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Hydro Pneumatic LHM External Leak
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LHM漏れの理解

ハイドロニューマチック・シトロエン伝家の宝刀LHM漏れはPSA傘下となったBXでも健在です。
メータークラスター内にはLHM量の不足ないし圧力低下を示すウオーニングランプがあります。量の不足はリザーバータンクのレベルゲージ、圧力低下はフロントサブフレーム後端に配置されているプライオリティバルブ部に各々のセンサーが装着されています。

量が不足してきた場合、右コーナーでランプがちらちら点きはじめたら1.5-2L位は足りなくなっているサインです。


LHM漏れは高圧系・低圧系それぞれが原因になります。
BXで比較的頻度が高く、漏れが多くなりがちな部分を図に示します。

地面にLHMの染みが出来る場所
(図は重要な漏れの部分に限定しました。)

A: ラジエーター後ろ、中央よりやや左寄り
B: Aの後方
C: サブフレーム後ろ、右寄り
D: 中間サイレンサ−の後ろ

高圧系

高圧系の漏れはパイプシール部からの漏れか、油圧ブロックのオイルシ−ル劣化が原因です。

原因漏れの部位・特徴対策
A フローディストリビュータ 1: パイプシールの劣化・緩み
2: 本体グロメットシール劣化
フロントバンパー後ろ、
やや左寄り
1: シール増し締・交換
2: OH、交換
Bパワーステアリング・
コントロールバルブ
オイルシール劣化 1: 上部分シールではバルブ直下
2: 下部シールではラック内から
ラックブーツへ
OH、交換
C
D
ハイトコレクター 内部ダイヤフラム劣化 前:サブフレーム後端右寄り
後:リヤサイレンサー前
持続的な漏れ
OH、交換
もちろんハイプレッシャーポンプ、プレッシャレギュレータ、プライオリティバルブ、パワーステアリング・ラム、ブレーキバルブ本体らの漏れも生じる事がありますが頻度は少なく、また機序としてはパイプシール系やリターン系に分類される漏れがほとんどです。
これらは、漏れの観点から部品交換などを緊急に必要とする場合は少ないと思います。



低圧系

低圧系の漏れは「リターンホース」系トラブルです。
複雑にからまりながらエンジンの脇へ消えてゆくホースの束を見ると頭が真っ白になりますが、系統立って理解すると対策がやや容易(でもないですが...)になります。
リターンホースの修理は新品への交換か中継ぎ補修以外にありません。
中継ぎ補修とは、切れたホースに金属パイプや各種耐油ホースなどを流用する方法です。
リターンホースをアッセンブリから大別すれば、オクトパス系とハイプレッシャーリターン系、ブレーキバルブ・リターン系の3つに分けられます。

オクトパス(集合リターンホース)系

  1. ハイトコレクター/プレッシャーレギュレーター/
    プライオリティバルブ・リークバック系


    フロント・ハイトコレクタ部(Cからのリークバックホース・トラブルは、オクトパス系の中ではリーク量が最も多いです。リヤからの系はホースの取り回しが緩いためか頻度は少ないと思います。
    エンジンをかけている限り持続的に漏れ、走行不能は時間の問題です。
    ハイトコレクタ自体からの漏れも同じ場所からLHMが持続的に垂れてくる為、場所だけでは原因の同定が難しいと思います。


    プレッシャーレギュレーター(A)/プライオリティバルブ・リターン(B)は、いずれもゴムキャップからプラスチック配管を通じてオクトパスに繋がります
    配管自体よりもブロックのニップルに刺さるキャップ部分や、プラ配管の継ぎ手(三叉)からの漏れが多いようです。


  2. サスペンションシリンダー・リークバック系
    最も多いのはサスシリンダー部のリークバックホースが切れる事です。
    フロントタイヤの内側に「猫が小便をかけたような」リーク痕が認められます。
    緊急性はありません


  3. エアベント系
    漏れません


ハイプレシャーリターン系

  1. フロント・ハイトコレクタ・オペレーショナルリターン
    あまりトラブルは聞きません(漏れる場合はC

  2. リヤ・ハイトコレクタ・オペレーショナルリターン
    C車高を下げると、リザーバーに戻ろうとするLHMが激烈な勢いで大量に噴出します。油煙りが立つほどです。リヤ・ハイトコレクタからフロントサブフレームまでは金属パイプで配管されていますが、この先でゴムホースとなり、曲がりながら走行するのが原因と思われます。

  3. パワーステアリング・コントロールバルブからのリターン
    Bエンジン/トランスミッションの間を前後に走るゴム配管です。
    ここも亀裂の好発部で、持続的かつ多量な漏れの原因となります。


  4. フローディストリビューターからのリターン
    B:太いゴム配管が金属パイプへ繋がる部分です。大量の漏れは聞いた事がありませんが、つねに滲んでいる車両が多いようです。

  5. 稀に、リザ−バ−付近で3本のホースが合流する部分が切れる事があります(蛇腹部分)


ブレーキバルブ・リターン系
知る限り、断裂した車はありません。
ブロックに刺さる部分での漏れはあるようです。
16VではABSも関連するようですが、詳しいトラブル事例がありません。


私見ですが、特にB、Cでの漏れは量が多く、早い対処が必要な事が多い印象です。


(C) Y. Narabayashi

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