:12号の表1、表4を開いたところ
:12号を含めたバックナンバーの一部
『紙魚の手帳』No.12

発行日:2002年1月10日
編集発行人:多川精一
発行所:東京エディトリアルセンター E+D+P研究会
企画編集協力:今村ゆかり/鷹觜麻衣子/田中公子
製作協力:松濤印刷株式会社/株式会社ショウエイ/四釜裕子/エディトリアル・デザイン研究所/大貫デザイン事務所/ゴブリンマーケット/株式会社松和

もくじより

表紙:耳を抜けて吹く風の音を聴け/四釜裕子
紙魚のつぶやき:ひらめき
梓川村日録ー太田英茂の生涯(12)蒸発宣言を投函して宣伝の世界から消える/多川精一
■詩・真珠/浜祥子
高杉晋作と幕末の長州(3)尊王攘夷/冨成博
装丁ギャラリー(10)針金綴製本機械/大貫伸樹
書物を愛玩する/田中栞
古本好きのための読書案内/田中栞
Bucker-wurm Nr.9/古本屋さんのカタログ/松本八郎
『印刷博物誌』と『紙とデザイン』/坂本恵一・編集部
珍奇動物紀行(1)/M.Shimono
新刊紹介・『北八ッ彷徨』『八ヶ岳挽歌』/編集部
紙魚のあしあと

お取扱い書店

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『紙魚の手帳』no.13はこちらからどうぞ。

編集発行されている多川精一氏のこと

(たがわせいいち)1942年、原弘氏の助手として東方社に入社し「FRONT」の制作に参加。戦後は「岩波写真文庫」「太陽」「カラーガイド」「季刊銀花」をはじめ多くの書籍雑誌の装丁レイアウトを行う。1979年より出版表現研究誌『E+D+P』を50号発行。1999年以降は個人誌『紙魚の手帳』の企画編集刊行を続ける。

著書

『戦争のグラフィズム−FRONTを創った人びと』
「岡正雄、林達夫といった当事者たちは、戦後ほとんど事のいきさつを語ることなく世を去った」こともあり「貴重な記録である」。(解説:山口昌男氏)
「FRONT」が十五か国語に翻訳されたときには、「ビルマ語は視力検査表のようなリング状の記号が連なった文字で」「少し大きな字は私がコンパスで描いた。ところがどちらが上か天地のわかりにくい文字なので、青焼校正紙に貼込み指定するときに逆さに貼ってしまい、誰にも読めなかったので、完成品を見たビルマ人が気づくまで、発見できなかった失敗」とか、報道班員としてシンガポールに徴用された小津安二郎が「積極的には何も仕事はせずに、毎日屋上で空ばかり眺めて暮らしていたという」話など、ご自身の記憶に加え、多くの方々への緻密な取材に基づいて細やかな事実が重ねられている。図版も多く、そのキャプションがまた興味深い。

他に、『編集レイアウト技術ー総合演出と製版設計』、『現代レイアウト入門』、『FRONT復刻版』、『太田英茂』(EDIのwebsiteから御覧ください)他多数。

関連図書

『北八ツ彷徨』『八ケ岳挽歌』
著:山口耀久、装丁:多川精一。「山と本の好きな私にとって、うれしい仕事であった」「久しぶりに書物らしい本の制作に携わることができた」と多川氏は語る。市販本も端正で美しいし、それぞれ限定100部で作られた特装本も山室眞二氏の版画が入れられて、八ヶ岳の山々を写したような布色の選択がいい。

『聞き書きデザイン史』
多川氏をはじめとする25人のグラフィック・デザイナーの自伝聞き書き。

『印刷博物誌』
『紙魚の手帳』12号にも紹介されているが、これは印刷博物館で自由に閲覧できるので私もゆっくり見ました。重いです楽しいですすばらしい。が、博物誌とはいえ最近のソフト面の記述が弱すぎるんじゃないでショカ。。。。。。(2002.02.05 4-kama記)