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「幸福とは、新しいレインコートを着て雨の中に立つことだった」(『トポフィリア』イーフートゥアン)

予感はいつも
言葉にできた記憶と言葉にできない潜在意識の発火の連動。
フレーズに着火されて
立ちすくみ、宇宙波を満身に受け底なしの空に対峙した日を想い出す。

真っ白に雪が積もった日曜
誰より早く外に出て、足跡のない雪面に渦を描く。
午後、渦巻きゲームに誘うときの誇らしさは
ナスカの地上絵
カール・セーガンの宇宙人へのメッセージを見せるに等しい。
踏みしめる音、渦の中心にいくほど高鳴る息の音は
つんとささる空気に直角
極めて遠い、極めて内在する鼓動は直ぐに
その白に吸着する。
稲に譲られた冬だけのフィールドに
なだらかにひっつく白はまぶしい。

何も知らない全ての環境が
想像を絶する秩序に満たされていて
明らかな異物感と根拠のない一体感
身体と周りの環境のあいだの境界が失せた。

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