先日ご夫妻で公立校にお勤めの方から次のようなお便りを頂きました。
全文は
下記にあります。これにまつわる皆様からのご意見と私のコメントをここにまとめました。
新島様から頂いたお便りの要旨です。(04.05.04)
教育庁は校長に職務命令を職員に対し出させて、入学式と卒業式で、職員に日の丸に向かって起立させ君が代を歌わせています。
このときは休暇もとれず、式場から離れていることもできません。
教頭(今年から副校長)と教育庁の役人が起立の有無を確認します。私たちに休暇をとらせるか式場以外いることを許容すべきです。
|
まず、論点が二つあると思います。
ひとつは国旗国歌を卒業式に掲げるのが良いか悪いかという議論であり
ひとつは教職員が国旗掲揚国歌斉唱を拒否してよいかという議論である。
第一の論点については
国旗国歌法が成立しているのだから、下位規則で国旗・国歌を掲揚・斉唱すると決めているならばそれ実施するということについて議論の余地はない。

そういった規定は憲法の国民の権利や思想信教の自由を侵すものだとはいえないと私は考える。もちろん思想信教の自由を侵すものだ考えた方が憲法違反だとして違憲訴訟を起こすこともできるが、訴訟に訴えるよりも法改正を選ぶほうが簡単である。
首相による靖国参拝を止めるのには法律の制定・改正でできないからこそ違憲訴訟という手段を選択しているのであって、それはそれで納得できる戦術であると思う。
一方、国旗国歌法というのは法律であって、国会で国旗国歌を変更するとか廃止するということは改正をすれば事足りるのである。
日の丸君が代に反対する議員を多く国会に送り出すことによりすぐにでも法改正は可能である。
日本には1800本も法律があり、毎年200以上制改正されている実情から次回国会で改正を提案することはいと容易い(たやすい)ことなのである。もちろん反対多数で否決されたなら、それは民主主義であるからその決定を尊重しなければならないのは言うまでもない。
数年前、政府の会見で日章旗を置くことにしたときに抗議した報道機関が3社あった。
朝日新聞、北海道新聞、共同通信である。
抗議した法的根拠はなんであったのか知らないが、これら3社は外国の公館での会見でかの国の国旗を掲げると抗議しているのだろうか?

あるいは民間企業が広報するときに、社旗やロゴマークを掲げていると文句を言うのだろうか?「
Win●owsというロゴマークが気に入らんから表示するな!」とか「
S●NYという社章が目障りだ」とでも言っているのだろうか?
ありえないことですが、遠い将来「日本人よ誇りをもて」が記者会見などを行ったとしましょう、その時にこれらの報道機関から「日本人が誇りを持つのは間違っている」なんて抗議を受けましたら、私はすぐさま「日本人は誇りを持ってはいけない」と変えるつもりです。
第二の論点について考えてみる。
学校というのは教師という地方公務員にとっては職場である。
労働者は職場で何をして良いのか?何をしては悪いのか?を考えてみよう。
アッ、すみません、そんなこと考えるまでもないことでした。
雇用者
(会社あるいは学校)と被雇用者
(会社員あるいは教員)は雇用契約を結んでいます。この契約は法規制に反しない限り有効であり、双方はこれに基づいて行動します。雇用契約に関わらず契約を破ればそれなりの責めを追います。
だって、そうでなくっちゃ契約じゃあありません 
学校の先生だって、雇用契約を遵守するという基本原則は変わりません。
通常、就業規則で会社にいることができる時間は決まっています。たいていは就業前後30分から1時間の入場が許されています。それ以前、以後に職場にいることは就業規則違反です。ということはサービス残業とは命じたあるいは暗黙に認めた会社側が違法であると同時に実施した労働者も就業規則違反です。
会社の敷地内においては会社のルールに従うのは当然です。組合運動あるいは雇用者の命令以外の活動は勤務時間外に行うものであり、会社の敷地外で行うものです。組合のビラ配りなども通常は会社敷地内で行うことが黙認されていても、労働争議時は無用なトラブルを避けるために会社の門の外でビラを配るようになります。
正直私は地方公務員法を良く見ていませんが、就業時間内に敷地内において業務命令を拒否することが合法であるとは思えません。
合法でないということは非合法ということになるのでしょうか?
地方公務員法 第35条
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
最近は内部告発というのが市民権を得てきました。
これは業務命令に従わなくて良いということとはちと違います。
日本人であるかぎり、いや外国人であっても日本国内では日本の
(たとえ悪法といえど)憲法・法律を守る義務があります。万一、会社の運営において日本国の法律を破っているならば、法律と良心に従いこれを匿名であろうとなかろうと告発する権利と義務があるというものです。
もし、会社の運営が合法であり、コンフィデンシャルなものを外部に漏らしたら、そりゃ情報漏えいとかインサイダー取引となり非合法な行為であります。
まとめとしまして、第二の論点についてもまったく疑義は生じないと思うのです。