ハイビジョン放送について

LAST UPDATED 4/23 2008

ハイビジョン(Hi-Vision)とは、日本における高精細度テレビジョン放送(HDTV)の通称で、NHKが商標権を有する。略称はHV。
海外ではHDTV(略称はHD)と呼び、ハイビジョンやHVでは通じない。


アナログハイビジョン

アナログハイビジョン放送は、MUSE(ミューズ)方式により1989年より実験放送、1991年より衛星放送BS9チャンネルで試験放送を行なっていた。
1994年からはNHKと地上民放5社、WOWOWが実用化試験放送として様々な番組が放送していた。
デジタル放送が開始された2000年以降はNHKのBS-hiと同じ放送を行なうようになり、2007年9月に放送を終了した。

MUSE方式はデジタル技術と比べて効率も悪く、画質もさほど良くないことから、普及する事なく役目を終える事となった。
LDにハイビジョンを記録するMUSE-LDという規格も作られたが、数タイトルしか発売されなかった。
録画にはW-VHSを使用する。W-VHSは専用テープにベースバンドでアナログ記録する規格。安価なS-VHSにもハイビジョン記録ができた。
通常のテレビではMNコンバータを利用することで標準画質にはなるが番組を見ることができた。


デジタルハイビジョン

日本のデジタル放送はISDB方式が基本になっている。この方式は日本独自規格で、世界においては他にブラジルがISDB-Tをベースとした方式を採用しているだけ。(ブラジルは映像圧縮にMEPG4-AVC/H.264に対応する等、改良された方式)
アメリカではATSC方式、ヨーロッパではDVB方式で放送が行なわれている。地上デジタルはあまり綺麗ではないと思われているが、世界的には最高レベルの画質のようだ。

BSデジタル
衛星放送のBSデジタルハイビジョン放送はISDB-Sとよばれる方式で行なわれている。
映 像はインターレースの1920×1080か1440×1080(プログレッシブの1280×720もあるが使用され てない)のMPEG2-TS。画面アスペクトは16:9のみ。4:3のソースは左右に黒帯がつく(WOWOWやBS朝日では識別信号が付く事もある)。
SD(標準画質)解像度はインターレースの720×480。画面アスペクトは4:3と16:9に対応。
音声はMPEG2-AACで、5.1chサラウンドにも対応している。ビットレートは局によって約15Mbps〜24Mbpsと幅がある。ニュースや天気予報、番組と連動した情報等のデータ放送も行なわれている。
WOWOWではSD解像度の番組を3チャンネル同時に放送したり、ハイビジョン番組を1チャンネル放送する「まだら編成」が行なわれている。
ビットレートが高いため、BS-hiやWOWOWの画質はかなり良いが、それでも激しく動く画面では破綻する事がある。

最初のデジタルハイビジョンは2000年12月1日にBSデジタル放送として開始された。
当初はテレビがBS-1(BS1)、BS-2(BS2)、BS-hi(BS3)、BS日テレ(BS4)、BS朝日(BS5)、BS-i(BS6)、BSジャパン(BS7)、BSフジ(BS8)、 WOWOW(BS9)、スターチャンネル(BS10)の10局と、デジタルラジオやデータ放送で開始された。
ただし、BS-1、BS-2はBSアナログと同じ放送内容かつSDで、ハイビジョンではない。ただし、ハイビジョン収録の番組はBSアナログが画面の上下に黒帯が付くのに対し、BSデジタルはスクイーズ方式で放送されるため、画質が良い。
スターチャンネルもSD(標準画質)だったがプログレッシブ放送が行なわれていた。
その後、デジタルラジオやデータ放送の撤退が相次ぎ、それによりテレビのビットレートが増やされてきた。
2007 年12月には2007年9月に停波したBS9の跡地利用としてBS11(BS11)、TwellV(BS12)が新たに開局した他、スターチャンネルがハ イビジョン化され、他の放送局もビットレートが増加した。特にBS-2はSDには勿体無いほどのビットレートで放送されている。

BSデジタルは当初WOWOWを除きコピーフリーで放送されていた。その後、全ての放送がコピーワンスにされ、不満があがった。 また、コピーワンス導入当初はiLink経由でハイビジョン録画した番組をiLink経由で再生すると標準画質にダウンコンバートされて再生されるという現象があり、多少混乱した。(その後解決したようだが)
2008年より導入されたダビング10(コピー9回+ムーブ1回)は無料放送についてのみ適用。
双方向通信は当初電話回線のみサポートされていたが、現在はNHKのみインターネット回線でも双方向通信が行なえるようになっている。

2011年7月24日までにアナログBS放送は停波の予定。

地上デジタル
地上デジタルハイビジョン放送は、ISDB-Tとよばれる方式で行なわれている。
地 上アナログ放送で使用しているUHF帯(13〜62ch)をそのまま利用し、1チャンネルの帯域幅約6MHzを13個のセグメントに分割し、12セグメン トを利用してハイビジョン放送を行なっている。(残り1セグメントは移動体向けの「ワンセグ」放送。ISDB-T SB方式)
伝送路符号化方式は、マルチキャリア、直交周波数分割多重(OFDM)方式で、電波の入り組む日本に向いた方式だといわれている。中継局が近接していても他の中継局と同一のチャンネルが使用できる。

