このサントラを聴け!−その2


TOYS
トイズ
作曲:トレヴァー・ホーン、ハンス・ジマー

歌もの中心のサントラなのでずっと入手をためらっていたのだが、思わぬ拾い物だった。ジマーが、師匠にあたるトレヴァーー・ホーンと共同プロデュース。ジマー担当のスコアは2曲のみだが、ズンズン盛り上がる”ジマー節”をたっぷりと堪能させてくれる。これだけでも「ああ、ヨカッタ・・」といったところなのだが、トレヴァー・ホーンの担当部分にトンデモないのがあった。何曲かは”バグルス”時代を思わせるノイズを効果的に使用したポップスで、「フムフム」と聴いていたが、彼自身のリミックスによるフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの”プレジャードーム”(蛇足だが、ホーンはフランキー〜を世に送り出した人である)がものすごい!。ヴォーカルなしのインストに仕上げているのだが、曲の盛り上げ方、旋律の運び方などが、ジマーとそっくりで、メチャクチャ燃える曲に仕上がっている!さすがはジマーのお師匠さんだ。さらにこの曲、新日本プロレスの福岡ドーム興行のテーマ曲として、現在は曲のサビの部分(ここがとてもカッチョいい)を橋本真也の入場テーマ曲の冒頭に使用している。さあ、ジマーファン、燃えるサントラファン、そ して橋本真也ファンよ、CDショップへ走れ!



PAT GARRETT & BILLY THE KID
ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯
作曲:ボブ・ディラン

うーん、いいなぁ。何も言わずに浸れるサントラである。生き急いだビリーを優しくつつみこむようなギターの音色。さらにペキンパー映画の常連、ジャック・イーラムとスリム・ピケンズの2人の老雄への挽歌となって”天国への扉”が響く。ディランの曲は、監督のペキンパーが彼らを見るまなざしをそのまま音楽にしたかのようだ。西部劇というと、勇壮、雄大、哀愁なスコアが多いが、これはそのどれにもあてはまらない。しいて言えば滅び行く者への「鎮魂歌」だろうか。
タイプはちょっと違うけど、ライ・クーダーの「パリ・テキサス」がお好きな方には是非ともお薦めしたい1枚である。



仁義なき戦い
作曲:津島利章

ここに至ってやっと邦画の登場である。津島氏独特のアクの強いメロディーが魅力の1枚。その音楽は、まさに”東映色”で煮しめたようなギトギトした強烈なものである。刹那的で、殺伐としている。菅原文太の雄叫びが聞えてくるようだぜぃ。このCDをまるまる聴き終えると、ふと肩をいからせている自分に気づく(^^;)。このところ(97年10月現在)の抗争事件で、ワイドショーのレポートのバックに流れるという、シャレにならない使われ方をしてる音効さん御用達のCD。
※注意!:決してウォークマンなどで聴きながら街を歩かないように!肩でもふれた日にゃ「なんじゃぁ、ワレ」と口走り、血の雨がふりかねません。


LA PRIMA NOTTE DI QUIETE
高校教師
作曲:マリオ・ナッシンベーネ

音楽はイタリア映画音楽界の古株、ナッシンベーネによるものだが、特筆すべきは彼自身の要請によって、トランペッターのメイナード・ファーガソンが参加していることだろう。ファーガソンは”ロッキーのテーマ”や”スター・トレック”(アメリカ横断ウルトラクイズのテーマ曲に流用された)、”宇宙空母ギャラクティカのテーマ”(昔のハルク・ホーガンのテーマ曲に使われた)などのアレンジで有名だが、ここでもそのハイノート・トランペットを堪能させてくれる。ナッシンベーネの達者なところは、ファーガソンに対してアルト・サックスにロベルト・プレガディオをもってきたところにある。前者を陽、後者を陰としてからませ、絶妙のコントラストを醸し出している。


THE AVENGERS
アベンジャーズ〜ローリー・ジョンソン作品集
作曲、指揮:ローリー・ジョンソン / 演奏:ロンドン・スタジオ・オーケストラ
収録曲:おしゃれ秘探偵、THE NEW AVENGERS、博士の異常な愛情、月世界探検(未)、HEDDA、キャプテン・クロノス/吸血鬼ハンター(未)

イギリスのベテラン、ローリー・ジョンソンの作品集。さて、この作品集の目玉はなんといっても「博士の異常な愛情」だっ!1曲のみの収録だが、これが映画の中で爆撃機B-52のテーマ曲として使用された「ジョニーが凱旋する時」なのだ(笑)。「ダイ・ハード3」のサントラに収録されてなかった例のやつだ。
「ダイ・ハード3」にお怒りの方はこちらをお薦めする。
「おしゃれ〜」もジョンソンの代表作?だけあって、イギリステイストなテーマ曲が心地よい。
なお、もう品切れらしいが、ジョンソンの作品集はもう1種類あって、こちらにはもう1つの代表作(私としてはこちらの方がお気に入り)「特捜CI−5」が収録されている。(入手しそこねたぞ。くそっ)