ハイペリオン島の由来
The origin of Hyperion

 「28世紀。人類は宇宙へ進出し、200にのぼる惑星を転位網で結び連邦を形成していた。その辺境に位置する
  惑星ハイペリオン。この惑星には謎の遺跡<時間の墓標>があり、時を超越した怪物シュライクが人々の畏怖と
  信仰を集めていた。ある晩、ハイペリオン元領事のもとに、惑星へ戻れとの要請が届いた。<時間の墓標>を
  
取りまく抗エントロピー場が膨張し、とらわれていたシュライクが解き放たれる時が近付いているという。
  
折しも宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンに侵攻を開始、その手に落ちる前に<時間の墓標>の謎を解明できるか
  
否かに、連邦全体の運命がかかっているのだ!かくして元領事はじめ、惑星ハイペリオンに因縁浅からぬ7人が
  
この謎を追う最後の巡礼として集い<時間の墓標>をめざす旅に出る。その途上で語られるそれぞれが背負った
  
数奇な運命とは・・・」

 
 
SF好きの僕は当時この帯の惹句だけで痺れてしまいました。
 
1990年のヒューゴー賞・ローカス賞ダブル受賞の傑作ハイペリオン」!(題名はジョン・キーツの詩より)
 
1994年12月に邦訳が出版されて以来、95年6月「ハイペリオンの没落」、99年2月「エンディミオン」
 
そして99年11月に完結編の「エンディミオンの覚醒」。読んでいる最中の陶酔感と読後の深い満足感。
 
これぞSFという醍醐味。次作を渇望し、弁当箱の様な本をむさぼるようにして読んだあの頃がとても懐かしい...。
 
僕をここまで夢中にさせた、
 
ダン・シモンズ作「ハイペリオン」シリーズへのオマージュ。それがハイペリオン島の由来です。
 
ハリウッドで映画化されるという噂を聞きました。原作の壮大さと豊潤な魅力をどこまで映像が再現できるのか、
 
楽しみである反面、不安でもあります。でも映画がどうあれ、この素晴らしさが損なわれるものではありません。

          
燦然たる輝きを身に纏(まと)い、ハイペリオンは馳せゆけり。
          
(ほのお)と燃ゆるローブを靡(なび)かせ、
          
噴火のごとき怒哮をあげて。
          
(はかな)くかよわい時の女神の、ひよわな翼を戦慄(わななか)
          
太古の声も凄まじく、焔に乗って、彼はゆく...。
                <ジョン・キーツ詩集「ハイペリオンの没落」より>

                                               
2001年2月 しげなま