/ 難易度表示〜●の数が多いほど難 あ行
か行
写真のようなかがり台を用いて、このようなスタイルでやるわけです。数本の太い麻糸(フィセル)を本の背に対して直角に張り、それに糸をからめながら折丁をかがっていく。本文の紙質や折丁の数などによってかがる糸の選び方も違ってくる。 半革装(革と革以外のものを組み合わせてする装丁)で、本の背と表紙の三方の端に革を配して、革の額縁のようにしたもの。製作例はこちらの『鏡・空間・オマージュ』へ。 半革装(革と革以外のものを組み合わせてする装丁)で、本の背と、角の部分に三角に革を配したもの。製作例はこちらの『フォーストロール博士言行録』へ。
製本する場合は、この紙の目が天地(たて)に通るように紙を使う。製本しているあいだは別になんの問題もないように思うが、だんだん乾いてくると妙にふくらんだりわい曲してきてバレバレになる。紙の目を間違う可能性は二分の一に過ぎないのだが、気を付ければ付けるほど間違ってしまうという法則のとおり間違うことが多く、とてもばかにされる。
ばらし(は行参照)終えた本文紙で、破けてしまったり完全な折になっていなかったり、また製本上の手法として元々の表紙を綴じ込むために、和紙を使ってつなぎあわせたりする作業のこと。
ほとんどの本はコストや制作の面から16ページや8ページを単位として台割は行なわれるが、どうしても出てしまう端数のページは、和紙をノドのところにたして(「アシ」という)、手前(後)の折にくっつけることになる。上述の表紙の綴じ込みも、この応用で組み込む。
さ行
が、それもいろいろあって、前者は「きれいなザンク」を用い、後者は「きたないザンク」を用いる。私が通うアトリエでは「きれい」と「きたない」の引き出しが別にしてあり、作業のなかで「ここは汚いザンクでいいの」とか「こういうときにきれいなザンクを使うの」とか注意がとぶわけです。ま、気弱な私は、とりあえずきたないザンクを用意するんです。
写真はプレス機。
製本は直方体を追い求める作業なので直角定規は必需品だが、厳密にやろうとする人はこれを用いる。が、所詮材料が紙なので水準器を使って厳密にやるのは非常に困難。人間の目の錯覚といいかげんさをもって、円滑に作業を進めるのもコツ。
しかし製本している人の半数以上が、日常生活には必要ないはずの水準器をなんらかのきっかけで持っているというのは、どうしたことか。直角垂直フェチか。
主に紙切れに書きためられた製本作業ノートのこと。
本来は薬の微量の調合のときに用いる薬匙だが、そのしなやかで丈夫な形状が、製本の際に役立つ。革や紙を貼ったときのちょっとしたはがれにノリをいれて押さえるときなど。
た行
● チリ〜本の構成へ
本文紙の上の部分(天)を、保護と装飾のために箔を貼ったり色を塗ったりするが、金箔をあてたものをこう呼ぶ。写真は天金されて返ってきたところ。
●● 天と地〜本の構成へ
<中とじ・ド(dos=背)段ボールの略称。オヤカタ(一般的には『わたしたちのせんせい』という立場の栃折久美子氏のことです)考案の一折綴じ製本の一種で、リップル(表面が波状のダンボール紙)を表紙に使う製本法。創和出版『ワープロで私家版づくり』(栃折久美子著)他にくわしい。
●
ノドと小口〜本の構成へ
は行
古くからある製本法のひとつで、かがりに使った麻紐を本の表紙の厚紙に通すもの。ざっと数えても60以上の工程がある。「かいつまんで」ここに書いてみよう。
(01)本をばらす
このようにしてコード(紐でも布を巻いたものでもいい)を芯にして絹糸で編み込んでいく。市販の本だと縞柄の布を使ったものをよくみかけるが、それはまさに糸で編み込んでいたことの名残。編み方もいろいろあり、実際きれいに編み上がるとここに指を引っかけるなんて、とてもできない。
花ぎれを編むのはなかなか集中力がいるし慣れるまでは大変。従って編み方の練習をしたあとは捨ててもいいのだが、本の背に縫いつけた糸を切って保存しておく人が多い。睫毛のようでもあり、虫のようでもある。色合いや大きさ、風合いのかげんで、ついつい名前をつけて標本してしまいたくなる。
市販されている本をいったんばらばらにして製本し直す場合の一番始めの作業をいう。
表紙に革を貼る時の準備段階で、すき終わった革にたっぷりのりを入れて乾かすと、『ひもの』のようにカワカワペロペロ状態になる。革はのりをよく吸うので、貼るときはたっぷりのりを入れなければならないのだが、あまりのりを入れすぎると今度は革が伸びきってしまう。そこで貼る前に一旦のりを革に入れて乾かし、貼るときに必要以上にのりで革を伸ばさないようにするためにひものを作る。
例えば写真の上のへらは、先が鋭角三角形状になっていて、さらに、へらを持ったときに(彫刻刀のように持ってみる)先端の3cm位が程良い角度を作って平面に平らに密着するように角度をつけてある。厳密な勘で、綿密な設計図を頭に描きながらやすりをかけて成形する。道具をつくるのも、大切。
ま行
いろいろな色の絵の具を液体の表面に浮かばして模様を作り、それを紙にうつしとったもの。糊質の溶液の上に水性の染料をスポイト状のものなどで1滴づつ落とし、くしなどで模様を付けていく。 今は便利な制作キットが商品として売っているので、それに自分が使いたい色の水性絵の具を追加し、あとは模様を付けるための道具を工夫すればいろいろ楽しめる。古典的なマーブル模様もいいが、手作りだと相当遊べます。
綴じて四角くなった本の背をにかわで固めて、かなづちを使ってまず丸みを出す。
最初はやさしく叩いて、くなくなにする。この時から、だいたいの丸みの目安を描いておく。
その後、きちんとプレスで固定してより激しくかなづちで叩いてまるみをだしていく。天と地の丸みの具合が同じになるように、時々このようにして紙を当てて書いて比べてみたり、プレスにはさんだ状態で上から見た時に、夏においしい素麺の束のように均等に折が開いて弧を描いている状態になっているかを見ながらすすめる。
ニカワの乾き具合とかなづちの叩き具合で、折が離れてしまったり、丸みが均等にならなかったり、なにかとトラブルは起きやすい。 ●● 見返し〜本の構成へ フィセルを穴に通すとき、コワフを作るとき・・・など、2本の手と顎やお腹だけでは足りない作業がたくさんあって、こころからもう一本手が欲しいと思う。
や行
ら行 半革装(革と革以外のものを組み合わせてする装丁)で、本の背の部分と小口側に革を配したもの。製作例はこちらの『グーテンベルクの銀河系』へ。
わ行 ●●●●● 渡辺ノオト 主にエンピツをもって書かれた、精密な製本作業ノートのこと。現存するノート中、最も正確との噂が高く、まだ完成していないにもかかわらず予約完売状態。特に花ぎれを編む行程で、独自の「上の芯と下の芯の湾曲の具合についての理論」が卓越。 /
|