いつもばか話ではこのウェブサイトもいなか漫才に終わってしまい、お客様からも見捨てられるのではないかといささか心配であります。というわけで本日はすこし格調高く行きたいと考えます。
先日、
日本国憲法の余白を読むという拙文で行間や余白を読んでいる人をこきおろしました。
おっと、
やさしい言葉で・・・というトンデモ本もありましたねえ〜
本日はその後編といいますかもっとちゃんと文章を読まなくてはいけないということを、

日本国憲法についていろいろな意見があります。
★・憲法は軍隊を持つことを禁じている。
★・日本国憲法は戦争をすることを禁じている。
★・自衛隊の海外派遣は違憲行為だ。
★・日本国憲法は平和を誓っている。
★・日本国憲法は日本の平和を守っている。
その他大勢あります。
軍事力を持つべきか否か、海外派遣が是か非か、海外派遣が戦争につながるか否か?それは人それぞれ、さまざまな考えがありましょう。そしてここは日本、北朝鮮でも中国でも韓国でもありません。いかなる意見をお持ちでも主張しても問題ありません。
しかし、自衛隊が合憲か違憲か?日本国憲法が平和を誓っているか否か、戦争を禁じているか否か、海外派遣は違憲か否か?などは憲法をよく読めば判明します。
えっ、読んでも分からないのですか?
お断りしておきますが、理念とか趣旨という表現、解釈は憲法論議
(談義かもしれません)では許されても、法律レベルの理解
(解釈ではありません)ではまず通用しないでしょうねえ〜
法律より上位文書である憲法を、思い込みや行間を読んで議論するということは、法律に違反しているかいないか、あるいはISO規格に適合しているかいないかという、白か黒かというデジタル世界にいる者にとっては理解できないことです。
憲法を論じている人々は憲法の条文をよく読んでいらっしゃるのでしょうか?
私が読むとは文字解釈ということです。
ではみなさんが普段から文章をよく読んでいらしゃるのかひとつテストをしてみましょう。
全問合格した方のみが憲法を論じることを許可します。
すべて実際の法律や約款などから引用しました。

