アルス発行 アルス文化叢書刊行の言葉(要約)

従来の長たらしい活字の羅列ではなく、端的な写真と専門家による簡潔な解説が互いに交流し交錯して一体をなすもの、視覚によって知識を把握できるものを創ろうという北原鉄雄の言葉である。戦中ながら、文化は国防国家建設の核心をなすものであるから、短時間に端的、率直、直接に視覚による文化教育を目標とするアルス文化叢書は国家的使命が存する。ここに包含するものは広範にわたり、美術や建築、モーターのうなりや戦車の地響き、鳥獣類の生活、天空の神秘、鉱山での同胞産業戦士の勇ましき姿、家庭における銃後婦人の真剣なる働き、あるいは東亜共栄圏を形成する大陸の風物、南海の資源などである。願はくは我が日本のために、力強き新文化建設のために、当路者の理解ある協力と国民同胞の熱意ある支援の下に、本叢書刊行の目的貫徹を祈願して止まない。(昭和18年頃)