仕様はBSデジタルとほぼ同じだが、ビットレートが15Mbps程度しかなく、解像度はインターレースの1440×1080のみで放送されている。解像度はそれなりにあるが、動画ではすぐに画面が破綻してしまい、ブロックノイズ等のノイズも多い。
地上デジタルでもSD解像度で複数の番組を同時に行なうマルチ編成が行なわれているが、ビットレートが低いからか通常2チャンネルで行なわれている。

双方向通信はインターネット回線を使って可能。その他大容量データを扱うコンテンツでもインターネット回線を使ったデータ放送も行なわれている。

2003年12月1日に主要都市を中心に放送が開始された。順次全国展開し、2011年7月24日までに地上アナログ放送は停波の予定。
当初からコピーワンスで放送されていたが、非常に不便であることから話し合いにより妥協案であるダビング10(コピー9回+ムーブ1回)の採用が決定した。
ダビング10は2008年6月2日より開始される予定だったが、補償金問題で揉めて延期となり、結局補償金問題は棚上げのまま2008年7月4日に開始された。

ダ ビング10を実現するにあたり、放送波に従来のコピーワンスフラグ(CCI信号)+コンテント利用記述子でダビング10と判断させようとしていたが変更に費用が かかりすぎるため、逆転の発想で、ダビング10対応機種は従来のコピーワンスフラグを受信するとダビング10と判断し、コピーワンスフラグ+コンテント利 用記述子を受信するとコピーワンスと判断するようにした。こうする事で変更が必要なのはコピーワンスを継続するWOWOWやスターチャンネル等の有料放送 のみ変更すれば良い事になる。

もともとコピーワンスは日本でしか行なわれていないが、コピーワンスのCCI信号自体は国際規格であった。しかしダビング10は日本だけの超ローカルルールである。

110度CSデジタル
衛 星放送(BS)と同じ東経110度にある通信衛星(CS)を使ったデジタル放送。BSデジタルと同じ向きにアンテナを向ける事で視聴が可能(対応アンテナ が必要)で、BSと同じくISDB-S方式で行なわれている。そのため、BSデジタル対応テレビのほとんどで視聴が可能になっている。
現 在は「e2 by スカパー」のみ放送しているが、2002年7月に放送を開始した時点では「プラットワン」「スカイパーフェクTV!2」「ep」が放送を行なっていた。 「ep」が蓄積型双方向サービスという新しい試みを行なったがうまくいかなかった。また、PPV(ペイ・パー・ビュー)も行なわれていたが、今後行なわれ ることはないという。
これらの放送は主にSD解像度で行なわれていたが、スカパー!がハイビジョン放送に力を入れ始め、ハイビジョンチャンネルが増えつつある。

124/128度CSデジタル
現 在「スカイパーフェクTV!」がサービスを行なっている衛星だが、2008年秋よりハイビジョン放送を順次開始する予定。他のデジタル放送とは異なり現在 「スカパー!」で採用しているDVB-S方式を採用する。圧縮形式も他のデジタル放送がMPEG2なのに対し、MPEG4 AVC/H.264を採用して、低いビットレートでも破綻しないように配慮している。

録画方法
デ ジタル放送の録画はこれまでの放送とは異なり、放送波をそのまま記録するストリーム記録が主流。そのため、画質の劣化がない。D-VHSを始めとして、 ハードディスクレコーダやブルーレイディスク、HD DVDに記録が可能。機種によってデータ放送を記録するものとしないものがある。また、最近では MPEG4-AVC/H.264でストリーム記録より少ない容量で録画できるようになり、一部機種ではAVCRECやHDRecといった規格でDVDメディアにも書き込むことができるようになっ た。(従来のDVD機器では再生不可)

コピーワンスの放送を録画した場合は、1度のみディスク等に移動が可能。ディスクに移動した番組はどこにも移動することができなくなる。
ダビング10の放送と対応機種であれば、9回のコピーと1度の移動が可能となるが、やはりディスクに移動した番組はどこにも移動することができない。せめて書き戻しができるようになった欲しかった。
なお、ダビング10対応機器でないとダビング10の運用が行なわれずコピーワンス扱いとなる他、iLinkを使ったコピーやディスクに直接した場合も適用外となる。


アップコンバート
アップコンバートとは元々ハイビジョンではない従来の標準画質の映像等をハイビジョン解像度に拡大する事である。
アップコンバートする事によって標準画質の映像はボケた感じになってしまう。また、放送局側のマスターもコンポーネントだったりコンポジットだったりするが、コンポジットのマスターの場合アップコンバートする事でますます画質が悪くなってしまう。
元々4:3の番組については映像の左右に黒帯等を付けて16:9にする。4:3識別信号も付加できるが、実際に識別信号付きで放送している例はほとんどない。

アップコンバートも方法によっては綺麗に見せる事が可能である。
PLAYSTATION3に搭載されたDVDのアップコンバート機能は優れものである。
また、NECや日立が開発している超解像技術もアップコンバートの一種である。



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