BOOK BAR 4 > 詩 










今日の雨ときたら。

ホワイトノイズばりの線
角度をもって広重が喜ぶ

風上からいくと
絶句したひとりひとりが仁王立ち
ぐらぐらと
ひとりひと丸の軸を支えて
その従順さが可笑しくて傘を閉じる

ふりそそぐエナジーわざわざ遮り
等価のための必死の用意。

不意の雨にはびじょぬれになって
スニーカーをぐちょぐちょいわせ
熱いアスファルトは裸足で歩く
気持よくて大自慢でただいまするが
「いいからあなた、さっさと拭いて
着てるもの全部自分で洗いなさい」

気分は最高、
塩ビの傘は気軽に買わない
迎えに来てって電話もしない
だけどそのあと洗濯しなきゃならなくなって
ノブちゃんと遊ぶ時間がなくなる

ここんちのサークル活動
受け取ったらその放出を
なんとかしなきゃと私達はヒッシ
つじつま収支はいつだってそこに。

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初出 : gui 61

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..................@@特大付録@@..................


リサイクルブックで発見
「gui」同人でもある岡崎さんに、上村一夫の「狂人関係」(1977/青林堂)を教えていただく。帯には「風狂の絵師が描く画狂人北斎の生涯!」第一部、その六話。

松飾りがとれたばかりのあるどしゃぶりの日、身捨ての男を助けてみるとその男は広重である。一等のオヤジギャクをかましながらその理由を聞く北斎、女以上にウツクしい「小姓の吉三」にうつつぬかした悩みの末らしい。説得されても納得できずにまた橋の上に戻る広重、飛び下りまぎわに正体を明かした北斎、しかし広重は既に川の中...。
「この風景だけは俺のもんだ、俺だけのもんだァ!!」


同書、P137