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「切手詰め本」
小野さんからちょっと厚みのある封筒が届く。封筒サイズに合わせたかのように(ホントに合わせたんだと思うが)ぴちぴちに入っているので、亀のペーパーナイフでていねいに開ける。
「切手詰め本」である。いやそんな名前はないしご本人もそのつもりはないと思うけど、手際よく軽やかにその" 用 " を満たすために構造を考え素材を駆使し、背骨もしっかり綴じられたこの一冊に敬意を表してそう呼ばせてもらいつつ、当 " plastic book " の秘宝編としてここにご登場いただいた。
手慣れた細工
ブルーの羽がトレペにはさまれて表紙になっている和綴じの小冊子。本文は、三つ折りにされた一ページ、裏表紙は袋になっていて斜にミシン目が入っており、どうやらその中に切手が入っているらしい。
随所に小気味良くちりばめられた雲のイラストや端正な文字、素材の使い方や構造、正確さからして、日常的にこういうものをさっさっさーと作っているんだろうなぁと思った。
もったいなくてミシン目をあけることができない。でも受け取ったことをきちんと知らせるためにそっと破く。あるよあるある、切手が。
受け取り手が密やかに楽しむ姿が、小野さんにはよく見えているんだろう。私は切手をまたなかに戻し、やぶったミシン目をなで、冊子をたたみ、封筒に入れる。また今度、最初から開いてニヤニヤするために。小野さん、ありがとう!