レビューに時間をかけてないので生煮えのところはご勘弁を・・・
- 問1 まずは超やさしい問題から
特便割引航空券の購入条件
「ご予約の変更はできません。予約した便に限り有効です。ご搭乗当日、出発空港においてご予約便より前の同一区間のJ○Lグループ航空会社便への変更も承れませんのでご注意ください。
払戻に際しては払戻手数料(XXX円)を航空券1枚毎に申し受けます。また便出発3日前(出発日を含みません。)以降の取消に際しては、取消手数料を航空券1枚ごとに申し受けます。
払戻は、ご予約便出発日の翌日から起算して10日以内に限り承ります。」
質問です。
- 3月1日に3月7日の羽田発札幌行きの特便割引航空券を申し込み入手した。
ところが3月3日になって旅程が変更になったために便を変更したい。
どのような方法を取るべきか?
★・搭乗便変更をする。
★・本日中に搭乗をキャンセルし即新しい特割航空券を探す。
★・明日中に搭乗をキャンセルし新しい特割航空券を探す。
- 当日予約便より遅い同一区間の同グループ航空会社便への変更はできるのでしょうか?
- 問2 これもやさしい問題です。
下記を読んで設問に答えなさい。
- 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第11項」
一般廃棄物収集運搬業者及び一般廃棄物処分業者は、帳簿を備え、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条の2第12項」
法第7条第11項及び第12項の規定は、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業者について準用する。この場合において、第7条第11項中「一般廃棄物」とあるのは、「その特別管理産業廃棄物」と読み替えるものとする。
さて、質問です。次から正しいものを選んでください
- 事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業者は、帳簿を備え、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業者は、帳簿を備え、特別管理産業廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 特別管理産業廃棄物を生ずる事業者は、帳簿を備え、特別管理産業廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 問3
ちょっと簡単すぎましたね?
では同じ法律から少しひねった問題です。下記を読んで設問に答えなさい。
- 廃掃法第7条第11項
一般廃棄物収集運搬業者及び一般廃棄物処分業者は、帳簿を備え、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 廃掃法第12条第6項
その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。ただし、自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場については、この限りでない。
- 廃掃法第12条第11項
第7条第11項及び第12項の規定は、その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者で政令で定めるものについて準用する。この場合において、同条第11項中「一般廃棄物」とあるのは、「その産業廃棄物」と読み替えるものとする。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の4
法第12条第11項 に規定する政令で定める事業者は、同条第6項 に規定する事業者とする。
質問です。正しいものを次から選べ
- 産業廃棄物を生ずる事業者は、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 産業廃棄物を生ずる事業者は、産業廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、その産業廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
- 事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載 しなければならない。
選択問題ですからまあ誰でもできますよね、
- 問4
ISO14001:1996より「4.4.5 文書管理の問題」
組織は、次のことを確実にするために、この規格が要求するすべての文書を管理する手順を確立し、維持しなければならない。
- 文書の所在が分かること、
- 文書が定期的にレビューされ、必要に応じて改訂され、かつ所定の責任者によって妥当性が承認されること、
- 環境マネジメントシステムが効果的に機能するために不可欠な業務が行われているすべての場所で、関連文書の最新版が利用できること、
- 廃止文書は、すべての発行部署及び使用部署から速やかに撤去されること、そうでなければ意図されない使用がないように保証すること、
- 法律上及び/又は情報保存の目的で保管されるあらゆる廃止文書は適切に識別されること。
文書は、読みやすく、日付が(改訂の日付とともに)あって容易に識別でき、順序よく維持されて指定の期間保持されなければならない。
種々のタイプの文書の作成及び改訂に関する手順と責任を確立し、維持しなければならない。
次に○×をつけなさい。
- 文書発行前には責任者により決裁されることは必要か?
- わかりにくい手順書はISO規格に反している。
- 一部旧版が使われていることが判明した。しかし文書管理手順は確立している。だからこれは「文書管理不適合」ではなく「運用管理不適合」だよね。
- ボイラー室に勤務している人はボイラー手順書を作った人だから配布は必要ない。
- 問5
同じくISO14001より「4.3.2 法的及びその他の要求事項」
組織は、その活動、製品又はサービスの環境側面に適用可能な、法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照できるような手順を確立し、維持しなければならない。
次に○×をつけなさい。
- 特定するとは法規制一覧表を作ることが必要だ。
- 法規制一覧表を作ればこの項は満たされる。
- 環境法規制を他の法規制と区別する必要がある。
- 利用部門が参照できることが必要で、事務局サイドが関係する部門へ法規制を周知する方式ではだめだ。
上に揚げたようなものは日常あまり関わりがないかもしれません。でも文章をよく読まないといけないものってたくさんあるのですよ。
- 例1 旅行約款より
パッケージツアーを購入した客は旅行開始日の前日から起算してさかのぼって30日目にあたる日以降3日目に当たる日までに解約したときは、旅行代金の20%を取消料として支払う。
お客様の人数がパンフレットに記載した最少催行人数に満たないときは、当社は旅行契約を解除します。この場合旅行開始日の前日から起算しさかのぼって23日目にあたる日より前に旅行中止を通知します。
これを読んで旅行代理店と客の権利が対等であると思う人はいますか?
- 例2 通勤途中の駅でクレジェットカードの申込書をもらってきました。
それには私がめがねをはずさないと読めないような小さな字でカード会員規約がごちゃごちゃと書いてあります。
最後に書いてあったのは「ご入会後8ポイントの文字で印刷したカード会員規約を送ります」ってさ!
カード会社なんて会員規約を呼んで欲しくないようだ

ポイントとは活字の大きさを表す単位で1ポイントは約1/72 インチで、0.35ミリ
8ポイントは2.8ミリ。駅でもらってきた申込書の文字は・・・1.5ミリはないようです。
私たちが社会生活をする上でそういったことをよく読まないと、とんでもなく不利な目にあうことになる。
あるいは旅行会社の約款を多々読んで、多少の金額の過多ではなく、万一の場合に客に有利というか条件が悪くないようなものを選ばなくてはならない。
- さあ、いよいよ本日の応用問題です。
日本国憲法第9条
- 第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
- 第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
次に○×をつけなさい。
- いかなる場合も軍隊を持つことはできない?
- 平和を築くことを宣言しているか?
- 武力行使が認められる場合はあるか?
- 国際平和を希求すると述べているか?
- いかなる場合でも戦争をすることはできない?
- 交戦権はない。
私は法哲学なんて言葉の意味すら知らない。
しかし断言する。
文章をしっかりと読み、使われている個々の単語の定義、形容詞句や副詞句のかかる文言、接続詞のつながりをよく読めば法律は理解できる。
こうに違いない、こう読むはずだ、そんなことを止めましょう。
あなたの目の前にあるのは日本語という文字で書かれたものがあるだけで、それ以上でも以下でもない。
それでも憲法は理解できないこともある。・・・・それが問題だ(ハムレット談)