ギャローデット大学における2008年のニュース


●サイクロンに被害をうけたミャンマー人のろう者への支援


5月3日にミャンマーでサイクロン・ナルギスの直撃により被害を受けた12のろう者家族が、ギャローデット大学関係者の支援をうけ、未来に向けて家の再建にとりかかり、少しずつ安定した生活を取り戻し始めました。

ミャンマーの歴史上最悪の自然災害である巨大なサイクロンの被害をうけた、ミャンマーのろう者のための緊急支援をの呼びかけにこたえて、職員、教員、スタッフ、学生から、2300ドルの寄付が集まりました。これまでに1800ドルの義援金は、世界各地でろう者支援にあたっている非営利団体"Partners in Excellence"を通して、被害者に手渡されました。

ミャンマーでは、ろう者の地位は大変低く、支援優先順位リストでも下位に押しやられているので、ギャローデット大学がこのような支援をするのは大変重要なことです。義援金は支援要員を務めるオーウェン・リグリー(Owen Wrigley)博士に送られました。博士は、私立ろう学校であるメリーチャップマンろう学校のろうの指導者や教員と協力して、サイクロンの被害をうけたろう者を探しだしました。

義援金は6月8日にそれぞれのニーズに従って、一人あたり20万チャット〔180米ドル〕あるいは10万チャット〔90米ドル〕が手渡されました。貧困が日常であるミャンマーでは、この義援金が大きな支援となります。実際、地方に住んでいる人であれば、この金額で家一軒を建て直すことができるほどです。ミャンマー最大の都市であるヤンゴンの近くに住んでいる人であれば、トタン屋根を張り替え、どうしても必要な調理器具や食料を手に入れることができます。

(2008年6月17日)


●平和部隊のろうのボランティアへの機会の拡大について話し合う

1970年以降、ろうのボランティアたちは、平和部隊の一員として世界で逆境に苦しむ人たちを支援してきました。平和部隊というのは、アメリカ人のボランティア派遣や開発支援金の提供によって世界平和を推進してきた、今年47年目を迎える政府機関です。

これまで10年以上にわたって、ろうのボランティアたちは教育者としてケニアのろう教育に携わってきました。経験は肯定的なものでしたが、帰国した元ボランティア(RPCV)たちは、ボランティアの機会を世界全域に広げ、活動も青年アウトリーチプログラムや、コミュニティ開発、ビジネス開発、農業や環境、保健やHIV/AIDS、情報テクノロジーなど、あらゆる分野に広げてほしいと訴えてきました。

本提案について検討するために、ギャローデット大学、平和部隊、RPCVの代表者が、5月にキャンパスに集まり、可能性について話し合いました。全平和部隊プログラムを代表する3人の地域ディレクターと3人のRPCVが招かれ、より多くの国、より幅広い分野にろうのボランティアの参加を拡大することが討議されました。

ろうの平和部隊ボランティアの可能性について、ろう者自身の意見を伝えるために、国立聾工科大学卒業生のノーマ・モラン、ギャローデット大学卒業生のジュリー・ホッチェサン(二人ともケニアでろう教育者として平和部隊に参加した経験がある)が参加し、ギャローデット大学の教育学部の卒業生で聴者のトリシュ・ロス(ネパールとジャマイカの元平和部隊ボランティアでケニアの平和部隊トレーナーでもある)も同席しました。

3人のRPCVは、ろう者も適切な支援さえあれば、あらゆる分野の全ての役職で任務を果たすことができると主張しました。ろう者への否定的な態度を持つ外国で、ろうのボランティアが働くことによって、ろう者も生産的かつ自立した仕事をおこなうことができ、同じコミュニティの聴者と同等の立場にあるのだということを示すことができます。ろうの平和部隊ボランティアは、他のろう者のよいロールモデルであり、彼らが人生において前向きな一歩を踏み出す励ましとなってきました。しかし、ろうのボランティアたちが、平和部隊の代表者に訴えたのは、ろう者のためだけではなくコミュニティ全ての人たちのために活動できるようにしてほしいということでした。

