妥協の達人 2002.06.02
本日ここをお読みになられている方、毎度ありがとうございます。
毎日、ご訪問される方に深く感謝いたします。
たまには役に立つことを申し上げようとは思っておりますが、もともと頭の中が空っぽなのでご期待にこたえることが難しそうです。

といいながら本日もまたくだらないことをご奏上たてまつります。


世の中には、いえ日本人には最善、最高を求める方が多いようです。
  • 例えば海外旅行、
    英語なんかとにかく意思疎通できればいいものを、目じりを吊り上げて勉強していくことありません。
    楽しい旅行♪ それに旅行に行く前に訪問地の地図を眼光紙背を徹するがごとくチェックしまくり、ここに行かなくては、この店にも寄ってなんて予習することありません。
    行ってみて、未知のものがなければ行くかいありませんし、疲れるほど歩き回ることもありません。
    楽しむため、のんびりするために旅行に行くんでしょう?

  • マイカーに凝る方もいます。
    でも車なんか走りゃいいんです。
    人身事故さえ起こさなくちゃ、すこしくらいこすったって気にしなさんな、
    ワックスかけて磨き上げることもありません。
    最近は中古車市場も拡大してきたそうですが、日本ほど新車志向が強い国は珍しいでしょう。
    オーストラリアなんか税制の関係もありますが、中古車があたりまえですよ。

  • また、借り物を嫌い、マイなんとかじゃないと気がすまない方も多いようです。
    日本ほど本が売れる国はないとか聞きました。本なんかハードじゃありません、中身・ソフトですよ。
    図書館から借りてもいいし、古本でも効用は同じです。

    プロボウラー目指すならともかく、スコアが160や170でマイボウルとかボウリング用靴なんかいりません。

  • 子供が70点取ってきたら、『スゴイネ』って誉めればいいものを『何で100点じゃなかったの?』なんてなぜいうんでしょうかね?
とにかく日本人には完ぺき主義、潔癖主義、理想主義者が多いんですよ。

なぜ、日本人は理想を求めることにこだわり、適当なところで妥協することがへたなのかと考えました。
思いついたのが値引き交渉ですね、
現在の日本では値引き交渉という行為がまず見られません。

『現金安値掛け値なし』というのはひとつの理想でありましょうが、結果として日本人の交渉力を衰えさせてしまったようです。
いまどき八百屋で『あの店じゃ200円だったわよ』なんて言っている奥さんを見かけませんし、
『高いから負けろ』なんて飲み屋で言っているオヤジも見かけません。
以前、車は値引き交渉が必要な商品の典型でしたが、最近はどこのメーカーもワンプライスなんていって値引きをしないようになりました。
こんな社会ですから、国民の皆さんは値引き交渉がヘタというか、値引きという行為を忘れてしまったんではないでしょうか?

東南アジアではとにかく何でも値引き交渉です。
初めてタイに行った時、道端で売っていたのを半分くらいに値引きさせて買ってきて得意になっていたら、駐在員の友人から『お前、大甘だぞ、』と笑われてしまいました。
値引きってできないわ!

値引きというといやらしいとか上品でないとお考えのあなた!
それは間違っています。

値引き交渉は自分の利益を最大にすることが目的じゃありません。
相手の利益を最大にすることでもありません。
相手とこちらの利益を最大にするという点を見つける行為なのです。

相手も満足しなければ継続した取引は成り立ちません。
一回限りの取引でも相手に不満を残したならそれは商行為としては適切ではなかったわけです。

これはまさしくゲームの理論の日常生活での実践であり、そのテクニックの向上のための研究であるのです。
   おおげさかな?

政治に関しても、国民も政治家も理想を追い求めるんですね〜

政治なんかもともと妥協の産物といいますか、妥協するための仕組みなんです。
『理想を実現します』と高らかに宣言する政治家は、『私は政治家たりえない』と宣言しているのと同じです。
私は『皆さんのご不満を最小にすることをお約束します』と言ってほしいですね。
一方の希望をかなえて、他方の不満を残すことより、双方の不満の総和を最小にする方が立派な政治家です。
 ご異議ありますか??

この高度なテクニックを使いこなせないと、政治という妥協のためのメカニズムに対して、理想の追求という見当違いを期待してしまうのです。

以前最小悪の選択と書きましたが、政治において最小悪を選択するというのは実は間違っていると気がつきました。

ほんとうは『政治とは最小悪を求めるしくみ』なのです。

私は目的と手段を間違えていたことを白状します。


発明協会の豊沢会長の言葉に
『小さな発明ができない人に、大きな発明ができるわけがない。小さな発明ができる人は大きな発明ができる人だ』という言葉があります。

その言い回しを借用しますと
『小さな交渉が上手にできない人は大きな交渉ができるはずがない。小さな交渉が上手にできる人は大きな交渉が上手にできる人だ』と言ってよいかと考えます。

当世は庶民に限らず、政治家にも、外交官にも交渉ごとがへたな方が多くて困っております。



そこで本日の結論

政治に理想を求めるな!
政治家は理想を追ってはならない。

国民も政治家も妥協の達人たれ!





ボウリング愛好家様からお便りいただきました。(2002.06.03)

はじめまして、
マイボウルやマイシューズを持つのはお金をかけないためです。
10回靴を借りたとすると、自分のシューズを持ったほうが安いし、それよりもいつも同じコンディションでプレイできるからです。
決して、潔癖症とかではありません。

お便りありがとうございます。
おっしゃるとおりですね、
思い起こせば私も若い頃アイススケートにこりました。
貸し靴を履いてすべるより、自分の靴を持ったほうが気分もよく、少しうまくなったような気がしたもんです。
大変失礼いたしました。

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