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エアコンのコンプレッサー修理の試み(構造編)

夏になると悩みの種なのがエアコンのトラブルですね。
その中でもコンプレッサーのガス、オイル漏れは深刻です。
BXの場合、最悪コンプレッサーがロックしてベルトが煙を上げる事もあります。



(01. コンプレッサー本体)
車両より取り外したコンプレッサー本体です。
サンデン製で「SD-709」という型番です。
クラッチ、プーリー、マグネットは先に外しておきます。


(02. ステー取り付け)
縦に作業した方がはるかに作業性が良いため、120mm程のボルトとナットで本体のブラケットに足を取り付けます。

(03. キーの取り外し)
シャフトにクラッチプレートに噛みこむキーがあります。
これは分解の際に邪魔になりますのでニッパーで引いて取り外します。

(04. フロントカバーの取り外し)
本体とフロントカバーを留めている10mmのボルト8本を緩めて 抜き去ります。

(05. フロントカバーの取り外し2)
ネジを取り去ると内部のスプリングの力でカバーが浮きます。
しかし1本パイプがあり、すんなりとは外れませんので軽くコジリます。

(06. シャフトの抜き取り)
この状態になれば指でグッと押すだけでシャフトと、それと一体になっているワップルが裏側へ抜けます。

(07. クラッチシムとフェルトリングの取り外し)
シャフトを外すと中にクラッチのクリアランス調整用のシム数枚と、その外側にフェルトのリングがあります。

こちらはシム

こちらはフエルトリング

これらを取り出します。

(08. スナップリングの取り外し)
内部にスナップリングがありますので、スナップリング・プライヤーで取り外します。

(09. スリップリングの取り外し)
すると、中にOリングの付いた金属のリングがあります。
これをマイナスドライバー等で取り出します。

(10. シールの取り外し)
シール本体は小指を差込んで引くだけで簡単に抜けてきます。

(11. バラしたシールとスリップリング)
取り出して分解したシール本体です。これがシャフトからのオイル漏れの元凶です。

下段左端の部品が樹脂製のシールです。

(12. シール構造)
内部ではこのように組み合わさり、上部のリングは固定され、シールはシャフトに固定されておりコンプレッサーの作動中は常に回っています。

(13. 内部構造)
  1. シャフト
  2. フロントカバー
  3. フェルトリテーナー
  4. フェルト
  5. スナップリング
  6. スリップリング
  7. Oリング
  8. シール
  9. スプリング
  10. スプリングリテーナー
  11. ニードルローラーベアリング
  12. オイル通路
  13. ガス、オイルの流れ
これが大体の構造です。Hのシール自体はスプリングとガス圧により、スリップリングに押し付けられガスの漏れを防いでいます。
シールは動作中は常に回っており、オイル通路より高圧側ガスといっしょに来たオイルはシールを潤滑し、ニードルローラーベアリングを潤滑して戻ります。

(14. シールが磨り減ると)
シールが磨り減ってしまうとスプリングでもガス圧でもシールをリングに押し付けられなくなります。
するとガスはオイルを伴い、外に出て行ってしまいます。

シールとリングを新品に取り替えれば良いのですが、国内では部品供給がないとの事でした。代替部品も他にこのような構造のコンプレッサーが少なく、現時点で部品交換はできていません。

残念ながら新品を購入するか、リンク品を入手するしか方法がないようです。

(15. ニードルローラーベアリング)
シャフトとワップルを支えているニードルローラーベアリングです。
ガスと共にオイルが外に噴出し、潤滑不良がおきると

(15. 焼きついたシャフト)
このようにシャフトが焼き付いてしまいます。
こうなるとコンプレッサーがロックするのも時間の問題です。
このように、経年変化でシールが磨り減り、ガス漏れがおきるのは仕方がないようです。

一旦もれ始めると途中オイルを追加してもどんどん漏れは激しくなり、ついにはガスがすっからかんになり終わってしまいます。

今後、海外より部品調達が可能かどうか、また、HFC134aガスへの移行を含めたコンプレッサーの置き換えを模索していきます。


(C) y.furukawa
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