今こそ、平和部隊を、ろうのボランティアにとってよりアクセスしやすく、完全参加できる組織に変革していかなければなりません。海外での任務は、先日発効された国連障害のある人の権利に関する条約からも裏付けられています。この条約は、差別や隔離をなくし、障害をもつ世界の6億5千万の人たち(ろう者は7400万人)が奪われている機会を取り戻すことを目的とする人権条約です。
この歴史的な条約は、ろう者や障害のある人たちの行動範囲が広がり、途上国支援へのかかわりに関心を持ち始めたのと同時期に誕生しました。ギャローデット大学では大学院で国際開発研究のクラスを開講しており、カリキュラムの一環として社会の正義とコミュニティーサービスを導入しています。開発支援を必要としている途上国の人たちとかかわる仕事がしたいと思っている卒業生にとって、平和部隊は「黄金」の機会を与えてくれるでしょう。

RPCVは、平和部隊のなかにろう者の研修のためのユニットを作るのは有益なことだと考えてはいますが、たとえ聴者であれろう者であれ、ボランティアに必要なサポートのレベルは人によって異なるのだということを強調しました。一例として、ろうのボランティアの中には通訳を求める人もいますが、コミュニケーションの問題については、体当たりで解決したいと考える人もいるという意見がありましたが、ギャローデット大学の卒業生で大学教授であったフランセス・パーソンが1980年代半ばに通訳をつけずに多くの中国の町を訪問したとの指摘がありました。「ろう者はコミュニケーション能力にすぐれているので、5分もあれば言いたいことを伝えられる。言語の壁にぶつかってストレスに苦しむのは聴の(平和部隊の)ボランティアのほうだ」と経験を述べたろう者がいました。

平和部隊には、すでに優れた研修、途上国でのボランティアの活動をサポートするブログラムがあるので、重要なことは、そうしたプログラムにろう者がアクセスできるようにすることである、というのが3人の共通の意見です。「平和部隊はすばらしいプログラムだ。ろう者を含めた全てのアメリカ人が平和部隊に参加する機会を得るべきだと思う」。

平和部隊アフリカ地域ディレクターのヘンリー・マッコイは、「志をもつ全ての人への対応が提起されていたが、それについては肯定的に考えている。平和部隊としては、まず、ろうのボランティアが遠い派遣地で暮らすことになったときに、彼らが必要とするリソース、例えば通訳サービスなどをいかにして提供するかを考えていかなければならない」と述べ、話し合いをしめくくりました。

(2008年6月5日)


●ギャローデット大学、多様性について対話と意見交換を行うイベントを計画
ギャローデット大学の多様性チームは多様性活動計画(Diversity Action Plan)の一部として、5月上旬に大学の校風と共同体に関するキャンパス全体の対話、および多様性活動計画の現在、過去と未来について話し合うタウンミーティングという2つのイベントを計画しています。

まず、グループ別による対話は5月5日月曜日に午後1時から4時までジョーダン学生アカデミックセンターで行われる予定です。この対話は、議論と討論とは異なり、授業と職場で意義のある関係が構築される方法として見解の違いを理解することに焦点をあてたもので、構造化されたグループで会話を行います。このイベントは、2008年~2009年の学年度に着手される広範囲なグループ対話のイニシアチブへの先駆けとして、この概念をギャローデット共同体全体に紹介することを意図にしています。

2つめのイベント、多様性活動計画に関するタウンミーティングは5月6日火曜日、午後3時30分から5時までケロッグコンファレンスホテルで行われます。ダビラ学長の司会の下で、多様性専門家(CBG Diversity Consultants)が今春キャンパスで多様性を査定した結果について報告、キャンパスにおける多様性の推進について提案し、キャンパス共同体の意見を求めることになっています。

(2008年5月2日)


●ギャローデット大学でASLポエムとパフォーマンスアートを研究する教授
ギャローデット大学は、アメリカ手話(ASL)による自己表現を学ぶ所です。そこで、ダートマス大学音楽科教授ラリー・ポランスキー(Larry Polansky)がASLポエムとパフォーマンスアートを研究することになりました。教授は、たまたまアモス・ケンドールの母校であるアイビーリーグ校のダートマス大学で教えています。

これは、アンドリュー・ウイリアム・メロン財団の資金を獲得した教授の新しい取り組みの一つで、みずからの研究以外の特定の研究課題の追求における高度な訓練をするためであり、また教授の知的な範囲を広げ、研究活動への長期投資にするとのことです。

