ISO9001:1994ではデータとは様式を意味した。今はどうなったのでしょう。狭義の文書といっても、その形態は紙ばかりでなく、ウェブへの掲載、見本、ビデオテープなど多種ある。現在は紙ベースで作成・決裁されたものでも運用時はpdfにしたものが正となることが多い。
『正』とは「せい」と読み、正規なもの基本として使われるものをいう。 「当社の規則はウェブにアップしてあるものを正とする」などという風に使う。 |
定めていないですって? おかしいなあ? どの会社にだって就業規則ってのはあります。(労働基準法で就業規則を定めなければならない) しかし、就業規則だけでなく、職制やその職掌、契約や出張旅費の決裁者、仕事の手順・会社の会議などを決めた文書があるはずです。そしてそういったルールがあれば、当然そのルールの管理を定めたルール(文書管理規則)があるはずです。 ないはずはありません!
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ふつうの会社の文書管理規則で決めていること | ISO14001 4.5.5項 |
文書の制定方法 作成者、チェック者、承認者 | a) 発行前に、適切かどうかの観点から文書を承認する。 |
文書の定期または随時見直し | b) 文書をレビューする。また、必要に応じて更新し、再承認する。 |
文書番号と改定記号 改定欄があればいいですがなくても不適合ではない。 | c) 文書の変更の識別及び現在の改訂版の識別を確実にする。 |
文書の配布先 配布方法 | d) 該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする。 |
文書のコピーの方法 ファイルの方法 | e) 文書が読みやすく、容易に識別可能な状態であることを確実にする。 |
これについては定めていないかもしれない | f) 環境マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書が識別され、その配布が管理されていることを確実にする。 |
旧文書の取り扱い方法 | g) 廃止文書が誤って使用されないようにする、また、これらを何らかの目的で保持する場合には、適切な識別をする。 |
たとえば最近のRoHS規制あるいは中国版RoHS規制などへの対応は、当事国でさえ煮詰まっていないときに輸出企業は準備し対応しなければなりません。そういったものはどの会社でも正式な文書にする前に、種々の会議結果の議事録あるいは業界団体からの通知(外部文書)などで動いているはずです。
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「議事録は記録だ!(狭義の)文書であるはずがない」なんておっしゃる方がいるかもしれません。 そんなことはありません。会議の打ち合わせ結果の議事録が生産指示書であったり、仕様書であったり、製作図であったり、検査規格であったり、手順書であったり、命令書であるなんてことはザラにあることです。 現実の会社が教科書通りに例外なく動いているなんてことはありません。 現実の会社の動きをそのまま記述したものでなくて、なんの意義がありましょうか? 異議ありません
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しかし官公庁の通知で問題なのが、一過性なのか恒久的なのか、今現在その通知が有効なのかが判然としないことです。 なにしろ環境省だけで生きている通知が千くらいあるのですから、その中の昭和○年○月発信の通知が廃止されたのか?変更されたのか?などを知ることは至難の技、たとえば廃棄物処理法の解釈などは環境省の課長の通知として都道府県に発信されます。その内容が変更された場合、改定履歴もなく発信年月はそのままで環境省のホームページにあったりするのです。これじゃあISOの文書管理に不適合ですよね しかし我々は現実にそのような条件で仕事をしているのです。 だから○年の通知でこうですよと監査とか指導をしていて、ある日突然環境省の通知が変わっていることに気づき愕然とすることもあります。(驚) 審査機関が行政の文書管理に文句を付けず、弱いものいじめをするのはいかがなものか?(怒) と言いましても、私は自分が弱いものとは思ってませんけど(笑) |
