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だんだんと あたたまってくる地球に住んでいるので 地球人の英知の結晶 温ナビなんてものができたなら カーナビはともかく ちょっと携帯してみたい
地球の南のあたりでは 大きな大きなオゾンのホール 地球の北のあたりでも オゾンはもはや70パーとか
地球の北側 ぐるぐる回る球体がおこす穏やかな風は 炭坑の上のあたりで 硫黄や窒素の酸化物をのせ 丸い地球のその東側 日本の西に雪を降らせてきた
人の顔は だんだんだんだん顎が細くなっていき 雪の結晶もまた TやらI型のスレンダーなものが最近増えてきたらしい 君達の世界の流行なら良いけれど 私達の世界ではそれを奇形の結晶と呼ぶものだから
ダイオキシンと枯れ葉の悪夢
これから益々増えた場合に なだらかな白銀の月山のシルエットが コッホ曲線を描いてしまうのではないのかと 空からまっすぐ降ってきた雪が ブラウン運動をとるようになり 見上げた子供が目を回してしまうのではないのかと なによりも なんだか大気中の埃がよく付着するようになり 太陽の光を反射することがなくなってしまうのではないのかと 心配で心配で
心配でたまらない
初出 「gui」51 vol.19 August 1997 |