数あるThinkPadの中でも、この 235ほど紆余曲折の後に出現したモデルは無いのではないかと思います。
モバイルコンピューティングへの可能性を拓いた ThinkPad220、230Csの後、その後継機というコンセプトのもとにライオスシステムにて設計が進められたものの、販売戦略上、IBMからの発売は一旦見送られ、その後開発元から各社に OEMされた後、98年夏の Windows98発売に際して、日本IBMから初のプリインストールモデルとして発売されることになりました。
「黒いチャンドラ」と言われてしまえばそれまでですが、この様に黒いボディカラーを纏うべくして設計された、といった感じです。
(なんとなく違和感もありますが・・・(^^;)
初代チャンドラ以来、着実にパワーアップの道をたどりながら、遂にここに辿り着いた訳です。
本機は 235の初期モデルで、CPU はMMX Pentium-233MHz、HDDは 3GBを搭載しています。
(後期モデルは 266MHz、4GBに強化されています)
液晶パネルは初代チャンドラのVGAから SVGAに強化され、表計算などのアプリケーションもより実用的に使うことが出来ます。
現在では大きさ・性能共にさほど珍しいクラスのモデルではなくなってしまいました。
むしろ、当初より問題点として指摘されている強度面において、今時の銀パソに比べるとワンランク落ちるのかな?って気がします。
手元の 235は発売間もなく購入した物ですが、かなり気を使って持ち運びしているおかげか、幸いにも破損はもちろん、傷もあまり付いていないです。(^^;
キーピッチは個人的にはミスタイプしやすく、やはり小さすぎるというのが印象です。(^^;
TrackPointは標準(という言い方は変な気がしますが(^^;)の ThinkPadの物とはキャップが異なり、高さが半分しかありません。
よって標準で出回っているキャップを使用すると、液晶表面に当たって破損する可能性があるので、交換時には注意が必要です。
キーボード前面にはオーディオ入出力と
USBコネクタが装備されています。
オーディオコネクタはさておいて、USBコネクタがここにあっては、USBケーブルの引き回しに伴う操作性の低下や、コネクタ自身の破損の不安があります。
キーボードの両側手前にはスピーカーが内蔵されていますが、操作時やキーボードカバー装着時にスピーカーを塞いでしまい、音が聞こえにくくなってしまいます。
(本機に限った問題ではありませんが・・・)
チャンドラ系列の有り難いところのひとつは、各ポートが標準のコネクタサイズで本体に装備されているという点です。
手前から PS/2ポート、シリアルポート、CRTコネクタ、IRポートの順に並んでいます。
が、PS/2ポートはコネクタが破損しやすく、シリアルポートとCRTコネクタの蓋は、薄くて破損しやすいという指摘が多いのも事実です。
背面はパラレルポートと電源ジャックのみと極めてさっぱりした姿です。
パラレルポートは FDD接続用を兼用しています。
電源コネクタは他のチャンドラ系列とは互換性がないようですが、ThinkPad560/760系とACアダプタを共通化するために変更がなされた様です。
本体左側面には、チャンドラ系列の二つ目のウリである
3つのPCカードスロットが装備されています。
前面よりTypeIII対応の側は CardBus仕様、奥側はZVポート仕様になっており、運用の柔軟性と高い拡張性を提供してくれます。
後継機として登場した ThinkPad240が、本機とは全く逆にPCカードスロットが1つしかないというのは返す返すも惜しいとしか言いようがありません。
私の 235は勤務先では全スロットを使い切っているため、残念ながら
240が代替の役目を担うのは厳しいです。
底面の背面より部分は、左右のバッテリースロットの為に不思議な形状になっています。
また、冷却ファンを搭載することも考慮した開口部があったりするなど、上面から見たイメージとはかなり印象が違います。
背面寄り中央は波形になっていて、手に持ったときにフィットするようになっていますが、幅が狭いので
ThinkPad560に比べるとフィット感はもうひとつですね。(^^;
本体底面の増設メモリスロットの様子です。
メモリスロット蓋の裏側には、バックアップ電池がくっついています。
(廃棄時の取り外しや、電池切れ時の交換がしやすくなっています)
増設メモリは 144pin EDO SO-DIMMにて増設し、最大で本体と合わせて
160MBまで増設可能です。
この画像では 64MBのメモリを組み込んでいます。勤務先でしばしばヘビーな運用もしているので
128MBモジュールにしたいところですが、なかなかいいお値段で手が出ません。(^^;
235のパッテーリーパック、と言うよりは、ハンディビデオカメラ用バッテリーと言った方が通りが良いでしょう。(^^;
ThinkPadも含めて、過去に触れてきたノートPCで心配であった事の一つが、消耗品のバッテリーパックが容易に、安く入手出来るのかどうかと言うものでした。
本機のバッテリーパックは、近所の家電ショップでも互換品が入手できるので、この点では非常に安心感があります。
バッテリーパック格納部の蓋を解放したところ。
蓋の構造は何とも頼りなく、落下の拍子に破損しやすいというのも頷けます。(^^;
本体内側の、格子状の筐体のパターン(?)は、筐体の薄肉化と強度維持の為の物と思われ、斜めにパターンが配置されている点が非常に興味深いと共に、設計陣の苦心が忍ばれる箇所です。
左下には、底面通風口(ファン取付穴?)が僅かに見て取れます。
この箇所は、本体後寄り側が一段盛り上がっており、机上面に対して僅かですが隙間ができます。
但し、ファンを付けたとしても、果たして排気が有効に機能するのかどうかは、ちょっと疑問に思うところですが・・・(^^;;;
ACアダプタですが、隣のPCカードモデムと比較しての通り、ずんぐりと大きな物となっていて、本体の携帯性を損なってしまい、非常に不満が大きい部分です。
そんな訳で、保証外の行為になりますが、ThinkPad560用の薄型の ACアダプタを使用しています。
(現在は、容量的に問題ない 56Wの薄型 ACアダプタがオプションとして入手できます)
フロッピードライブは
ThinkPad701Cと同じようにパラレルポート接続となっていますが、235は本体コネクタが標準的な
D-sub 25pとなっています。
しかし、235は FDD側のケーブルが分離できない点はやや不便で、できれば両者のメリットを合わせた形の製品として欲しかったところです。