そのような事例があるのか?というご質問があるかもしれません。そういう事例はたくさんあるのです。知らない人は会社勤めをしたことのない人です。 ![]() |
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アドレス http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/ → | |
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私がこういったことに詳しいのか? と疑問を持たれた方 私は紙ベースの文書管理の時代から何十年もしてきたのです。そして今も自分の会社だけでなく、知り合いとかに頼まれるといろいろと指導支援しております。 ブラウザでの表示の問題、バージョンの問題、キャッシュの問題・その他もろもろ、すべて私の実体験です。 こまかいことは機密で言えませんけどね・・ ![]() |
現実に会社が動いているなら
現行の文書管理は規格適合のはずだ
何度もお訊ねしますが。 どうしてISOが必要なのでせうか? 以前の方法が駄目なのですか? |
Yosh様 毎度ありがとうございます。
ええとですね、ISOが必要というのもおかしなことなのです。
そもそも、ISO特にISO9001は貴国のMIL規格(軍事規格)が源流なのです。詳細はこちらを読んでいただくとして、簡単に言えば・・・
軍隊がいろいろなもの、武器弾薬ばかりでなく、軍服、毛布、靴いろいろなものを大量に購入します。そのときいちいち受け入れ検査をするのが大変だから、生産者が製造工程をキチットしてほしいと要求しました。材料の管理方法、作業者の訓練方法、図面の管理方法、などです。そういった規格(要求事項)を守れば一定品質のものが生産できると考えたのです。これを品質保証要求といいます。そしてこの品質保証要求を満たすところから購入することにしたのです。
その考えは間違いないと思います。
民間でも大量に購入するところはいちいち検査するのは大変だからと買い手が売り手に品質保証を要求しました。まあ、なりゆきでしょう。そして売り手は買い手の求める管理をするようになりました。
ところが、買い手がたくさんいて、それぞれが異なったことを要求すると売り手が困ってしまいます。そこで要求事項を統一しようとしたのです。まあ、これも妥当なところでしょう。そういういきさつから国際標準化機構(ISO)で品質保証の国際規格を作ったのです。どの買い手もこの規格で売り手に要求すればみんながハッピーになるだろうと思ったのです。1987年のことです。
ところがそこで頭のいい人が、買い手から要求されていなくても、ISO規格に製造工程が合っているか見てあげてお金をもらうという商売(ビジネスモデル)を考えたのです。これが今のISO第三者認証システムです。
お断りしておきますが、ISO規格には罪も責任もありません。人のふんどしで相撲をとる人がいて、規格はふんどしになったというだけのこと
だから、自分の品質に自信があれば「うちはISO規格なんて軽く越えているのでわざわざ観ていただくことはありません」といってもいいのです。実際にそういう会社もあります。
だからYosh様のおっしゃるような「以前の方法が駄目なのですか?」というより、以前の方法で良いのですよ。
拙文でも申し上げておりますが、どの会社でも昔から仕組みがあります。なかったら会社が動きません。Yosh様の会社にももちろんルールがあります。ところが、ISO認証を受けると品質が良いと思われるという風潮ができたもので、お客様から要求されなくてもISO認証しようというところが増えてきました。
どのくらいの損益だったら受注する、受注しない。あるいは受注するかしないかは誰が決裁するのか。相手から頂いた図面はどのように保管するのか。作業者を雇うとき仕事につける前に腕前を見てどのような仕事をさせるかさせないか。
そういう仕組みは大企業であっても個人企業であってもあります。もちろん場合によっては親方の頭の中にあるということもあります。
そして会社の仕組みをよく調べて、調査に来た審査員(auditorといいます)説明しなくても、簡単にOKをもらうことが良いと考えられるようになったのです。だから貸衣装をもってきてかっこいいところを見せる会社が増えているのです。というよりそういうところばかりなのかもしれません。
・・嘆かわしいことではありませんか?
