PS/55 5535M (5535-M19)

DOS/Vパソコンじゃないです。お間違えの無い様に・・・

IBMとしては 5535Sが初の DOS/Vラップトップ機でしたが、それ以外の仕様のラップトップ機は以前からありました。それがこの 5535-Mです。
ここで気をつけないといけないのが「それ以外の仕様」という点です。そう、本機は今では一般的なDOS/V機(AT互換機)とは異なり、事実上独自の規格といってもいい様な仕様のモデルです。
日本語の表示は組み込みの漢字ROMによる方法(イメージ的には PC-98x1系と同じ手法と考えればよいでしょう)で、画面の解像度も本機固有のものとなっていて、他のモデルとのソフト的な互換性は高くないようです。

 

5535Sと比べると、こちらの方がデザイン的にはカクカクしていてシャープな雰囲気があります。
大きさはさておいて、とても10年以上前に登場したとは思えない、今でもオフィスにさりげなく置いてあっても全く違和感の無いデザインです。
(この画像ではピカピカに見えますが、実際にはかなりくたびれています。(^^;)

本機のCPUは非力な方(80286)ですが、ハード的に漢字の表示をしているため、5535Mに比べても遜色ないようです。
むしろ、DOS/Vではマトモに描画性能とCPU性能が響いてくる漢字表示時のスクロールでは、5535Mの方が速い感じがします。

かつては隆盛を誇った PC-9801系も同様な手法で、テキスト画面表示ではDOS/V系に比べて高速を誇っていましたが、ハード的な描画という手法故に他のモデルとの互換性という問題がついて回ったのも事実です。
本機もその呪縛があったことは間違いなく、特に画面は 720x512という本機独自のものとなっていたためにソフトの互換性面で不利な点があったのではと思います。

 

 

特徴あるキーボード。
本機の出発点がパソコンというより大型コンピューターの端末であったかのようです。
(なんとなく判るような判らないような機能キーの表示がたくさんあります)

キータッチは「如何にもラップトップ機」然とした感触です。

 

 

720x512という独特の解像度を持つ本機の液晶パネル。
漢字表示がハードウエアによるものでなければ、Windowsマシンとして稼動できそうな解像度です。

液晶パネルは当然ながらモノクロ仕様で、右下にはコントラストと輝度調整つまみがあります。
この調整は丸いつまみが時計のように回転するという面白いデザインになっています。

 

 

液晶パネルを閉じた本機。
ラップトップ機然とした独特の存在感があります。
(黒いThinkPadに慣れた目からは、とても新鮮なデザインに感じてしまうところが不思議ですね)

一見すると箱型に見えますが、液晶パネル部分は前面寄りが少し薄くなっているので、若干の傾斜が付いています。

 

 

右側面にはマウスポート、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ(30MB)、電源スイッチが配置されています。

電源スイッチの赤色とフロッピードライブイジェクトボタンの青色がいいアクセントになっています。

 

 

左側面。キャリングハンドルは引っ張り出した状態です。

何も無さそうに見えますが・・・

 

 

よーく見ると蓋が3つあり、ひとつはRS232Cポート(25pというところが泣かせてくれます)、テストスイッチ(システムテスト用の様ですが詳細不明)、そして上側には拡張スロットがあります。

この拡張スロットは本機独自の仕様のもののようです。

 

 

背面の様子。
AC電源コネクタとプリンタポート(これまた36pというところが泣かせます)があります。

中央には排気ファンが張り出していて、立てたときに飛び出したファンと床面との間のクリアランスを確保するために左右に取っ手の様な脚が付いています。
ファンガードは周囲と一体型の樹脂製で、手元の本機では輸送中の事故で損傷してしまっています。

 

 

キャリングハンドルの状態。
液晶パネルのロック解除には、ハンドル下両端の黒いボタンを押します。

モデル名とシリアル番号の銘板は、ハンドルに隠れています(この画像では判りにくいですが、ロック用のキー穴のすぐ上辺りです)。

 

 

立てた状態の 5535M。

底面の円形のゴム脚がお茶目です。
(経年変化で変色していて、実際にはもっと白い色が本来の色です)

背面(この画像の状態では底面ですが・・・)に排気ファンの厚みを稼ぐための脚があるため、5535Sより重心が高いかもしれません。
重量はかなり重い(7kg以上はある)ので、滅多に無いとは思いますが転倒しない様に気をつけたほうが良さそうです。

 

 

稼動中の本機。

手持ちの5535Sに比べると快調に動作しています。
とは言っても、そのアーキテクチャからしてソフトの入手も困難で、活用するのは極めて難しいですが・・・

本機の基本スペック

CPU    Intel 80286-10MHz
RAM    2MB
HDD    30MB
LCD    モノクロSTN (720x512)

セットアップやメンテナンスのポイント

もはやジャンク屋さんで見つけるのも難しい機種です。
幸運にも発掘できたとしても、使いこなすのも極めて難しいでしょう。

 

(2001/09/14 記)

 

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