから農地や住宅地になっています。
ところでもし海面が100m上がったら海抜100m以下は海に沈むのでしょうか?
残念ながらグリーンランドや南極、高山の氷が全部溶けても海面は66mしか上がりません。
300万年前、気温2〜3℃高く海面水位は25±10m高かった。今世紀中に5m上昇があり得る(p.97)。
10年前に読んだ時もこの数字はおかしいと思った。縄文海進といわれる7000年前(BC5000)、気温は今より2℃高く海面は今より5m高かったといわれる。しかしそれは太平洋プレートが日本列島の下に潜り込んだための隆起など日本特有の条件のためで、欧州での海面上昇は2〜3mだったという(注4)。その隆起分を除けば日本も欧州と同じだろう。だから気温が2℃上昇して縄文時代と同じくなっても海面が5mも上昇するはずがない。ましてや25mとはのけぞってしまう。
更なる疑問だが、温暖化でいかほど海面上昇するかというコンテンツはネットにあふれているが、25mどころか5mなんてみかけない
ところで、今後も日本列島が隆起するなら、海面上昇はその分少なくなるはずだ。
イチャモンを付けているつもりはありません。納得できる情報が見つからないのです。
先生は語る。
その有様は「地球温暖化地獄」と呼んだほうが実態に即しているのではないか。
これを読むと、オウム真理教が頭に浮かぶ。サテアンと呼ばれたオウムの施設では信者に覚せい剤を与えて、妄想を見せてそれが地獄だと洗脳して、そうならないために……と引きずり込んだ。
山本先生の講釈はまさにその手口としか思えない。おっと、そうでないなら科学的知見を積み重ねて語るべきだ。
しかしラブロックは2012年に過去の発言を撤回した
「予測は行き過ぎていた」「2000 年から 12 年という十分な年数が経っても、気温はほぼ安定していた」と過去の発言は間違いだったと語った。
とはいえ、そもそも100歳を超えたラブロック爺さんの語ることが、根拠となるのかどうか、はなはだ疑問ではある。
私個人は、ラブロックのお言葉よりも、今研究している人の言葉を尊重する。
私は山本先生を信用しない。それは好き嫌いの問題ではない。
専門家や科学者が語る専門的なことは、私のような無学なものが理解したり判断したりできないことが多いだろう。
しかし山本先生が、私にもわかるようなことについて明らかな間違いや見当違いなことを語るのを見ると、この人が語る専門的なことも間違っているんじゃないかと疑うのは必然だ。
話は変わるが池上彰は知識人、解説者としてもてはやされている。しかし私の専門であるISO認証についてテレビで間違えた解説するのを見たり、薬剤師の知り合いが薬や医療制度について池上が語ることの間違いを指摘するのを聞くと、池上は我々の知る分野のことを知らずそして勉強していないとしか思えない。
ならば私の専門外の経済も政治も外交も、池上は間違いとか嘘っぱちを解説しているのではないか考えるのは当然だ。そう考えるのは私だけでなく、ネットでは「池上彰のニュースそうだったのか!」を揶揄して、「池上彰のニュースうそだったのか!」というのを多々見かける。
それと同じく山本先生が温暖化地獄を嬉々として語るのをみると、信用するに能わずと考えるのもいたしかたない。
「偉大な人が常に偉大ではない
結局は物事はよく考えて是々非々で決めなければならない。ということで山本先生の語る地球温暖化論は信用できません。
本日の地獄
山本先生は、最良の科学的知見に基づかなければならないと語りながら、出典をしめさず、温暖化地獄という宗教もどきを語るのはなんでだろう?
全共闘世代のアジ演説の名残だろうか?
一般市民に地球温暖化の危機を知らせようして、根拠不明で非科学的なことを言っては、まっとうな地球温暖化論者を後ろから撃つだけではなかろうか?
それは地球温暖化地獄ではなく、地球温暖化論者にとっての地獄だ。
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山本先生は次のような事象を地球温暖化のせいだと語っている。 イギリス大洪水、インド・バングラデシュの洪水、マダガスカルのサイクロン、重慶 豪雨など ![]() | |
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毛沢東の言葉といわれるが真偽は知らない。誰でもいいそうな言葉だ。 ![]() |
おばQさま 今回も笑えるネタを有難うございます。 「地球温暖化」とても不思議な言葉で、なぜか未だに日本では良く聞きます。 テレビのコメンテータは、気軽に使いますね。 呆れるのは、気象予報士とおぼしき人も言っております。 すでにおばQさまが何度も書いている事ですが、地球規模の気候変動なんて、揺らぎもあるから、そう簡単に判断できることではありません、ましてや素人に。 社会心理学でいえば、「幽霊」「妖怪」「怪奇現象」と同類かもしれません。 思ってもみない事や、不思議が発生すると、真の原因を探らずに「これは妖怪**のしわざ」「地縛霊ですね」と、怪しげな専門家が出てきて断言します。 真の原因を探ろうなんて、大変だから誰もやろうとせずに、誰かが言った「レッテル」を張り付けて満足。 確かに欧米では気候変動という言葉に変わったのに、なぜか日本では「地球温暖化」が残っているから妖怪の流行からも周回遅れだったのでしょう。 昨日:4/22 臨時ニュースが流れて驚きましたが。菅総理が2030年度の温室効果ガスを13年度比で「46%削減」する方針を各国の首脳に表明。 その時に自分が責任ある立場にないからといって、日本の未来に無理な押し付けは辞めて欲しいですね。 「温暖化による海面上昇」については、さすがに言う人は減りましたね。 地質学をやっている人から言えば、笑止千万です。 だって地球を扱う学問では1000年が最低単位ですから。 おばQさまご指摘の通りで、氷山や氷河がとけようが影響は微小、地質の変動による変動の方がよっぽど大きい。 大地の頂上にほんの少しある氷よりも、大地の方が数千万倍も体積があるから、これが海面に潜り込んだり、隆起したりする影響が甚大です。 だから心配するならば、地球の割れ目への沈み込みの方がよほど怖い。 人間には、そのほんの小さな兆候である地震の方が影響は大きい、頻度も被害も大きい。 秋田県の象潟なんて、芭蕉の時には松島と比較される名勝だったのが、島が隆起して今は田んぼの中の丘。 それが311では1m沈降。 人間が感じられる環境変化は年単位くらいだから、私達は大気汚染には気を付けるべきですが、温暖化による海面上昇はあったとしても感じる事は出来なさそうです。 |
外資社員様 毎度ありがとうございます。 ツバルの海面上昇がオカシイゾとなるのに15年、ラブロックが温暖化はオカシイゾと言い出すまで12年。CO2が……と言いますまであと50年ですかね、トホホ、 ゴアとかグレタなんて墓の中で大笑いしてるんでしょうか? そのとき外資社員様と私は、草葉の陰でスルメを肴に酒飲んで愚痴ってるんでしょうか? |