これだけ満たせば品質が良くなるだろうと考えられた要求事項なのですが、今現在は品質と関係なく手っ取り早く要求事項を満たすことがかっこいいことと思われるようになったのです。
だから会社の昔からのやり方を隠して、審査員が来たときウソをついてOKをもらう方法が広まったのです。
それが『ISOをする』ということなのです。
本来なら、『ISOに合っているのを確認してもらう』ことだったのですが・・
そして今現在うそ800のISOが世の中に広まっているのが事実なのです。私のこのホームページのうそ800はそこから名乗っています。
しかし、人は馬鹿ばかりではありません。役に立たないISOならやめてもいいじゃないかと考える経営者や管理者が増えています。だって審査してもらうのに毎年何百万円も払わなくてはなりません。さらにうそをつくための要員を雇っておかなくてはならないのです。この審査費用と人件費に見合った効果があればよいのですが。ところが最近製品不具合とか環境事故などが起きるのはISO認証していてもしていなくても違いがないということもばれてきました。
「王様は裸だ!」という会社が増えているのです。
ISO関係者にとっては困ったことになりました。
そんなことで、日本では「ISO認証をやめます」という会社がどんどんとでてきています。私が何年も前からいずれこうなるだろうと思っていました。常識のある人間なら見通しはできたことです。
それはISO審査機関、審査員にとって死活問題です。20年前、濡れ手に粟というビジネスモデルを作ったのですが、なんかビジネスがなり行かなくなりそうな雰囲気です。
さあ、どうなるのでしょうか?
だからYosh様の「以前の方法が駄目なのですか?」に真正面から答えるならば、「以前の方法を示していない会社が駄目になるでしょう」ということになるでしょう。
「以前からの方法をISO審査で示していた会社は駄目になることは決してないでしょう」
私はISO規格はすばらしいものだと信じています。会社の仕組みがISO規格を「本当に」満たせば会社は良くなると信じています。第三者認証というのはあだ花であると考えています。
だからYosh様の「以前の方法が駄目なのですか?」に真正面から答えるならば、「以前の方法を示していない会社が駄目になるでしょう」ということになるでしょう。 「以前からの方法をISO審査で示していた会社は駄目になることは決してないでしょう」 新しく事業を起こして、会社の組織運営、物の規格等をISOに依存するには問題は無いのではと思ひます。 私が言ひたかつたのは、既に在る会社がその会社の方法で自社開発の製品を製造して販売し利益を上げていると言ふことはその会社のSystemが既に機能している、と言ふことでせう。それでは駄目なのか、なのでした。 ただ製品に使用されている汎用の部品、他の機材との連結(例えばコンピューターとプリンターの接続などの多機種との標準化)は規格に合わせるのは至極受け入れられますが。 事業はどの職種でも同じでせうが、特異性で成り立つています。例え連鎖店の如く統一された製品の供給にもその会社にそれ相応の規格をを持たなければならないでせう。 それらを一元化をすると言ふことなのでせうか。 多分、私は全然分かつて無いやうです。 |
Yosh様
あのですね、ISO規格は標準化を求めていません。企業はすべてユニークでありそれが当然です。
そして、会社が機能していれば(機能していない会社はつぶれます)ISO規格適合なのです。だからISO規格に会社を合わせるのではなく、会社がISO規格を満たしていることを説明するのが本来のといいますか正しいありかたなのです。
現実はどうかといいますと、会社の仕組みを正しく説明することより、規格に合っているとウソといいますか仮の姿を説明する方が簡単なのでそういうことをする会社があるというより・・・大多数なのです。
それがおかしい!とおっしゃるでしょうが、それが現実なのです。
不思議なこともあるものです。
現実はどうかといいますと、会社の仕組みを正しく説明することより、規格に合っているとウソといいますか仮の姿を説明する方が簡単なのでそういうことをする会社があるというより・・・大多数なのです。 そうだつたのですか。 だから分らんかつた。 自分の事業が機能してるのを判らんで居るのでせう、そんな会社傾き始めてません? |
傾くかどうかは会社の規模と利益次第でしょうね。
ただ無駄な費用であることは間違いありません。
そして今現在、無駄だと気付き始めている人が増えていると言うのが事実です。
ただ、みながISO認証をやめるとまでは言い出していないのも事実です。
もちろん、ISO認証をやめるのはかまいませんが、ISOにあった会社の仕組みをやめては困りますよ。