日 米 共 同 声 明
第二回佐藤・ジョンソン共同声明(1967.11.15)
七 首相と大統領は、沖縄・小笠原諸島について隔意なき討議をとげた。首相
は、沖縄の施政権の日本への返還に対する日本政府および日本国民の強い要望
を強調し、日米両国政府および両国民の相互理解と信頼の上に立って妥当な解
決を早急に求めるべきあると信ずる旨を述べた。首相は、さらに両国政府がこ
こ両三年以内に双方の満足しうる返還の時期につき合意すべきであることを強
調した。大統領は、これら諸島の本土復帰に対する日本国民の要望は、十分理
解しているところであると述べた。同時に、首相と大統領は、これら諸島にあ
る米国の軍事施設が極東における日本その他の自由諸国の安全を保障するため
重要な役割を果たしていることを認めた。討議の結果、首相と大統領は、日米
両国政府が、沖縄の施政権を日本に返還するとの方針のもとに、かつ、以上の
討議を考慮しつつ、沖縄の地位について共同かつ継続的な検討を行なうことに
合意した。
 首相と大統領はさらに、施政権が日本に回復されることとなるときにおこる
であろう摩擦を最少限にするため、沖縄の住民とその制度の日本本土との一体
化を進め、沖縄住民の経済的および社会的福祉を増進するための措置がとられ
るべきであることに意見が一致した。両者は、この目的のために、那覇に琉球
列島高等弁務官に対する諮問委員会を設置することに合意した。日米両国政府
および琉球政府は、この委員会に対し、各一名の代表者と適当な要員を提供す
る。この委員会においては、沖縄と日本本土との間に残存している経済的およ
び社会的障壁を除去する方向への、実質的な動きをもたらすような勧告を案出
することが期待される。東京の日米協議委員は、諮問委員会の事業の進捗につ
いて高等弁務官から通報を受けるものとする。さらに日本政府南方連絡次事務
所が、高等弁務官および米国民政府と、共通の関心事項について協議しうるよ
うにするため、その機能が必要な範囲で拡大されるべきことにつき意見の一致
をみた。
 首相と大統領は、小笠原諸島の地位についても検討し、日米両国共通の安全
保障上の利益はこれら諸島の施政権を日本に返還するための取決めにおいて満
たしうることに意見が一致した。よって両者は、これら諸島の日本への早期復
帰を、この地域の安全を損なうことなく達成するための具体的な取決めに関し、
両国政府が直ちに協議にはいることに合意した。この協議は、この地域の防衛
の責任の多くを徐々に引き受けるという、首相が表明した日本政府の意図を考
慮にいれるであろう。首相と大統領は、米国が、小笠原諸島において、両国共
通の安全保障上必要な軍事施設および区域を、日本国とアメリカ合衆国との間
の相互協力および安全保障条約に基づいて保持すべきことに意見が一致した。

                 71  





 沖 縄 返 還 に 関 す る 日 米 共 同 声 明
 (佐藤栄作総理大臣とリチャ−ド・M・ニクソンン大統領との間の共同声明)
1969年11月21日
四 総理大臣と大統領は、特に、朝鮮半島に依然として緊張状態が存続すること
に注目した。総理大臣は、朝鮮半島の平和維持のための国際連合の努力を高く価
し、韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であると述べた。総理大臣と統領
は、中共がその対外関係においてより協調的かつ建設的な態度をとるよう待する
点において双方一致していることを認めた。大統領は、米国の中華民国対する条
約上の義務に言及し、米国はこれを遵守するものであると述べた。総大臣は、台
湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重な要素である
と述べた。大統領は、ヴィエトナム問題の平和的かつ正当な解決ため米国の誠意
ある努力を説明した。総理大臣と大統領は、ヴィエトナム戦争沖縄の施政権が日
本に返還されるまでに終結していることを強く希望する旨をらかにした。これに
関連して、両者は、万一ヴィエトナムにおける平和が沖縄還予定時に至るも実現
していない場合には、両国政府は、南ヴィエトナム人民外部からの干渉を受けず
にその政治的将来を決定する機会を確保するための米の努に影響を及ぼすことな
く沖縄の返還が実現されるように、そのときの情勢照らして十分協議することに
意見の一致をみた。総理大臣は、日本としてはイドシナ地域の安定のため果たし
うる役割を探求している旨を述べた。
六 総理大臣は、日米友好関係の基礎に立って沖縄の施政権を日本に返還し、縄
を正常な姿に復するようにとの日本本土及び沖縄の日本国民の強い願望にこえる
べき時期が到来したとの見解を説いた。大統領は、総理大臣の見解に対す理解を
示した。総理大臣と大統領は、また、現在のような極東情勢の下におい、沖縄に
ある米軍が重要な役割を果たしていることを認めた。討議の結果、両者は、日米
両国共通の安全保障上の利益は、沖縄の施政権を日本に返還するため取決めにお
いて満たしうることに意見が一致した。よって、両者は、立法府の要な支持をえ
て前記の具体的取決めが締結されることを条件に千九百七十二年に沖縄の復帰を
達成するよう、この討議を促進すべきことに合意した。
(以下省略)

                 72