また、Northeastern大学の手話通訳養成プログラム、ニューヨーク市の手話センター、およびろう文化行事に関わる予定です。

教授が音楽とASLをどう結合するか、また作詞したASL歌が以下の英文ウェブサイトで紹介されています。
http://www.dartmouth.edu/~news/releases/2008/04/11.html

(2008年5月2日)


●世界旅行で人生を体験する新しい研修ツアー、発表

ギャローデット大学では多くの学生が世界を旅しています。同大学が提供する海外研修の機会で多くの学生たちがちがった体験を味わうように、ギャローデット大学の学生登録管理局(Enrollment Management )は、2009年の夏に始まる1週間の海外研修ツアーの概要を発表しました。

このツアーは、優秀な成績を収めた大学一年生を対象にさまざまな国の言語、食物、歴史、芸術、習慣などを探るものです。2008年秋から、または2009年の春に在籍した1年生は応募できます。航空運賃、陸上輸送、ホテル代などの経費は大学が負担します。

学生登録管理局の責任者キャサリン・アンダーセン博士は、様々な意味でこのプログラムを実行することにした理由に「学生に教室で学んだことを海外経験で生かしてほしいから」と話しています。「研究では、教授陣とスタッフのサポートで学生が学習に集中していれば最もよく学ぶことがわかったが、このツアーはそれ以上のものだろう。」

その後、学生は、他の文化に浸しながら長い期間を過ごすためにギャローデット大学にある多くのグローバル・パートナーシップとプログラムを利用することが可能です。

海外研修、または海外留学ツアーを経験した学生はその利益を十分に説明することが難しいと言います。

「私の旅行は刺激的な経験だった」と話したのは、ジャマイカ出身の経営学専攻の学生。「文化とろうの共同体の違いに非常に驚くことがあった。さらに他国に旅行してもっと探ってみたいと思っている。」

「他の生活の方法に関して学べば専門的な観点を得られ、グローバルな共同体に関する理解を深める」と多くの人が指摘しています。

アリゾナ出身のコミュニケーション研究専攻のジョナサン・デイヴィスは「多くの会社と組織は世界化している。グローバルな仕事場として知識を得て異文化間の技能を強化する時がきている」と言います。

プログラム参加の要件に関する詳細を含む詳しい情報は以下の英文ホームページを参照。

http://admissions.gallaudet.edu/generalstudies/StudyAbroadTour/index.html

(2008年2月14日)


●大学同窓生、AOLのリアルタイム文字表示に関する共同研究で成果

AOLは人気のあるAOLインスタントメッセージにつける新しいリアルタイム文字表示機能を発表しました。ユーザがキーを打つと同時に互いのテキストを見ることができるようにしたものです。現在AIM6.8としてベータテストされているこのオプションはギャローデット大学の技術アクセスプログラム(Technology Access Program:TAP)、ウィスコンシン大学校トレースセンター、とAOLとの協働により開発されました。

ギャローデット大学同窓生(91年卒業)のノーマン・ウィリアムズはAOLシニア研究技師で、典型的なインスタントメッセージとリアルタイム文字表示によるコミュニケーションを結合するための原型と概念について考案し、AOLアクセシビリティーディレクターがAIM製品チームに原型の導入をはかったところ、即座にAIMの可能性をもつオプションであると判明しました。

ノーマン・ウィリアムズは「ろうの共同体のメンバーと活発なインスタントメッセージのユーザとして、私のような人たちが慣れているTTY(キーボード付電話)とAIMなどの迅速で人気のあるオンラインIMサービスでの通信を結合する方法が必要だとわかった。AOLがろう難聴のユーザに役立てるようにこの特徴をAIMに取り入れるのを決めたことを喜んでいる」と話しています。

AIMのリアルタイムの特徴は、会話の流れと早さをメッセージに追加し、中断できるようにしたことです。入力されたウィンドウの上に前のメッセージを表示しておくように身近なAIMの部分も残してあります。

技術アクセスプログラム(TAP)のディレクター、ジュディ・ハーキンは「既にAIMを使用しているリレーサービス会社が無線のリレーで呼び出しが速くできるためにAIMリレー製品に新しいリアルタイム文字表示を採用してほしい」と話しています。

