会社によってはISO対応で「○○手順書」などというものを一生懸命に作っているところがある。よく見るとその会社には以前から会社の「規則」が存在していたりする。会社の業務というのはたくさんある。定款で定める本来業務、つまり設計、製造、販売、サービスなどはもちろん、それを支える人事、総務、広報、法務、監査・・・そして我々の仕事である環境管理などきりも限りもない。
「手順書」とは固有名詞ではない。ISO規格に限らず法律でいう「手順書」とは「会社の手順を定めた文書」を意味する。どの会社にもそういう文書は存在するが、会社によってその名称は「会社規則」とか「要領書」とか「指示書」とか「規程」とか「規定」などいろいろあるだろう。
国語辞典によると「規定」は動詞なので、名詞である「規程」が正しいようだ。もっとも有名家電メーカーでは上位の会社規則を「規程(きほど)」と呼び、下位の会社規則を「規定(きさだ)」と使い分けているところもある。
世の中は広い、ISO規格に限らず、薬事法対応で「手順書」を作り、電気事業法対応で「保安規定」を作り、省エネ法対応で「エネルギー管理基準」を作るなど、その会社の本来の規則(文書体系)と別に作ったりしているところがるが・・・それはまったくお笑いである。![]()
ISO9001 | ISO14001 | ISO20000 | ・・・ | ||
総務部 |
会社の仕事の手順を定める文書体系は どうすればよいのか | 本社 | |||
人事部 | 支社 | ||||
営業部 | 研究所 | ||||
・・・ | 工場 | ||||
記録管理 | 文書管理 | 教育訓練 | ・・・ |
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環境も品質も包括的なマネジメントシステムの一部であるならば(それは9001や14001の序文で明言している)それぞれの特有なもののみを要求事項として、共通的なものは別のマネジメントシステム規格としてまとめるのが正解ではないかという気もする。
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品質保証とは品質を保証することでも、補償することでもない。この品質は大丈夫であると説明することである。そしてPDCAとかプロセスアプローチなどという屁理屈をこねたのである。屁理屈といっては不遜かもしれないが、87年版のそれなりに完成された構成に比べると、ISO9001:2000年版の構成は混乱というか未完成と言わざるを得ない。
今現在、ISO14001の審査員として飯を食っているのは2000人といわれている。この2000人が私程度に規格の趣旨、企業文化の尊重、そしてなによりも社会常識、企業人の常識を持って審査をしているかという問いには ? と応えるしかない。同時にそれは私たち自身が内部監査をするときに自省しなければならないことでもある。
アントニオ猪木ではないが、私は誰の兆戦でも受ける。
そりゃISO規格についての理解が深い人はたくさんいるだろう。しかし、私が書いた、この山ほどのISO900とISO14001に関する拙文に込めた思い以上に、ISO規格への愛を持って、その実現に努めている審査員はいかほどいるだろうか?
私がISOを一番愛している男であると考えているのだが・・・
参考までに ISO14001でもISO9001でも、文書管理や記録管理について文書化した手順を求めている。 だから、そういったインフラ的な基本要素については、会社として共通な手順・・もちろんそれは会社一律の規則ではなく、個々の部門の業務を定めた文書でもよいのだが・・を作っておくことが良い。 ISO14001の要求ではとか、顧客要求ではとか・・・個々に対応するのは効率的ではない。 統合マネジメントシステムなんてものはマニュアルや事務局をひとつにするとかではなく、二つの規格を並べてみて最小公倍数の要件(論理学で言うOR)を満たすものを設計することだと思う。 もちろんそれは管理システムをひとつとするという意味であって、文書の管理方法や記録の保管期限を一律にするという意味ではない。 ![]() |
始めまして、だと思います。もし、以前にもお便りしていましたら恥ずかしいのですが、初めてのはずです。 手順書についてを拝読しました いぜんより時よりつまみ読みさせていただいておりましたが、本日手順書についての記事を読ませていただき、安心すると同時に難しい仕事が増えそうだと心配もしてメールさせていただきました。 私は○○会社の営業所で仕事をしており、グリーン経営の担当もしています。グリーン経営とは、運輸部門は環境保全に取り組んで欲しいのに零細中小企業にはISO14001は荷が重かろうとして国土交通省が作ってくれた資格です。事前にレールを準備して下さり、取り組みを始めればすぐに審査をパスさせてくれて、2年ごとにレベルを上げた更新審査を経て8年後のレベル4でISO14001に実質的に近い物にしようというものです。 最初に取り組みを開始したときに、開示されているマニュアルを見て、ほとんどが当社の就業規則や整備手順書やらに記載されている内容なので安心し、一部足りないところを改定したところ、「マニュアルに合わせて新しい規則を作る事業車が多い中で、既存の規則の修正で取り組んだのは良いことです」とのコメントをいただいて審査をとおりました。 ところが、更新時の審査官は、中身はこれでよいのですが、文章の名前がマニュアルと違いますねと散々文句を言いながら審査をし、それでも結果的に紙の上には指摘事項無しとして帰られました。 今日読ませていただいた手順書についての記事に安心したのはそういう経緯を踏まえてです。 ところで、会社としては全ての審査の結果がでていませんので、まだうわさを耳にしている段階ですが、本社では今年の審査の経緯からグリーン経営用の新しい規則を作ろうと準備をしているようです。他社から雛形を取り寄せて集成する大部なものらしく、難しい仕事が増えそうだと苦慮しているところです。 トトカルチョについて、要領を上手くつかんでおりませんが、表の期間中に11月1日が自分にとって記念日ですから、ここに投票させていただきます。 これからも勉強させていただきたいと思いますので、ご活躍を祈念いたします。 |
VEM様 お便りありがとうございます。
私の記憶にもメールボックスにもVEM様の記録がありませんのではじめてだと思います。
グリーン経営についてはパンフレットを見た程度で詳しくは知りません。
なにしろISO14001なら任せろと大口を叩いてはおりますが、利権でもあるのでしょうか環境認証制度は、自治体ごと、省ごとにあるのですから迷路のようです。
私はVEM様のお考えでまったく問題ないと考えます。しかし上司の方としては会社に役に立つということより、ゴタゴタなく審査が進めばハッピーというところがあるのでしょう。それもまたやむを得ません。
わたしも10年前は田舎の工場のISO事務局でした。上司は不適合の件数で査定をするのですからISOの精神も会社のためもありません。月給を下げないためには、なるだけ不適合を出さないようにするしかありません。
やがてそれが私の特技となり、J●Aならこうする、J▲C●ならこうする、B▼Q*ならこうすると審査機関対応の能力を身につけました。すばらしい! かどうか?
ま、なんにせよ芸は身を助けるといいまして、今の仕事にありつきました。
VEM様もサラリーマンですから、すまじきものは宮仕えともいいますので、あまり深刻にならず、状況に合わせて対応するのも処世訓かと思います。
グリーン経営にも、ISO14001でもしかもさまざまな審査機関に対する方法も、エコアクションでも、エコステージでも対応できますというのもすぐれた能力ですから。
ホームページ拝見しました。花と山がお好きな方なのですね。私は田舎育ちですが花も山もあまり詳しくありません。
またよろしくお願いします。