ThinkPad230Csは、サブノートの出発点となった ThinkPad220のユーザーからのフィードバックにより開発されたモデルで、なんと言っても特筆すべきはカラー液晶(DSTN)の搭載でしょう。
これ以外にも、CPU・ハードディスク・メモリの強化が図られ、220では特に不満の原因となってしまった
Windowsへの対応が徹底的に図られていると言っていいでしょう。
これらの改良により登場した 230Csは、日本IBMでは初のカラーサブノートとなっただけでなく、多くのユーザーの支持を受ける名機になりました。
一時はモバイルノートと言えば本機の事を指していたと言っても大袈裟でないほど、本機はサブノートとしてセールス的に大変な成功を収め傑作機です。
この YB5は 230Csの中でも前期モデルで、CPUも HDDもシリーズ中ローエンドクラスですが、中古で購入すると、結構手を入れてある個体があったりします。
ちなみにハードディスクは出荷時BIOSではE-IDEには対応できないので、ハードディスクの換装をされる前に
BIOSのバージョンアップをしておきましょう。
フロッピーディスク接続部のクローズアップ。
普段はシャッターでカバーできるようになっていますが、この構造は ThinkPad220にも見られる構造で、蓋が本体内にスルッと吸い込まれる様に格納されるところは目立たないものの一見の価値ありです。
電源スイッチも
ThinkPad220に準じた誤投入防止ロックつきとなっています。
230CsのPCカードスロットカバー。
220の裏返式 1枚onlyに比べると、TypeIIx2と拡張性と使い勝手が大きく前進していますが、唯一の問題はこの片開き式のカバーで、紛失・破損しやすく、中古でも結構カバーが失われている物が多いです。
個人的には使っていて結構不便(邪魔)に感じますが、後から必要になっても入手はしづらいパーツですので、中古で購入される際にはチェックすべきポイントのひとつと言えるかもしれません。
230Csのフロッピーディスクドライブ。
「どっかで見たことあるなぁ」と思った方は鋭いです。
PC110の添付FDDと同じタイプです。
逆を言えば、220や530なんかの物が流用できます。
専用のソフトケースに収まった
230Cs。
本体しか収まらない(ACアダプタも入らないことは無いのですが、かなりキツいです)というのが玉にキズですが、サイズもデザインも
230Csにぴったりです。
既に230Cs本体は扱っていないのに、これケースだけが売られていたのを何度か目撃したような気がします。
現在は確固たる市場を確立しているサブノートというジャンルも、本機の成功が無ければ現在のこれだけの活況が無かったかもしれません。
最新のOSは性能的に厳しいですが、それでも現在でも愛用されている方が少なからずともいらっしゃることからしても、本機の果たした役割と完成度が如何に高かったかを十分感じることができると言えます。
CPU Intel 486SX-33MHz
RAM 4MB Max.12MB (SO-DIMM 72p 3.3V)
HDD 130MB
LCD 7.8" DSTN (256)
VGA GD6235 (V-RAM: 512KB)
既に枯れたモデルですが、故に目立ったトラブルも少ない優秀なモデルですので、ドライバ類を自力でセットアップできる位のスキルがあれば十分メンテナンスできるでしょう。
基本的な処理性能がそれほど高くないことが最大の問題でしょうか?
- 本格的にメンテナンスして使いたいと考える際には、BIOSのバージョンアップは必須です。
HDD換装を行う際に 500MB超のドライブが認識されない(E-IDE未対応)といった問題に引っかかる可能性があります。- メモリーは 72p SO-DIMMですが 3.3V仕様のものです。同仕様のものでは ThinkPad701C用のものが転用できますが、32MBの物は使用不可、16MBの物はほぼ問題ないですが BIOSのバージョンアップをしておくのが無難です。(当初は 8MB増設のみ仕様上ではサポートということになっていました)
- HDDは内ネジで12.7mm以下のドライブが組み込みできます。換装はかなり大変で、殆どバラバラに解体しないといけないです。
事前にBIOSの書き換えを忘れないようにしましょう。(後から気が付くと再度解体・換装の憂き目に遭います)- トラックポイントキャップが液晶に接触してパネルを傷める(赤いシミの様な圧迫痕が付いてしまう)ことがあります。
中古で購入される際には、事前に確認されると良いでしょう。
(2001/08/14 記)