AIM6.8のリアルタイムの文字表示の機能をダウンロードします。使用にあたっての指示は、TAPウェブサイト(英文)(http://tap.gallaudet.edu/text/aol/)に掲示されています。

ろう難聴者のコメントや意見に関するAOLの要望について、ギャローデット大学は、開発されたメッセージ機能を試してAOLベータセンターに提案したりして協力しています。

TAPはギャローデット大学コミュニケーション研究学部の一部で、ウィスコンシン大学マディソン校のトレースセンターとともにテレコミュニケーションアクセスに関するリハビリテーション工学研究センター(Rehabilitation Engineering Research Center:RERC)のパートナーです。リハビリテーション工学研究センターは、連邦教育省国立障害リハビリテーション研究所(National Institute on Disability and Rehabilitation Research)の交付金によってまかなわれています。

(2008年1月18日)


●理事会、名誉学位と名誉教授に関する授賞を発表
ギャローデット大学では5月16日、第139回卒業式が行われます。これに関して、大学理事会が名誉学位などを受ける関係者を発表しました。まずコミュニケーションとろう共同体への擁護における大きな進歩を果たしたのは、エドワード・ボソン(Edward Bosson、1966年ギャローデット大学卒業)と、長年理事を務めているチャールズ・ウィリアムズの2人で名誉博士号を授けられる予定です。ギャローデット大学に多くの実りをもたらした教員は、今春に退職するヴァージニア・ガットマン博士と、去年の秋に退職したジョン・ヴァン・クリーブ博士の2人で名誉教授となります。

エドワード・ボソンは1990年代、ろう難聴者のためのテレビ電話に関する可能性を追求しました。テレビ会議システムに使われる製品を使って実行可能なコミュニケーションであるかどうか確認するためにテストするように、テキサス州を説得しました。次の数年間、テキサス州でテレビ電話リレーサービスの試用がほとんど成功し、2000年までにワシントン州とテキサス州がインターネットで可能なテレビ電話リレーサービスを行いました。そして、連邦通信委員会はテレビ電話リレーサービスの呼び出しに関する還付を許可し始めました。ボソンは1994年、2002年と2004年に全米州リレー管理職者協会(National Association for State Relay Administrators)の議長をつとめ、ギャローデット大学のローラン・クレーク賞など多くの賞を受賞しています。

ギャローデット大学理事会の理事を13年間務めているウィリアムズは、優れたリーダーシップの持ち主で、共同体による行動を尊重し、ろう教育の教育者として知られています。
人々の権利のために疲れを知らずに活動し、有色人種のろう者の権利を擁護する筋金入りの支持者です。「全米ろう黒人擁護者」(National Black Deaf Advocates)という組織の創立者のひとりであり、19年間「クリーブランドろうサービス」に勤務しています。「全米ろう高齢者サービス」などの団体の役職を兼ねており、また多くの賞を受けました。

2001年以来心理学部長を含む、ギャローデット大学におけるガットマン博士の30年のキャリアは、カウンセリングセンターの指導官、学生部長特別補佐、寮長などにわたっています。アメリカ心理学会による厳しい認可の過程で首尾よく臨床心理学博士課程の開講ができるまで、同博士は指導力を発揮しました。カウンセリングプログラムは何百人ものろう者と家族がアクセスできる質の高い専門的心理学サービスになっています。

ヴァン・クリーブ博士もギャローデット大学で30年のキャリアを積んでおり、ろう史の分野で先駆けであり、国際的に認識された学者として知られています。1991年に最初の国際ろう史会議(International Conference on Deaf History)の運営委員会の委員をつとめました。自らの研究を定期的に全国的に、また国際的に発表し、編集主任であった3巻の「ギャローデットろう辞典」(Gallaudet Encyclopedia of Deaf People and Deafness)を含むろうの共同体に関連する多くの本を編集、執筆しました。著作の一つ「A Place of Their Own:Creating the Deaf Community in America」(邦題:アメリカの聾者社会の創設:誇りのある生活の場を求めて)はろう史分野では古典となっています。また、教科担当副学長特別補佐、情報技術サービスのディレクターなど同大学でいくつかの管理職を経験しました。

(2008年1月8日)



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