ThinkPad345Csは ThinkPad340シリーズの最終型345シリーズの一員のモデルです。
CPUは遂に486SLCから、真の486系CPUであるDX4-75MHzに大きくパワーアップしている点が最大の特徴です。
これ以外は、先代の340CSEをそのまま踏襲したスペックとなっていて、非常に低価格化重視の仕様となっていますが、CPUの変更によりコストパフォーマンスはとても良くなっています。
基本仕様に合わせた筐体設計のため、360Csなどに比べるとシンプルで洗練されたデザインになっています。
音源も拡張バスも無く、普通に拡張できることと言えばメモリ増設と1枚だけのPCカードスロットによる機能拡張のみという思い切った仕様のため、個人ユーザーにはあまりウケが良くないのは想像に難くありませんが、企業での業務用途であれば必要にして十分といったところでしょう。
340との違いは、「345CS」の表示しか見出すことの出来ないキーボード付近。
無塗装の筐体、シール形式のモデル名エンプレム、簡素なインジケータと電源スイッチなどなど、最もコストダウンの影響が目に見える部分です。
340/345系は筐体設計が一新されて、不要な構造や開口部が省略できたために、軽量化にも寄与しているようです。
(360系に比べると、カタログスペック上で1割近く軽くなっています)
実際に持ってみると、その質感のせいもあるのか、かなり軽く感じられます。
底面も、滑り止めのゴムの状態からしてコストダウンされている気がします。
(但し、360/755系のゴムに比べると、こちらの方がかえって剥離しにくいというメリットもあります)
バッテリーパックとメモリスロットカバーを外したところ。
CPUが486化されたので、従来の340系とは違い16MBのD-RAMカードが使用できます。
更にメーカー保証外となってしまうものの、この画像のように
32MB
D-RAMカードを使うことも可能で、オンボード4MBと合わせて最大36MBにすることが可能です。
背面の様子。
母体となった340に準じていて、PCカードスロットは1つしかありません。
ネットワークカードをひとつ入れれば事が足りる企業内運用ならともかく、音源やモデムカードを使いたいプライベートではちょっと拡張性に難有りといった感じです。
液晶パネルのロックを解除するボタン。
530/535/560に準じたものになっていますが、向かって左寄りに配置されている所が特徴的です。
よって、「片手で抑えて液晶パネルを開く」という動作は、右利きの人には違和感があります。
本来は755/360系のような開閉式の弁当箱構造ではありませんが、キーボードと本体の間にマイナスドライバを差し込んでこじってあげると、このように比較的簡単に内部を見ることが出来ます。
メーカー保証外の行為となりますが、ハードディスクの交換も見た目より簡単です。
それでは、実際に交換してみましょう。
ちょっと順番が逆になってしまいましたが、まずは上記のようにキーボードを外して跳ね上げなければなりません。
このように細身のマイナスドライバーを差し込んで、少しずつ爪を外してゆきます。
液晶パネルロックボタン付近からスタートして、左右に順に外すとやりやすいです。
ムリにこじると筐体に傷をつけたり、破損してしまうこともありますので、注意して作業してください。
(ここで「ムリだ」と感じたら、諦めて退く勇気も必要です)
ハードディスクは向かって右側にカバーごと取り付けられています。
2本のネジで固定されていますので、これを外します。
(メインボード上にネジを落下させたり、紛失しないように気をつけましょう)
固定ネジを取り外したら、カバーを手前に引くとハードディスクをコネクタから引き抜くことが出来ます。
この画像ではバッテリーパックを装着したまま作業していますが、短絡によるトラブルの危険がありますから、バッテリーパックは必ず取り外してから作業してください。
取り外したディスクパックです。
単にドライブにコの字型のカバーが被っているだけといった形状です。
ドライブの取り付けネジ穴は内寄りになっています。
(外穴に変更するには、手前に見えているカバーの小さな張り出しが邪魔になりそうです)
ハードディスクのカバーを止めている4本のネジを外します。
カバーの状態を見ていただければ判るかと思いますが、使用できるドライブは17mm厚までです。
E-IDEにも対応していますが、実際問題として外ネジ対応にカバーを改造するにもやや難があるので、内ネジドライブでの換装が無難と思われますが、そうなると利用できるドライブの入手性に問題があります。
(現在入手しやすいドライブは殆ど外ネジ仕様です)
カバーを外した状態。
あとは新しいドライブを逆順で組み立てていけばOKです。
CPU Intel DX4-75MHz
RAM 4MB Max36MB(公式には20MB)
HDD 540MB (EJG)
LCD 10.4"DSTNカラー(256色発色可能)
VGA WD 90C24A V-RAM 1MB
最近では 360系並によく見かけるモデルです。
360系に比べると基本性能が高いものの、付加仕様(音源やPCカードスロットなど)が落ちるので、そういった点に重きをおくのでしたら、選択肢から外れる可能性がありそうです。
- メモリを十分積んであげれば、Windows95でもそれなりに使えるでしょう。
なお、Windows95セットアップ時に、トラックポイントを無効にしておかないと、ハングして先に進めないそうです。- メモリはD-RAMカード(パリティ無しでOK)のみに対応していて、16MB以上の増設が出来ます。
32MBのカードを使えば最大容量に増設できますが、使用目的を考えて容量を決定しましょう。- HDDは E-IDE対応で固定式ですが、上記の手順で比較的容易に交換できます。
360/755系でも採用されているパック形式です。
交換は容易のハードディスクパックでしばしば問題になる Master/Slaveの設定問題もありません。
問題は内ネジで容量の大きなドライブが入手しにくくなってきた点ではないでしょうか?
(2000/09/02 記)