エッセイと批評と語りのリトルマガジン『attention』(アテンション)創刊 
定価:1000円(税込)
発行日:2007.1.25
編 集:attention 編集室
発 行・発売:real arena(竹中龍太)
イラストレーション(表紙、目次):早川純子
アートディレクション:木下弥

お求めは
東京堂書店神田本店、紀伊國屋新宿本店、オリオン書房ノルテ店(立川)書肆アクセス(神保町)、ジュンク堂書店池袋本店、ブックファースト渋谷店(3/1より)
もしくは、real arena(editions_realarena@yahoo.co.jp)まで

創刊号のもくじ
巻頭エッセイ]
 ・非在と不在のあいだで 熊野純彦
 ・地中 小林エリカ
 ・私の息子はアジア人 戸田郁子
対談] あいまいな幅のある時間のなかで 市村弘正×福山知佐子
あたたかな食卓 ベオグラード料理手帖(1) 魚とローズマリー 山崎佳代子
野球帽歩哨隊の予言 藤本和子
大陸的日常(1) 一年の稼ぎを祭りにつぎ込む人々 柳銀珪
帰る家もなく(1) スリーイー 与那原恵
おかえりのすけです エノコウジ(画)×四釜裕子(作)
もうひとつの物語へ(1) それ以外ではありえないもの 矢野久美子
写真の虫(1) アルバムのなかの時間 吉川直哉 
トランジット・モスクワ(1) ラーベンスブリュックで夢見られた本 米田綱路
トウキョウ、エンジェル。(1) 24歳の青い鳥 矢幡英文
中国玉手箱(1) ふるまいよしこ
雑誌にかけた夢 久野量一
フレームの原点 早川純子
創刊のことば 竹中龍太
近ごろ、買って読んでみたいと思う雑誌が見あたらない。小さな雑誌の発行に至った発端は、そんな個人的な思いにありました。こうした思いの背景には、〈ことばへの不信〉も存在しているのではないでしょうか。〈ことばへの不信〉とはなにか。それはなによりリアリティと歴史意識の欠如、そして深い理解への熱意と努力を通じた認識の欠如ではないかと思います。私たちをとりまくことば、すなわち新聞、雑誌、テレビ、インターネット等の既存のメディアに溢れることばは、私たちが実際に考え、感じ、表現することばとはどうもちがう。それらのことばは、どこかよそよそしく、背伸びをしていて、切実なウソさえなく、なにかを隠そうとしているかのようで、そこにはつねになんらかの違和感があります。私たちがそうしたことばによってものを見たり、考えたり、表現したりするしかないとすれば、なんと淋しいことでしょう。そうであるとすれば、批評をすることも、希望を語ることも、何かを創り出すことも、力をもちえないのではないか。

 そこで、〈ことばへの信頼〉を回復するささやかな試みとして、読む楽しみを本位としたリトルマガジンをつくってみたいと考えました。きわめて素朴な動機ではありますが、これはまた、既存のメディアへのオルタナティブであるとともに、作者と読者との新たな関係のありかたを模索する「場」でもありたいと考えています。それは、いわば何気ない小さな公園、あるいは空き地のようなイメージです。手入れがゆきとどいた美しい公園ではなく、はてしなく広大な公園でもない、身近にあって子どものころにそこでよく遊び、ころんで怪我をし、友だちと喧嘩をし、あるいはひとりでもの思いにふけったり、だれかと語り合ったり、だれもがいつでもそこに寄り集まって、気ままに時をすごすことができるような場所。そこには気持ちのいい風が吹き、何かの匂いが感じられる。そこで何かささやかな出来事が起こり、それが知らず知らずのうちにじぶんの血肉になっているような、そんな場所としての小さな雑誌を夢想しています。
Special Thanks
武秀樹、浦添厚子、みすず書房、月曜社、青土社、パロル舎、せりか書房、編集グループSURE
このページを閲覧のみなさまに
こんにちは。このたび、仕事(フリーランスの編集者)のかたわら、リトルマガジンを創刊いたしました。
ふだんのくらしからどのように歴史を意識し、いかに歴史を語るのか。これが本誌のひとつの大きなコンセプトです。本誌は同人誌ではありません。いま流行の無料雑誌でもありません。ここには役に立つ耳寄りな情報はありません。この小さな雑誌は、〈ことばへの信頼〉を回復するささやかな試みの実践の「場」です。年2回発行の暢気なリトルマガジンですが、もしよろしければ、どうぞ手にとって読んでみてください。そしてお目にかないましたら、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。なお、この案内ページは、四釜裕子さんのサイトを間借りしています(四釜さん、ありがとう!)。近々、専用サイトをつくりますが、いましばらくお待ちいただければ幸いです。 「attention」発行人
間貸し者より
待ち望まれた創刊ののちも発行人こと竹中龍太はむずかしくて気障なことを言う。ウェブも、「ディープ」に作ると。ディープはいいが同人誌でもフリーペーパーでもないのなら、どこかで知って買いたいひとに応えるすべなしは無謀と思った。ウェブは、最初から今日まできっとこれからも、表現の場としてはりきったところで永劫の場所ではないことだけはわかる気がするのです。(2007.2.12 四釜)
うれしいうれしい。
林さんのブログ「daily-sumus」 1/29に「アテンション」のこと。