ワイドクリアビジョン放送について

LAST UPDATED 4/23 2008

かつて、ワイドクリアビジョンの放送が日本テレビ(NTV)を中心として行なわれていた。 ワイドクリアビジョンは現行のテレビ放送の高画質化およびワイド放送が目的で、日本テレビが開発した。 当初は第二クリアビジョンまたはEDTVIIと呼ばれていた。

クリアビジョンとはプログレッシブ処理やゴースト除去等を施し、画質を向上させる技術の事。 だが、このプログレッシブ処理は静止画では良い効果を発揮するが、動画ボケが発生していた。 また、専用のテレビが必要な事から、あまり普及には至らなかった。

ワイドクリアビジョンでは、この欠点を解消し、ワイド画面化も行うものである。


ワイドクリアビジョンの機能は次の通り

1.ワイドクリアビジョン認識信号
ワイドテレビのズームモードに自動で切り替える機能。
この機能は最近のワイドテレビにはすべてついている。記録された認識信号を判別する S2端子(S端子)が付いているビデオやワイドテレビも増えている。 ちなみにS1信号はスクイーズ信号を判別するものである。

2.HH(輝度信号の水平解像度成分(ホリゾンタル・ハイ))
水平解像度を480本程度まで引き上げる機能。
これは今のところパナソニックとビクターのワイドテレビの一部に搭載されている。この回路は比較的簡単に積める。 だが、各メーカーともワイドクリアビジョンの普及がどれだけになるか分からないので搭載に慎重になっている。 この回路の搭載でどの程度画質向上につながるのか実証されていないが、あまり効果がないという話もある。 この信号は吹抜ホール(吹抜博士が発見したNTSCで空いている空間)に入れられる。

3.VT(垂直時間解像度補強(ヴァーチカル・テンポラル))
 VH(輝度信号の垂直高域成分(ヴァーチカル・ハイ))

この2つがワイドクリアビジョンの目玉とされるものだ。 1.から3.まで全て対応したものがフルスペックと呼ばれる。 現在では、パナソニックのハイビジョンテレビの一部に搭載されている。

この信号は4:3のディスプレイで見たときの上下の黒帯の中に挿入される。 この信号をフルデコードするとプログレッシヴ(ノンインターレース又は順次走査)の1フィールド走査線525本(有効482本)の画像が得られる。


ワイドクリアビジョン放送の正式な第1作は、1995年7月13日(木)放送のワイドクリアビジョンの紹介番組であった。 この番組ではワイド画面の魅力を紹介。高画質化機能については何一つ触れられなかった。 第2作は1995年7月14日(金)放送の金曜特別ロードショー「魔女の宅急便」であった。 色も素直で鮮明だし、解像度も以前のものより高くなっているように感じた。これはハイビジョンテレシネされたものだった。

その後、舞台中継や、スポーツ中継があったようだが、金曜ロードショーのジブリアニメ以外ほとんど放送されていなかった。 これは、スポンサーの意見や、地上波でのワイド放送が定着していないこと、対応テレビが現在発売されていない事が 原因にあるのだろうと思う。現在は地上デジタルに移行したため、全く行なわれていない。

ちなみに日本より早く、ヨーロッパではワイド画面の高画質放送PAL Plusが既に始まっていた。


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